2023.10.17 東悟子
2020 年に国際ダークスカイアソシエーションの星空保護区に日本で2 番目に認定を受けた神津島。空に無駄な光を飛ばさない街路灯に替え、光害のない街づくりに取り組んでいる。この取り組みで変化した夜の環境を村民がどう感じているか、ワークショップを通して見えてきた。
世界中の天文学者や医師、環境学者を中心に光害の問題に取り組んでいる国際ダークスカイアソシエーション。世界中の光害対策を講じている都市や場所に星空保護区という認証を与えている。認定を受けるにはかなり高い基準をクリアしなければならず、ハードルが高い。その認定を2020 年に受けた神津島。島中の街路灯、防犯灯600 基ほどを上空に光がもれないものに交換。色温度も2700K のものに統一させた。星空を守るだけでなく、数十年見られなかった
ウミガメの産卵もみられ、周辺の生態系の改善にも大きく寄与している。
街路灯の交換に対する住民の反応も概ねいいようで、「白くて明るすぎる光がなくなって快適」という声を多く聞かれた。しかし「暗くて不安な所もある」という声も聞かれるということで、実際に街に出て、どの辺りが不安または心地いいのかを地元の人と議論しながら歩いた。まず目に入るすべての街路灯が同じ色温度で統一されていたのは驚きで、街のどこの角を曲がっても現れる街灯は同じ色を発し、神津島の穏やかな夜の街並みを作っていた。街の所々で見られる暗いスポットは、足元も本当に暗いが、空を見上げると満天の星空に出会えるスポットでもある。遠くに街灯が見えると安心感もあるし、星空も見えるので、街灯を足すのではなく、星空には影響しない足元灯を設置すればいいのではないかと実際に低い位置から足元だけを照らす実験をしたりした。また街の所々で出会う自動販売機の横からの照明がいい塩梅で、皆その意外な発見に驚かされた。
街灯は上方向の光はないとはいえ、まぶしく感じる所も。目に入るまぶしさ故、逆にその周りが暗く感じるといことを発見し、まぶしいところを手で隠すと、周りがよく見えるようになることを体感した参加者はだいぶ驚いていた。
照明を見ながら歩くというのは参加者全員初体験。神津島は他にはない街路灯の整備が行き届いている貴重な場所であることを再認識しつつ、不安に思っているところが少しの工夫で改善できそうというも体感してもらえたので、これからに繋がるワークショップになったのではないだろうか。( 東悟子)