第60回街歩き:自由が丘
2018/04/06 小口尚子 + 坂口真一+三浦大輔+張文源
街歩きMAP
おしゃれな街として名高い自由が丘。各通りにはそれぞれ自由通りや学園通り、マリ・クレール通り、メイプル通り、女神通りなどの名前がついており、思わず立ち寄ってしまいたくなる雑貨屋、カフェ、スイーツショップが密集しています。
その評判のとおり夜もおしゃれな光環境になっているのかを調べてきました。
住みたい街ランキングも上位に入る自由が丘。今回は自由が丘の駅から延びるいろいろな通りを“おしゃれ”を切り口に街歩きしました。
街歩き概要を説明する小口団員
英雄との声が多かったヒロ・ストリート
しらかば通りの住宅に添架された街灯
脇道には提灯にひきよせられそうな横丁も
グリーン・ストリートのアンバランスな街灯
グリーン・ストリートのベンチでくつろぐ人々
住宅街の街路灯 色温度:4300K、床面照度: 19lux
壁面に過剰なスポットライトが設置
街歩き後の懇親会の様子
■A班(しらかば通り、学園通り、住宅街)
A班はまず駅前ロータリーの間の小道、しらかば通りを歩きました。新旧の店舗が混在している通りで、古くからある街灯が住宅の壁に添架されている日本では珍しい光景もありました。街路灯・看板・店舗から出る光の色温度は高い上に眩しい印象でしたが、歩く際の安心感はありました。
次に学園通りを歩きました。各店舗のファサードからの光は華やかながらも電球色で落ち着いた印象を与えているのに対し、規則的に設置されている街路灯が高色温度でグレアの強いLED光源に交換されていて景観を損ねていました。しかし、ファサードから漏れる光の面積の比率が高くなると街路灯の眩しさは若干軽減されるようにも感じました。
学園通りから少し入ったサンセットアレイ通りの街路灯は他の通りと同じく色温度の高いLEDに交換されていましたが、下方向にのみ照射するフルカットオフ型のポールヘッドが使用されており、通行人に眩しさを与えないように配慮がされていました。またそれぞれテナントから漏れる電球色の光が柔らかく通りを照らしていて心地よい明るさだと感じました。
唯一通った住宅街は自由が丘らしさというものは特に感じず、比較的どこの街でも見られるような光環境でした。優しい光を放つ行灯のようなものがあれば、夜道も心地よいものになると感じました。
最後に歩いたヒロ・ストリートでは、街路灯にアール形状の通りの名前を記したサインを組み合わせていたのが通りとしての輪郭を作っていて、デザイン意図を感じ取ることができました。
最先端の店舗がめまぐるしく変わる中、古い住宅も意外と多く、様々な文化が混在している自由が丘。「おしゃれな街」という印象を光の観点から再考できる街歩きでした。(小口尚子)
■B班(女神通り、カトレア通り)
自由が丘はどこの通りもそれぞれ特徴的かと思いきや、街灯の種類は様々でしたが、色温度はみんな高めで白い光があふれていました。これをもっと暖色系にという意見が多かった気がしますが、私個人的には車が多い通りならこれもありかなと思いました。(車が通らない通りなら暖色系がいいとは思いますが)また通りをつなぐ小さな脇道が随所にありますが、同じように街路灯の色温度が高い。これは暖色系に変えてもいいのではないかと感じました。そんな脇道も大通りと比べるといい雰囲気だったのは、レンガ調や石畳など道路の舗装に工夫があったからだと思います。舗装を変えるだけでも雰囲気はだいぶ変わります。(駅のホームもそうです)舗装に合わせて街路灯の色温度も決めるといいのにと思いました。
個々のお店はどれも自由が丘というブランドを意識してか温かみのある、人を(特におしゃれや流行に敏感な人を?)ひきつける魅力ある明かりの店舗が多いと感じました。最近では、虎ノ門ヒルズ周辺や、前回街歩きした柏の葉キャンパス周辺など、各所で駅周辺の街づくりも行われています。そういう意味では自由が丘は昭和の時代に作られた、ある意味ちょっとひと昔まえの街だと感じました。駅の近くの昔からのデパートや居酒屋が並ぶ通りでその雰囲気を感じられます。個人的にはかつての勢いは感じられなくなってきた印象の自由が丘。今後どのように変わっていくのでしょうか。自由が丘も昭和から平成そして新しい年号へ。これからの変化が楽しみだなと感じる街でした。(坂口真一)
■C班(マリクレール、グリーンストリート)
今回C班は自由が丘駅の南側エリアを担当し、どの通りが一番おしゃれと思うか、メンバー各自おススメの「通り」とその理由を探しながら街歩きをしました。街歩きした経路は、自由が丘駅を出て、マリ・クレール通り、自由通り、すずかけ通りを経てグリーン・ストリートから最後ヒロ・ストリートを通って自由が丘駅に戻るルートでした。
自由が丘の通りはそれぞれ特徴があります。通りが変わると街路灯のデザインや色温度が異なり雰囲気がガラッと変わるので、全く退屈しませんでした。また近くで寄ってみたり遠く離れてみたりするなど、見る角度を変えることによって英雄と犯罪者が変化し、一番おしゃれな通りを選定するのはなかなか難しかったです。英雄と犯罪者がカオスに混ざり合う街の中で、班のメンバーからマリ・クレール通りやグリーン・ストリートなどがおススメとして挙げられましたが、街全体や通り全体もさることながら、自由が丘に各々点在するお店の照明に対するこだわりや工夫がたくさん見られて、通りに面した小さい路地の中にも自由が丘らしさが出ていて素敵だという意見も出ました。
全体を通して自由が丘の街は古くからの街が自然に発展した様に感じられます。新しいお店が並んでいる中に昔ながらのお店も並んでいたり、一つ通りを外れると静かな住宅街が広がっていたり、駅前にお洒落な美容院があれば学習塾も並んでいたり、その間で駅を眺めながら花見宴会が行われていたり、おしゃれな商業空間と日常生活の空間がボーダーレスに存在しており、それぞれの光が集まって街を創っているところに自由が丘の“オシャレ”さがあるのではないかと感じました。
興味がある方は、英雄と犯罪者がカオスに存在する魅力的な街、自由が丘を街歩きしてお気に入りの「通り」を探してみるのも面白いかもしれません。(三浦大輔)
■D班 (メープルストリート、すずかけ通り)
D班はわかくさ通り、しらかば通り、メープルストリートとすずかけ通りを歩きました。低層棟の商業施設の賑やかさと高級住宅街の穏やかさに応じて光の色を使い分け、緑が茂っている街の美しさを際立たせるような明かりがありました。
メープルストリートでは、 低い色温度の照明が主に用いられていて統一感がありました。多くの建築にファサードを照らす為のスポットライトやブラケット照明が取り付けられており、ストリート全体の賑やかさや華やかさが演出されていました。 ただし、スポットライトが過剰に設置され、色温度が低い空間の中に高い色温度の明かりが混在する箇所もありました。例えば、多くのメンバーが「英雄」と評価したパテイオは、キラキラしている小さなLEDの光が、店舗の中の明かりと一体化。色温度は2700K、床面照度は50lux。それに対して、色温度が4000K、床面照度が320luxもあるスポットライトが配置され、グレアを感じる場所もありました。メープルストリートをしばらくいくと、閑静な住宅街になります。 店舗照明の代わりに、スパイク式スポットライトで樹木をライトアップすることで、 緑と建築が調和する雰囲気を演出していました。ただし街路灯が仄暗い中で白く悪目立ちしている所も。街全体に配置されている高い色温度の街路灯は非常に残念な犯罪者に感じられました。
すずかけ通りは商業施設が比較的に少なかったのですが、エスニック風、古民家風など特徴的な店舗があるおかげで、ドラマチックな雰囲気と心地の良い暗さになっていました。
光に対しても意識を向けてそれぞれの店舗や建築が作られている印象でした。緑のにぎわいと光のコントラスト、調和の中に生まれてくる建築と人のドラマが、自由が丘の魅力なのかもしれません。(張文源)