探偵ノート

第34号 – Home Lighting

Update:

テーマ『Home Lighting』

Interviewer: Angkana Kongchatri

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MEN+TAN

Tan:今日は家の照明についてお話ししたいと思います。このトピックを選んだのは、先月(2016年5月)に社員旅行で私や他のシンガポールスタッフが面出さんのお宅を訪問する機会があったからです。

面出: 何時に来たんだっけ。夜だった?

Tan:夜の9:30とか10:00だったと思います。とても印象的でした。まず木材の仕上げや家具、すべての装飾の雰囲気がとても暖かくてウェルカムな印象を受けました。そして照明がその雰囲気をさらに暖かくしているようでした。今日は家の照明について、面出さんの経験を聞かせてください。

面出: 僕の家は、ご存知の通り奥さんがあまり装飾を好まない。僕たちはシンプルな生活を好んでいるし、すべての物を棚にしまうようにしている。新居は木や石、紙や漆喰など本物の素材を使っていてとても気に入っている。
でも今日のトピックはとても難しいと思うよ。各家族に適切な照明があると思うからね。
家族には違う快適さや生活の価値がある。日本やタイはヨーロッパの人に比べるとずつと明るい感覚を持っていると思うよ。

Tan: 奥様はいかがですか。面出さんと同じあるいは違う感覚をお持ちでしょうか。

面出: 僕たちはちょっと違うかな。僕の奥さんはもっと自然かな。家では、心地よいレベル、明るさのレベル、光と影、照明の強さを調節し、最終的には奥さんが決める。「これでいい?」って奥さんに確認するんだよ。(笑)それで最終調整し、奥さんのためにプレ設定する。

Tan: 私も家族とは違う感覚を持っています。うちの家族は暖かな照明の下にいるのは、暑すぎて好まないようです。面出さんが新しいところに引っ越したのがわかる気がします。

面出:そうだね。この家は僕の近い友人のもので、照明デザインは僕がやっていた。ここの改装は主にリビング、ダイニングをやったんだ。

Tan: あともう一つ。私たちがお邪魔した時、オイルランタンを外のテラスで使っていましたね。

面出: それはアメリカ人の友達からのプレゼント。オイルランタンはキャンドルと違い減光できるから、さらに快適な明かりにできる。

Tan: このほかに何かお宅でやってみたいことはありますか?

面出:将来もっと時間ができたら、日本風の特注ランタンや照明器具をデザインしたい。他の人のために自宅の照明をデザインするのはとても難しい。
今アメリカで個人邸のプロジェクトをやっているけど、施主は僕の照明のセンスをとても尊重してくれていて、やりたいようにやってくださいと言ってくれている。
でも僕の提案を100%受け入れてくれるのは恐くもある。これはチャレンジだと思っている。

Tan:個人宅の照明デザインが一番難しいと言えるでしょうか。

面出:そうだね。だれかの要望に応えるデザインをするのはとても難しい。商業や公共空間は大勢のためのデザインロジックがある。でも個人邸プロジェクトだけを行うデザイナーがたくさんいる。僕たちLPAはそんなに多くの個人邸のプロジェクトは行っていない。なぜならクライアントを選ぶのにとても慎重になる必要があるから。個人邸はとても重要だけれど同時に照明デザイナーとオーナーのデザインの意見が完璧に合うのが難しい。

Tan:あるいは親しい友人にデザインできるかどうか。

面出: そうそう。僕は両親の家の照明デザインでひどい経験があるよ。

Tan: えぇ!どうしたんですか。

面出:笑)両親と兄貴のための小さい家だったんだけど、照明のデザインを頼まれた。その時僕はまだとても若かったんだけど、調光できるハロゲンランプのダウンライトをたくさん使った。彼らは調光を全く使わなくて、夏は暑いし、すぐランプが切れると言っていた。両親は何も言わなかったんだけど、兄貴がね、好きじゃなかったみたいだね(笑)そこから多くのことを学んだよ。僕の両親は僕をとてもかわいがってくれて尊重してくれていた。でも彼らの経験は僕のとは違っていたんだね。とても苦い経験だったよ。

Tan: 面出さんの考えでは、家の中で一番こだわる場所はどこですか。

面出:ふつうはリビングやダイニングだと思うけど、僕はトイレやお風呂だね。
高級ホテルなんかのお風呂は少し明るすぎる。お風呂の主な機能は体を洗ったりメディテーションなどしてリラックスする場所。お風呂ではリラックスした気分でいたいから、照明は低い位置で低照度がいい。ダウンライトよりキャンドルを使いたい。水が落ちる音や雨の音だけを聞いていたい。
トレイは機能だけではないね!最近は公共のトイレの照明は明るくて白い、ゆっくり時間を過ごせない。

Tan:以前の面出さん宅で洗面ボールの照明を見ました。冷たい白とあたたかな白とのコンビネーションの蛍光灯でした。

面出:そうそう。洗面所は朝と昼は全く違う環境になっている。朝は“おはよう!”という照明で目覚めるべきだし、夜は反対に“お疲れさま、今日もがんばりました。”という照明であるべき。だから照明は低い色温度、低照度、低い位置。家のそれぞれの場所は違う機能がある。ベッドルームも若いカップルにとってはとてもエキサイティングな場所かもしれないから色が変わるものが使われるかもしれない。僕はやらないけど。(笑)
僕の奥さんは寝るのに時間がかかるけど、僕は3秒で大丈夫。照明はシンプルで柔しいもの。そして玄関はゲストを迎える、出会う場所としてとても重要な場所。

Tan:面出さんからわかることは照明は様々な場所でユーザーと対話を持つべきだということ。

面出:照明は同じ空間でも違う雰囲気に変化させることができる。これはとても重要なことで一つの部屋が様々な用途によってフレキシブルになれる。日本の畳の部屋の感覚のように、リビングルームやベッドルームみたいに多機能になれる。
個人邸のプロジェクトで何か経験がある?

Tan:はい。バンコクで働いていたとき、裕福な方の個人邸をデザインする機会がありました。でも彼らの要求は今面出さんが言われたことと違うところがあります。よく旅行する人のようにあまり家で時間を過ごさない人は、家は主に打ち合わせや、パーティー、友達やゲストを招くために使います。

面出:家は普通プライベートな家族で使用するものだけど、最近は家族だけでなく、友達と集まったり、ビジネスの打ち合わせにも使うよね。

Tan:今日は面白い経験をお話しくださりありがとうございました。

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