発行日:2018年3月13日
・照明探偵団倶楽部活動1/世界都市照明調査 in Copenhagen/Stockholm(2017/12/02-12/09)
・照明探偵団倶楽部活動2/第59回街歩き:東京イルミネーション巡り (2017/12/20)
・照明探偵団倶楽部活動3/第57回照明探偵団サロン (2018/02/20)
世界都市照明調査 in Copenhagen/Stockholm
2017/12/02-12/09 林虎 + 黄思濛
北半球の緯度の高い位置にある北欧4か国では夏と冬に白夜、極夜の自然現象がみられる特徴的な場所である。今回は調査日程を12月とし、極夜に近い状態の都市の光、人々の暮らしを探る事を目的とした。夜が極端に長いと生活リズムにも影響するだろうか。街の明かりや住宅の照明はこれらの問題を改善するような光になっているのだろうか?公共施設や住宅の照明から北欧独特の光環境を調査してきた。
クリスチャンスボー城
デンマーク国会庭園のポールライト
車道のカテナリー照明
■デンマーク、コペンハーゲン
スカンジナビア諸国、デンマークの首都であるコペンハーゲンにはクラシック意匠と現代意匠が共存しており、町のエリアでそれぞれが分かれていた。運河を隔てたエリアは新開発地域であり色々な新しい施設が建っていた。この町を歩くと歴史が感じられ、物の作りに対しても非常に大切に考えていることがわかる。
■クラシックな光
コペンハーゲンはクラシックな建築意匠、光の使い方など歴史を感じられる町である。また意外に暗い街でもある。町全体が暖かい色味の照明で計画されており、アジアの町と違い、白い光は非常に少なかった。車道の照明にはカテナリー照明を使用していた。光は若干眩しいが、効率的な照明手法だと思う。室内からはほんのりした光が漏れてきており、ファサード照明にプラスの光効果を与えている。
旧証券取引所は1618年-1624年に建てられた建築で1857年から個人所有になった。大通りに面している壁面がレンガで出来ている長細いクラシックな建築にはそれを目立たせるような派手なファサード照明の演出があるべきだと思ったが、近くで見ると照らした感がない程度の明りで照らされていた。建物の向かい側にポールが立ち、そこにファサード用照明とカテナリー照明用のワイヤが固定されていた。ファサードは二種類の蛍光灯ランプで27m離れたところから照らしていた。その鉛直面照度は3-30lux、色温度は2400-3500Kだった。
大通りはカテナリー照明で計画されて、交差点には高さ11mくらいの街路灯が設置されていた。派手なファサードのライトアップより、場所によってはこういったほんのりした照明演出も良いかもしれない。
旧証券取引所のファサード照明
■ショッピング街の光
ショッピング街もカテナリー照明をメインで使っており、割と落ち着いた雰囲気だった。印象的だったのはアジアのような派手な発光式の看板が非常に少なかったこと。サインへの照明は主に間接照明か、アップライトが多かった。看板よりショーウィンドウを営業的に活用しているようだった。ショッピング街のカテナリー照明はLED光源で色温度は3000K、通路の平均照度は15lux 、直下で30luxだった。様々な店が集まっていながらも、照明はきちんと計画されており、町とよく調和しているのが印象的だった。
■童話王国の光
1843年に建てられたチボリ公園はコペンハーゲンの長い夜を彩っている。夜のイルミネーションには違う意味でのショックを感じた。とても派手な照明の演出だが、やりすぎ感は全く感じられなかった。メインの入り口から入ると光の森に入ったような気持ちになり、違う世界にいるようだった。全体的に2400Kぐらいの低い色温度光源で計画されている特徴的な乗り物はRGB照明で演出されていた。イルミネーションショー以外にも音楽、噴水、照明を連動した演出もあった。チボリ公園のイルミネーションは遊園地の照明のスタンダードと言っても言いすぎではないと思う。
幸福指数第一の国、デンマークの首都コペンハーゲンは長いストーリーを持っており、町の歴史、文化が日常生活に染み込んでいて、人々が緩かい環境で暮らしているように見えた。照明環境も昔からの蝋燭、ガス灯、白熱電球の雰囲気を保つために、町の9割は低い色温度の照明になっているのがとても印象的だった。(林虎)
チボリ公園正門口
チボリ公園メリーゴーラウンド
チボリ公園のプラザ
チボリ公園の通路
■スウェーデン、ストックホルム
14の島と50を超える橋で構成されている都市ストックホルムは特に水辺の景観が重視されている。外壁への照明はなく、濃いブルーに染められた空を背景に統一された暖色の窓明かりが水平線のリズムを創り、オレンジ色に発光しているポール灯がちりばめられた星屑の様に街を装飾する。水に映った光は同じく暖色でありながらも、僅かに異なる色彩と強弱を持ち、絶妙なグラデーションを創り出している。12月のクリスマスシーズンではあったが、カラーライティングの様な演出やイルミネーションは一切無く、大きく飾られたツリーでさえ照明の輝度は強いものの、色は白の単色であった。
■穏やかな暗い街並み
白い防犯灯が多い日本で生活している人にとって、ストックホルムの街はとても暗く感じてしまうだろう。
その最大の原因は光源の色である。主要道路や公園でも照明器具の形は違っていても光源の色は基本的に2700K。街全体が落ち着いた穏やかな雰囲気になる。王立公園とその周辺を例に見ると、東側の道路はノッルマルムとガムラスタンをつなぐ橋へ連結する道路だが、片側にのみ下向きの2700Kの車道用ポールが19m間隔で立っている。反対側は建物が並び漏れ光を利用できるためか、発光型の3mほどのポール灯のみだった。それでも歩道は8-20lux、車道は30luxと必要な照度はまかなえている。
車道用ポールに木のアップライトと反対側のファサードを照らすスポットライトを取り付けている工夫もあった。公園内は1-5luxだったが、歩道は10lux程度確保されているので、通行時の不安や危険は一切感じなかった。調査時は広場にスケートリンクが設置されていて、紫の照明で演出されてた空間はアイキャッチになっていた。
ここではポール灯であったが、コペンハーゲンと同じく、ストックホルムも車道の多くはカテナリー照明を使用しており、ポールが無い為見た目がスッキリするだけでなく、光源が道路の中央にある事で効率良く照らせるのも利点だ。間接照明を用いたカテナリー照明等、デザインも工夫されていた。
石畳が残る旧市街ガムラスタン。ポール灯は無く照明が建築ファサードに取り付けられている。
セーデルマルムの水沿いに建つオフィスビル。住宅だけでなく、オフィスの光も暖色で統一されている。
間接カテナリー照明
道路中央に光を落とすカテナリー照明
■住宅のあかり
生活に一番近い光はやはり住宅のあかりである。街を歩いていても窓から見える住宅のあかりは全て暖色の光で、窓際にスタンドライトが多く見られた。今回の調査ではストックホルムに住む照明探偵団員の住宅の中を見せてもらう機会があった。小学生の子供2人と4人家族で暮らす家にはシーリングライトが一切無く、代わりにリビング、キッチン、ベッドルームともペンダント、フロアスタンドやテーブルスタンドが生活の明かりを提供している。子供部屋にはDIYしたオーナメント照明や本棚後ろに間接照明があり、子供ながらに光に対するこだわりがあって驚いた。家の中の照明は全て暖色で統一されていて、照度的にも比較的暗めであったが、これが一般家庭の生活環境だと言う。明るさの感じ方は生まれ育った環境で変わってくるというが、北欧の子供は低い照度の環境で生活していく上で、暗さへの免疫がついてくる。反対に日本の家庭では未だに1室1灯の明るい部屋が多いので、成長してから暗めの環境で生活する事にどうしても違和感を覚えてしまう。小さい頃から暗い環境に慣れさせることが明るさを求めすぎない光感覚を育てるのだという事を実感した。
要所にスタンドランプが置いてある。器具のデザインにはかなりこだわりがあるという。
子供部屋にはDIYした間接照明のみ。窓も小さいのでかなり暗かったが、本人は特に気にならないらしい。
■世界一長い美術館
ストックホルムの地下鉄駅はアートギャラリーである。駅ごとに異なるアーティストがテーマに沿って独自のデザインをする。中央駅地下のカラーシャドウやRADHUSET駅のネオン管等、「光」の個性的な作品が見られた。「洞窟」をイメージしたシリーズの作品では同じ照明手法と色温度を用いて統一性を図っている。単調で無機質な地下鉄の駅が個性豊かに生まれ変わっていて、利用者を楽しませてくれる、素晴らしい発想だと思った。もう一度ストックホルムを訪れて、この世界一長い美術館を制覇しようと思う訪問者は、私だけではないと思う。
ストックホルムの地下鉄アート
■北欧調査を終えて
主要道路のイルミネーション
調査を通して一番感じたのは、北欧の人はグレアと明るさにとても敏感である事。公共施設では機能照明にも間接照明を用いたり、遮光版やルーバーを使用したりする事でグレアを最小限に抑える工夫がなされている。街全体の明るさは「安全が保たれる最低限のレベル」と定義していいだろう。建物へのライトアップや煌煌と照らされた広告看板はほとんど見られず、街路灯と窓明かりで街の光景が形成されていた。
訪れたのが12月いう事もあり、町には少し華やかなクリスマスイルミネーションも見られたが、これらもやはり日本のものと比べると随分控えめであった。この時期、1日の2/3を暗闇と過ごす事になる北欧の人にとっては、暖かい街明かりが気持ちを落ち着かせてくれる癒しの光となっているのだろう。 (黄思濛)
第59回街歩き:東京イルミネーション巡り
東京都心の冬のイルミネーションと街並みを見て回ろう
2017/12/20 萩元悠里子+坂口真一+三浦大輔+加藤将
冬の風物詩といえばイルミネーション。東京では様々なイルミネーションが夜の町を彩っています。今回の街歩きは都内のイルミネーションを見て回り、その人を引き付ける魅力とは何かを調査してきました。
冬の風物詩として定着したイルミネーション。毎年様々に趣向を凝らしたものが街を華やかに彩り、点灯式はテレビのニュースでも放送されるほど。これまで探偵団ではいろんな街歩きを行ってきましたが、冬の大きなイベントの一つとなり多くの人がその温かみ?を求めて訪れるイルミネーションの街歩きはありませんでした。今回、何故人はイルミネーションに集まるのか?イルミネーションに犯罪者はあるのか?等に着目して、丸の内と六本木界隈を街歩きしてきました。
東京駅前広場のイルミネーション
シャンパンゴールドを基調とした丸の内仲通り
既存の街路灯をクリスマスの演出に転用
■1班:東京駅+丸の内周辺
1班は面出団長他5名で東京駅周辺のイルミネーションの調査を行いました。ルートは東京駅丸の内広場→行幸通り→丸ビル・新丸ビル→仲通り→東京国際フォーラム→有楽町駅周辺。
丸の内広場・行幸通り・仲通りでは200本以上の街路樹がシャンパンゴールドのLEDで彩られていました。華やかで高級感ある丸の内周辺のブランドショップとイメージがあい、皆さんが英雄に挙げていました。また、街路樹が風で揺れると照明が枝で見え隠れし、キラキラ点滅しているように見え、これが計算であればすごいという話が上がりました。
続いて新丸ビル7階テラスから東京駅を俯瞰してみました。色温度が低い照明で統一されている上品な感じの丸の内側や、多彩なお店やビルがあるにぎやかな八重洲側を比較することができ、上からゆっくりイルミネーションをみるのも素敵だと感じました。丸ビル1階には10mを超える大きなクリスマスツリーがあり、15分毎にショーが行われていました。人が多く集まっていましたが、ショー自体はあっけなく終わってしまい残念という声もありました。
仲通りや三菱一号館のイルミネーションは既存の植栽ライトアップとイルミネーションが混在しており、イルミネーション点灯時には既存のスポットライトは消したほうがよいという意見があげられました。
有楽町駅周辺ではLUMINEが写真スポットを用意しており、SNSを意識した感じがありました。東京駅周辺とは違うみどり色のLEDで統一され大人な町を演出しているようでした。駅前のディズニーコラボクリスマスツリーと有楽町マリオンのイルミネーションも、既存の柱やポールライトを使用していて経済的でよいという声もありました。
今回、東京駅から有楽町駅にかけて調査を行いましたが、地域のイメージに合わせたイルミネーションを行うこと、既存の設備との共存を意識して計画を行うとよりよいものになると感じました。(萩元悠里子)
■2班:東京駅+丸の内周辺
2班は1班同様、東京駅から有楽町駅までの街歩きを行いました。
東京駅周辺は、ミチテラスイベント前でしたが、駅前広場が開業したばかりということもあり、多くの人出でした。温かみがある光の中で統一された広場の中で、一際色温度が高いバス停は違和感があり、何故色温度を合わせられなかったのかという意見がありました。また丸ビルのテラスから丸の内駅舎をみると、その後方に見える八重洲にある広告看板がとても目立ち、これを犯罪者だという意見が多く、全体の雰囲気を大切にするならこういった広告看板もある程度の規制が必要なのではと感じました。
丸の内仲通りのシャンパンゴールドのイルミネーションは落ち着きがあり、人々も温かみを求めてか集まってきます。カラフルなものもいいですが、こういう統一感もよいのではと感じました。色温度が違う埋め込み照明や角度がおかしく眩しいスポットライトなどが犯罪者に挙げられました。
有楽町駅周辺では、既設のポールライトを活用したイルミネーション照明があるなど、カラフルな赤と緑のバランス等、東京駅周辺よりはカラフルでにぎやかな感じがします。眩しいほどの赤いものもありました。
イルミネーションにもそれぞれの場所の特徴や地域性を活かしたものを各所で展開し、それに人々は引き寄せられているのではと感じました。そういったイベントを開催するときに既存の照明に対する一工夫があるともっと良くなるのではと感じた今回の街歩きでした。(坂口真一)
葉がついていない幹を緑で照らす おどろおどろしい雰囲気に
SNSを意識したフォトスポットが点在
六本木ミッドダウン芝生広場のイルミネーション
時間で色が変化する六本木けやき坂のイルミネーション
■3班:六本木界隈
イルミネーションは全国各地でさまざまな形で行われています。その中で、六本木のイルミネーションは、人が移動しながら見て楽しめるスポットになっています。3班は「六本木ヒルズや東京ミッドタウンなど有名なイルミネーションスポットを回遊する街歩きを行いました。
六本木ヒルズ近くのけやき坂のイルミネーションは、時間によって色が変化する仕掛けが施されています。白と赤2種類のライトアップが交互に変化し、同じ場所でも雰囲気がガラリと変化する様子が豪華で美しかったため英雄だと声があがりました。班内では白と赤のどちらがより英雄か議論になっていました。私は白色がより英雄と感じました。
東京ミッドタウンでは、鮮やかなイルミネーションイベントが開催されていました。芝生公園へ続く通路にはLEDでデコレーションされた煌めく木々や木の枝をワイングラスに見立て装飾したものなど、様々なイルミネーションが施されており、歩きながら楽しめました。ただ、植栽のスポットライトがLED装飾がされていない木の枝を照らしており、犯罪者として挙げられていました。
スヌーピーミュージアムでは、スヌーピーが動いて見えるイルミネーションが施されていました。また、閑静な住宅街の中ということで、イルミネーションが建屋の内側のみに配置されており、敷地外に向けて光が漏れないようになっており、いわゆる「光害」に配慮されているようでした。
ミュージアムを後にして閑静な住宅街を歩いている時、ふと脇道を見たところ、東京タワーの優しい光を見つけました。イルミネーションという非日常の中でいつも見ている優しい光もまたほっとする美しさがあるなと感じました。
六本木のイルミネーションには様々な工夫がみられました。照明に色々な意味を付加することにより日常とは異なる非日常を演出し、人々はそこに感動を求めてイルミネーションを楽しんでいるのではないでしょうか。閑静な住宅街から時折顔をだす東京タワーの優しい光のように日常の光に安らぎを感じる人々も、普段と違う煌びやかで美しい、非日常的なイルミネーションに魅せられるのではないかと感じた街歩きでした。(三浦大輔)
■ 4班:六本木
4班は、3班と共に六本木を街歩きしました。
まず訪れた六本木ヒルズには、蝋燭の灯りを模したフィラメントで形成されたクリスマスツリーがありました。フィラメントが蝋燭の火のように揺らいだり消えたりする演出が好評価でした。しかしクリスマスマーケット内に作られた自動車展示スペースでは、対象物となる車に照明が当たっておらず、逸れた光源が通行する人の目に入るということで犯罪者に挙がりました。
次に向かったけやき坂通りでは、街路樹のイルミネーションが、時間によって白と赤橙に変化するオペレーションになっていました。特に赤橙に光っている時は、寒い冬でも暖かい気持ちになるという意見が多く英雄に挙がりました。
次に毛利庭園へ向かいました。背の低い樹木を装飾する光が庭園内の池に反射し、奥行のある景観となったことから英雄に挙がりました。
趣向を変えてスヌーピーミュージアムにも立ち寄りました。誰もが「可愛い」スヌーピーに期待を寄せていましたが、待っていたのは「悪」のスヌーピーでした。スヌーピー像に対し足元からライトアップすることで、口元は明るく、目元は暗くなってしまい、悪巧みをしているかのようになっていました。
最後に訪れた東京ミッドタウンでは樹木をピンクの光で装飾するイルミネーションを行っていました。光源にキャップをすることで輝度が軽減され、それが柔らかな光を放ち、その光の色が桜を連想させるということで英雄に挙がりました。
昼間はビルに囲まれ無機質な印象を受ける六本木ですが、夜間は光という化粧をまとい人間味を感じさせる雰囲気を醸し出していました。そこに癒しや期間限定の特別感を求めて、イルミネーションに人が集まるのではないかと感じました。(加藤将)
街歩きの趣旨説明に耳を傾ける団員
懇親会での意見交換
第57回照明探偵団サロン
イルミネーション街歩きレビュー
2018/02/20 本多由実
大雪のため1か月遅れで開催されたイルミネーション街歩きレビュー。なぜ人はイルミネーションに惹きつけられるのか、ヒントは見つけられたのでしょうか。
各班毎に街歩きの感想や意見がまとめられ、プレゼンテーション
体験型イルミネーションの紹介も
班のリーダーを中心にレビューが行われる
12月に開催した東京イルミネーション街歩きのレビューを行いました。
丸の内~有楽町と、六本木ヒルズ~ミッドタウンの2か所に分かれて煌びやかな12月の街に繰りだした団員達、観察対象が飾り付けられた街であったため「犯罪者を見つけるのが難しかった」というコメントも多く上がりました。
1・2班が歩いた丸の内や有楽町。丸の内では重厚感のある街並みとシャンパンゴールドのイルミネーションがシックな雰囲気を作り上げ、また指向性の強いLEDによって光がきらめいて見える様子が高評価でした。一方で、有楽町側の緑や赤のイルミネーションについては賛否両論。参加者の勤務先近辺でも単色のイルミネーションが目にきついということがあり、街としての統一感を持たせながらも、目に優しい色の光とするのが大切だと実感しました。
3・4班の歩いた六本木界隈ではエンターティメント性の強いイルミネーションが盛り沢山でした。人の動きと連動する光や、時間によって色が変化するイルミネーション、水に映り込む光の粒、様々な光の仕掛けが施され、大勢の人が光と触れ合って楽しんでいた様子でした。ただ、気合の入ったイルミネーションは見ごたえがありすぎるようで、揺らぐフィラメント電球や、不意に垣間見える東京タワーの暖かな光に安心感を覚えたという声も多くあがりました。
いずれの箇所も、眩しい器具や通常時の樹木アップライトなどが点いていて繊細なイルミネーションの効果を打ち消しているものが犯罪者としてあげられていました。イルミネーション自体は細やかに取り付けられていて高評価で、高揚感だけでなくほっとするような光があるとより好印象のようでした。
近年は日本でも色々な場所で大掛かりなイルミネーションが開催され、「派手で過剰だ、街が混雑する」というマイナスな先入観を持ってしまうこともありますが、「寒い時期なので火に集まる本能が刺激されるのでは」、「期間限定なので非日常な光の量も寛容な心で見ることができる」、「細やかに樹形をなぞった物は純粋に美しい」などと前向きな観点も話し合うことができました。近所の人が喜んでくれるので自宅や事務所に飾っているという団員からは、大規模なイルミネーションの経済効果についての話題もあがりました。
老若男女に直感で綺麗だと思わせる光の力、に気づかされるイルミネーション。来年から少し見る目が変わりそうです。
また、一般公開で行われた上野の杜の街歩き+東京国立博物館での照明実験の報告も行われました。街歩き~改善案の検討~照明器具を使っての実験、と自分たちの手で光を動かしてライトアップを行うという一連の体験はとても有意義だったようです。上野の杜が夜にも歩いて心地よい場所となるよう、今後の活動にも期待が高まります。今回はメーカーの協賛をいただいての開催でしたが、大がかりなものではなくとも懐中電灯を使ったライトアップもまたやりたいね、と団長はじめ古参の団員たちは思い返していました。
2018年度はどのような探偵団活動が開催されるのか、皆さまお楽しみに。(本多由実)