2005年11月9日
最近巷を席巻している“萌え~” の発祥の地、秋葉原。 オタク都市としての注目が高まる一方で、積極的な開発 が進行中です。都市の大きな変容を予感させる秋葉原 の過去と今と未来の混在の中に、ひかり萌え探偵団は 何を見て取ることが出来たのでしょうか。
新興開発スポットとジャンクマーケット
JR 秋葉原駅電気街口に集合した探偵団は、手始めに2005年の春にオープンしたダイビルに向か いました。IT 関連産業の世界的な拠点を作ることを目的する“秋葉原クロスフィールド” の切り込 み隊長としてオープンしたダイビルの外観は、今の秋葉原に抱くイメージとは隔世の感があります が、ウォールウォッシャ- で照らし出された十分に天高の取られた空間と青色LED で演出された公 開空地は、これまでの秋葉原では体験できなかった空間を作り出しています。
現在の秋葉原は、つくばエクスプレスの開通、D-Akihabara という期間限定ミュージアムの開催な ど積極的な開発がなされています。ダイビルがもたらした風景からは、新しい秋葉原の姿が垣間 見えるようです。
エスカレータで2階へ上がると、眼前にはほぼ同じレベルにある電車のホームに山手線が入ってき たり出て行ったりという風景が展開します。その奥には、大きなボリュームを持ったヨドバシカメラ が控えますが、そのほかに空に向かってそびえる物がまだなく、電車のホームは暗い空を背景に 従えてドラマチックな景を演出します。この風景は、今回の街歩きを通して発見した素敵なシーン のひとつです。
ダイビル周辺の見学の後、探偵団は3つのグループに分かれ、電気部品専門店がひしめき合う一 角に足を伸ばし、グループごとにおもしろいヒカリモノの探索に出かけました。( そこで入手したヒカ リモノは11月17日に行われたサロンにて発表されました) 。
このような電気部品専門店には、掘り出し物がどこかに眠っているのではないかというわくわく感が あります。雑然とした宝の山から自在にいろいろと取り出しては、気軽に質問にも答えてくれるお 店の主とのやりとりのおもしろさも、このマーケットの魅力ではないでしょうか。(村岡桃子)
世界一のオタクビル街
電気部品専門店を後にした探偵団は3つのグループに分かれ、中央通の電気街を調査しました。
この通りを彩っている巨大看板をつけたファサードを巻物にするため連続した画像を記録していきま した。オタク街(電気街) をエレベーションで見ると、広告が非常に多いということが分かります。 個人が主役の街であり、個人の力で、秋葉原という文化を創りだしてきたためでしょうか。さまざ まな大きさの広告が、照明により個々の存在を示しています。同時に、秋葉原という街の趣味や 志向がそのまま表現されてもいます。
照明手法としては、オタクビルのトップに大きなネオンの広告があり、ファサードには建物の顔を塞 いでしまうくらい長い広告が上下からライトアップされています。もっとも光が溢れていたのは低層部 であり、ここには無駄という以外当てはまらないような照明手法が使用されていました。建物の入 り口付近には商品が高密度で並べられ、それと同様に蛍光灯も高密度に並べられて輝いていまし た。そこは昼間のように明るく自然と店内に引き込まれるような感じになり、通り全体で見ると低層 部分は光の帯が輝いて見えます。
しかし再開発されたビルにはこのような光が存在せず、小綺麗で落ち着いた雰囲気でした。 オタク文化であるこの街に、再開発により志向の違ったIT 関連の施設や高層マンションが並置され ることは、世界一のオタク文化にどのような影響を与えるのでしょうか。また、光環境が今後どの ように変化していくのかとても楽しみです。
(山本幹根)