ライトアップニンジャ

第5回 ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore

2005年11月19日, 20日

ニンジャ現る!

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
告知用のパンフレット

もともと照明探偵団では、光を“さっと当てさっと逃げる”一夜限りのイベントを、「ライトアップゲリラ」と呼んでいました。しかし、このご時世「ゲリラ」という言葉は、政情が不安定な近隣国を抱える東南アジア地域では、あまり響きのよいものではないという声もあり、「ライトアップゲリラ」は名称変更することになりました。 

新名称を東京とシンガポール双方で考えている時、シンガポールの探偵団員ヤーリさんから「ライトアップローニン」という提案が出ました。クロサワ映画ファンのヤーリさんは、受験に失敗して更に勉強中、という日本現代社会における「浪人」の定義はもちろん知りません。「人生の真意を探求する彷徨者たるローニンは、照明探偵団の哲学にふさわしいのでは?」とまじめに考えてくれたのです。

結局、東京の探偵団に在籍中のアメリカ人レイチェルさんが提案してくれた「ライトアップニンジャ」が採用されました。「ニンジャ」といえば世界中どこでも通じる日本語ですし、イメージが探偵団にぴったりです。

デザインフェスティバル

シンガポールで行わるはじめてのデザインフェスティバルに照明探偵団の参加要請があってから、どこでどんなイベントをやろうか・・といろいろなアイディアがディスカッションされました。以前から目をつけていたニンジャイベントにふさわしいロケーション、例えばかの有名なコロニアルホテル・ラッフルズホテル、世界3大がっかりモニュメントに堂々仲間入りのマーライオン、世界最大規模を誇る貿易港のコンテナやクレーンの群れ・・・などなど、何かやったらおもしろそうな候補地が次々に挙げられます。壮大なアイディアが行き交いながらも最終的に行き着いたのは、ニンジャの原点、街角に潜む通常は特に目にとまらないような風景を、少しの光によって照らしてあげよう、というところでした。

そして、もうひとつ大切なこと、誰もが参加できるワークショップ形式のイベントにしようということでした。

シンガポール探偵団の拠点となっているのは、20世紀前半に建てられはじめたショップハウスと呼ばれる低層の建築が軒を連ねるチャイナタウンの一角で、その装飾的なファサード群とヒューマンスケールな街路が魅力的な雰囲気を醸し出しています。ローカル色たっぷりな庶民的な商店や食堂に混じっておしゃれなカフェやレストランが点在し、デザイナーや建築家の事務所も多く、独特のコミュニティが形成されています。私たちがワークショップの場所に選んだのは、そのコミュニティに沿うように800メートルくらいに細く延びる散歩道のようなこじんまりした公園、ダクストンプレインパークでした。

本番

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
参加者への説明の様子

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
ワークショップの様子

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
準備万端の面出団長と団員たち

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
大きな樹木が照らし出される

ライトアップニンジャ@Duxton Plain Park, Singapore
仮設マティーニバー

シンガポール探偵団員の板倉さん、菅又さん、ヤーリさん、ガウラフさんにとっても初めてのライトアップニンジャ体験とあって、ワークショップ当日の11月19、20日までドキドキの連続です。 大きなトロピカルな植栽が美しい公園の4か所をセレクトして、4社の協賛照明メーカーと共に光の絵葉書をつくるための準備に奔走します。

シンガポールでは、ニンジャ活動といえども、公共の場に勝手に出没するようなことは好まれないので、国立公園庁、陸路交通庁などのお役所にもきちんと事前に届けを出します。あとの心配は天候です。熱帯雨林のシンガポールはこの時期雨が多く、たたきつけるような豪雨が毎日降ることもあります。こればかりは晴天を祈るしかありませんが、ワークショップ前日も雨で私たちの不安は募る一方でした。

そして当日を迎えました。朝から曇り空です。

公募で集まった定員25名の参加者の多くはデザイン事務所や設計事務所に勤務する若い人たちでしたが、14歳の中学生、投資家、ジャーナリストなどの参加もあり、面出団長もこのワークショップのためにシンガポール入りして、賑やかな幕開けとなりました。

まずは探偵団事務所で団結式です。これまでの活動紹介やガイダンス、協賛各照明メーカーの紹介後にくじ引きで4チームに分かれ、4名の団員がそれぞれのチームリーダーとなり、ワークショップ開始! 家庭用の照明器具以外の照明器具に触れるのははじめてという参加者も多く、光源の種類や器具の性能などについて、早速照明メーカーの皆さんや各チームリーダーを質問攻めにします。皆で事務所に山と積まれた器具を運びながら現場での仕込みが始まります。
賑やかな大通りに面した公園の入り口はガウラフさんチーム担当で、マーティンのプロジェクション器具を使って通り沿いのビルの壁面にニンジャロゴを投影と、樹木のライトアップを試みます。

公園を入ると細長い散歩道が続きます。ここは板倉さんチームが、フロスの照明器具を使ってベンチや白い花が美しいフランジパニの木をオブジェに、アウトドアラウンジの風景を演出します。

更に進むと、高架に車道が横切るために4メートルくらいのトンネルがあります。ここは菅又さんチームがカラーキネティックスの協力を得て、素っ気無い空間をカラフルで楽しいエリアに変身させます。そして、公園のもう一方の出入り口には、樹齢を重ねたご神木バンヤンツリーが鎮座しており、ヤーリさんチームがエルコの器具を使ってきれいに照らしてあげます。

そして、白っぽい光でぼんやり公園を照らしているポール灯は、せっかくの情緒ある公園のムードをぶち壊していると、ダンボールでシェードをつくり蓋ってみることにしました。

この日は本番前夜のリハーサルなので、全ての器具の点灯はしませんが、電源機を発動させてケーブルを引いたりする、縁の下の力持ちである電気工事屋さんたちも、こういったイベントに慣れていないために準備は予想以上に難航します。汗だくになりながら土曜の晩が過ぎました。

ワークショップ2日目、参加者は3時に集合して、ポール灯のシェードづくりと現場調整に入ります。その頃には参加者も皆打ち解けて積極的な提案やアイディアがどんどん出てきて、頼もしい限りです。それぞれの位置に器具がスタンバイされ、ポール灯も手作りシェードを被り、キャンドルにも光が灯りました。7時になり、いよいよ点灯式です。 

公園の入り口に全員集合して、面出団長の宣言と共にニンジャ君のプロジェクションがオンになります。街を行き交う人たちも、何が起こっているのかと集まってきました。参加者がそれぞれのチームのライティングコンセプトを説明しながら皆で公園を回遊します。 とっておきは、きれいな青いボトルが有名なジンのブランド・ボンベイサファイアが、この一晩限りのライトアップのために設置してくれた移動式マティーニカウンター。公園がラウンジバーに変身です。2日の長い、熱い(暑い)ワークショップに乾杯! シンガポールのみなさん、おつかれさまでした。今にも雨が降り出しそうな雲行きだったのに、2日間持ちこたえてくれたお天気にも多謝!

(葛西玲子)

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