探偵ノート

第069号 – 多摩美の図書館に漂う光

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この図書館が完成したと聞いてから早く行ってみたいものだと思っていたが、探偵団街歩きの一環として、照明探偵団一行15名ほどで夕暮れの多摩美に立ち入った。伊東豊雄さんの建築設計、藤江和子さんの家具設計によることは良く知られているが、この図書館も含めてこの10数年来、多摩美のキャンパス建築計画をコーディネートした田淵諭先生に、お忙しい中、図書館とキャンパスの案内をしていただいた。

坂道に建てられた図書館は1階の床も坂道になっている。う~ん変な感じだな。以前に荒川修作の水平でない公園を味わったことがあるが、水平でない床には妙な感覚が呼び起こされるものだ。子供の頃の空き地を駆け巡る感覚か。ゴルフ場のアップヒルなフェアウエイを渡る感覚か。しかし床は斜めだが、そこに作りつけられたテーブルトップはもちろん水平。だから椅子に腰掛けて机上の本やノートに集中すれば「斜め」を忘れることができる。機能的には問題ないな。

照明探偵団だから、誰となく床の照度や机上面の照度、鉛直面の照度なども測り始めている。正確な照度は忘れたが、私の照度計は机上面でも平均400ルクス程度を示している。天井のスーパーアンビエント照明の間接光だけでの照度としてはこれもOKだ。部分的に大きめのセード付きのスタンドを使っているのもお洒落。ここでの照度はもう少し高い。

緩やかにカーブする家具のレイアウトにも助けられて、このユニバーサルな空間には柔らかさを感じる光が漂っている。探偵団員からの質問は、「やはりこの白い光がいいんですかね」「天井からの間接ペンダントの光源がここから見えますよ」というようなもの。これには伊東豊雄さんに答えてもらいたいが、白かオレンジかという光の色については混色や使い分けが許されるなら両方、許されないなら白色が適していると私は思った。外光に強く影響される昼間がメインの空間だから。蛍光ランプが見えてしまう…というのは、どうにかして欲しいと私も思ったが、照明デザイナーを起用した形跡がないので、これもご愛嬌というところか。伊東さんごめんなさい。

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