探偵ノート

第77号-都市と地方

Update:

Interviewer: 黒部 将史

黒部:今日のコーヒーブレイクのテーマは「都市と地方」についてです。私は地方の田舎町出身ですが、今は東京に住んで長くなり都会の生活にも慣れてきたところです。先日、島根出雲の照明調査に行きましたが、街を歩いていると照明が都市の照明と違って無造作で変に飾っておらず素敵でした。個人的に、地方の照明は街の中で体感することが好きで、都市の照明は遠くから眺めるのが好きです。例えばここLPAオフィスからみる夜景といったところでしょうか。

面出:それは新しい視点だね。「都市と地方」でいうと、僕らが「東京には暗いところがないね」と声を上げて言っていることが地方に行くと、田んぼに落っこちちゃう人がいるほど暗いところが多かったりするんだよ。それで、こっちにも明かりを足してもらわないといけないと言ってLEDの防犯灯が設置されるわけで、、ステレオタイプ的に言えば都会の明るさと地方の明るさは光の肌合いというか格差がすごくあるんだと思うよ。

黒部:確かにそうかですね。地元に住んでいた時には、暗さに関して不便だとか考えたこともありませんでしたが、今になって帰省してみると何も見えないくらい暗い所が本当に多いです。 ところで、面出さんはいろんな国へ行かれていると思うのですが、好きな地方の田舎町とかはあるんでしょうか。

面出:行ってはいるけど、それは大人になってからの出張がほとんどなので、ビジターとしての視点しかない。そういうものではなく、日常的な体験が大切。私の小学生の頃はよく栃木の宇都宮にひと月くらいの夏休みを過ごしていた。その経験で言うと、都市と地方の違いは漠然と景色だけじゃなくて、その土地の音とか匂いとかがあったりする。都市の匂いっていうのはいろんな匂いが混ざっているから典型的にこれといったものはないよね。両者の生活の格差は確かにあって、地方の人が都会にでてもっと自由になりたい人がいたり、逆に都会に出てきてなじめないなと思う人もいたり・・・。
黒部さんが東京にきたときはどうだったの?

黒部:上京したての頃は人の多い街を歩き回って、自分は東京人の一員だなんて思っていました(笑)今ではすっかり生活に慣れてきて、あまり人の多いところにはいかなくなりました。あと、今の生活にはとても満足していますが、将来は遅かれ早かれ必ず地元に帰りたいと思っています。これは自分でもなぜだか分かりませんが、帰属意識か何かでしょうか。

面出:確かに日本人は昔からなにか神がかりなところを自然の中に求めるから、郷土愛があって、そこに根づいたものに対する執着がすごいよね。アメリカ人からしたらありえないね。だけど悲しいことに最近では、関西の人が関東にくると関西弁をしゃべらなくなってしまうような地方の色や雰囲気の標準化が進んでいるよね。どの駅で降りても、あまり違いがみられない。そういう意味では都市の地方化、地方の都会化だね。

黒部:確かにそうですね。自分も標準化された側の人間で、地元の方言は上京してからだんだん無くなってきました。逆に地元へ帰ると、周りの皆が会話の中で方言を使っているのを聞くと多少の違和感があります。地元が好きなのでこんな人間にはなりたくなかったのですが。

面出:そういった地方の色がなくなってしまうのは少し寂しい気がするね。意図して残していかないと本当になくなってしまう。自分も地方で野菜を作って生活するのもよさそうだなと考えたこともあったけど、やっぱり私は田舎での野菜づくりはできそうにない。便利な都市の中で生きていくんだろうね。都市の汚れた空気も悪いものじゃないよ。

黒部:日本人特有のその土地への帰属意識が裏目にでて、移り住んだ都市に完全に馴染もうして、その人の持つ地方の色や雰囲気が失われているのかもしれませんね。私とLPAという会社の関係にも似ていて、そこに所属し淡々と業務をこなすだけではなく、自分の持つ色や雰囲気を出せるようにこれからも頑張っていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

おすすめの投稿