第57回照明探偵団サロン
イルミネーション街歩きレビュー
2018/02/20 本多由実
大雪のため1か月遅れで開催されたイルミネーション街歩きレビュー。なぜ人はイルミネーションに惹きつけられるのか、ヒントは見つけられたのでしょうか。
各班毎に街歩きの感想や意見がまとめられ、プレゼンテーション
体験型イルミネーションの紹介も
班のリーダーを中心にレビューが行われる
12月に開催した東京イルミネーション街歩きのレビューを行いました。
丸の内~有楽町と、六本木ヒルズ~ミッドタウンの2か所に分かれて煌びやかな12月の街に繰りだした団員達、観察対象が飾り付けられた街であったため「犯罪者を見つけるのが難しかった」というコメントも多く上がりました。
1・2班が歩いた丸の内や有楽町。丸の内では重厚感のある街並みとシャンパンゴールドのイルミネーションがシックな雰囲気を作り上げ、また指向性の強いLEDによって光がきらめいて見える様子が高評価でした。一方で、有楽町側の緑や赤のイルミネーションについては賛否両論。参加者の勤務先近辺でも単色のイルミネーションが目にきついということがあり、街としての統一感を持たせながらも、目に優しい色の光とするのが大切だと実感しました。
3・4班の歩いた六本木界隈ではエンターティメント性の強いイルミネーションが盛り沢山でした。人の動きと連動する光や、時間によって色が変化するイルミネーション、水に映り込む光の粒、様々な光の仕掛けが施され、大勢の人が光と触れ合って楽しんでいた様子でした。ただ、気合の入ったイルミネーションは見ごたえがありすぎるようで、揺らぐフィラメント電球や、不意に垣間見える東京タワーの暖かな光に安心感を覚えたという声も多くあがりました。
いずれの箇所も、眩しい器具や通常時の樹木アップライトなどが点いていて繊細なイルミネーションの効果を打ち消しているものが犯罪者としてあげられていました。イルミネーション自体は細やかに取り付けられていて高評価で、高揚感だけでなくほっとするような光があるとより好印象のようでした。
近年は日本でも色々な場所で大掛かりなイルミネーションが開催され、「派手で過剰だ、街が混雑する」というマイナスな先入観を持ってしまうこともありますが、「寒い時期なので火に集まる本能が刺激されるのでは」、「期間限定なので非日常な光の量も寛容な心で見ることができる」、「細やかに樹形をなぞった物は純粋に美しい」などと前向きな観点も話し合うことができました。近所の人が喜んでくれるので自宅や事務所に飾っているという団員からは、大規模なイルミネーションの経済効果についての話題もあがりました。
老若男女に直感で綺麗だと思わせる光の力、に気づかされるイルミネーション。来年から少し見る目が変わりそうです。
また、一般公開で行われた上野の杜の街歩き+東京国立博物館での照明実験の報告も行われました。街歩き~改善案の検討~照明器具を使っての実験、と自分たちの手で光を動かしてライトアップを行うという一連の体験はとても有意義だったようです。上野の杜が夜にも歩いて心地よい場所となるよう、今後の活動にも期待が高まります。今回はメーカーの協賛をいただいての開催でしたが、大がかりなものではなくとも懐中電灯を使ったライトアップもまたやりたいね、と団長はじめ古参の団員たちは思い返していました。
2018年度はどのような探偵団活動が開催されるのか、皆さまお楽しみに。(本多由実)