探偵ノート

第022号 – Lighting Detectives または TANTEIDAN

Update:

[照明探偵団]が海の向こうで騒がれ始めてきました。[照明探偵団]はどのように翻訳されているのか…。ずいぶん前から色々な英訳があったような気もします。たしか”Lighting Eyes”と訳した翻訳者もいたし、”Shomei Tanteidan” と、そのまま呼んだこともありました。しかし最近はほとんど統一されて “Lighting Detectives” というのが一般的。私たちが作っている海外向けの探偵団 Web Site にもそのようになっています。

最近は欧米の知人友人からも「Lighting Detectives は相変わらずやっているの?」などという激励の便りもいただいたりして、徐々にこの固有名称も国際的に認知されてきた様子さえする。そうそう、つい最近に、ドイツの照明デザイン事務所 [ULRIKE BRANDI LICHT]の呼び掛けで、照明探偵団の名前を使って照明文化の比較研究や、情報の交換などを世界中に広めようという目的で、[tanteidan.org]という国際的な共同 Web を立ち上げました。皆さん一度ご覧ください。といっても未だあまりきちんと出来てないので、がっかりしないようにして…。

http://www.tanteidan.org

そうなのです。[TANTEIDAN][tanteidan][タンテイダン][探偵団]…。この危うい響きを持つ言葉は、今や元祖「建築探偵」をもしのぐ勢いで世界中に伝えられているようです。ヨーロッパやアメリカやシンガポールを中心とした国々では、[TANTEIDAN=照明探偵団=LightingDetectives]と解釈されてしまっている。これはもうすぐ世界的なブームになるかも知れませんよ。

さて、先月末にシンガポール国立大学の招きで、シンガポールのプロの建築家相手に「照明探偵団シンガポール街歩き」をやってきました。2日間の照明デザイン・ワークショップのプログラムの一つに「照明探偵になろう!」という企画を入れようということになって、2日目の最後のセッションを3時間ばかりの現地調査にしたのです。ここでも[Lighting Detectives]の快い響きに誘われて来た人も少なくなかったようです。15人限定でのバスツアーは、ホテルやショッピングセンター、美術館などを回るように予定していたのですが、思いがけずに最初の調査現場リッツカールトンで時間をとり過ぎてしまい、ハワード・ブランドソンの照明デザインによるリッツカールトンと、クロード・エンゲルの照明デザインによるコンラッド・ホテルの2カ所を回るだけ。あとは皆で楽しくホテルで飲み食い懇親会…となってしまいました。しかし、2人のタイプの違う著名米国人照明デザイナーの仕事を、日本人照明デザイナーが辛口に批評する、などというのはけっこう面白いもの。私自身も参加者のユニークな質問攻めにあって、楽しく時を過ごしました。私も参加者も、たいへん勉強になりました。やはりプロの建築家相手の探偵団ツアーは話が面白いですね。2つのホテルはそれぞれに特徴のあるグレードの高い建築空間。照明デザインを担当したのもプロ。しかし、意図通りに上手く行っているところと、どうしてこんなになっちゃったの?、という所もあって、それが照明デザインの難しさです。 2日間のワークショップは概ね好評でした。次回はシンガポールの団地や商業街路などの屋外を回る探偵団街歩きを企画する予定です。

なぜ TANTEIDAN が海を渡った彼の地でも面白がられるのか…。それは[光・あかり・照明]が誰にも最も解りやすく親しみやすい生活文化であって、生活の価値観が刷新されつつある今、皆に注目される素材だからであろうと思われます。住まいのあかりを格好よくする。自分の街の照明を自慢する。そんなことに誰もが目覚め始めているのです。Lighting Detectivesまたは TANTEIDAN。新しい流行言葉が電波にのって地球上を飛び交っています。

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