Interviewer: Josephine Kwan

Josephineの旅の日記やスクラップブックをめくりながら会話スタート。面出さんは1980年代から使い続けている手帳を持参した。
面出:あなたのこのジャーナルやスクラップブックは、思い出を残すために書いているの?すごい書き込みだね。美しいよ。
Josephine:はい。旅行の記録や、その日にあった出来事を書き留めています。行った場所や、その日にしたことをイラストと一緒に記録するのが好きで、日々の出来事を忘れずに残しておきたくて。私の宝物です。
面出:何歳からそういうことを始めたの?
Josephine:今から10年前、15歳のときです。始めたばかりの頃は、自分で手作りしたノートに、カラフルなペンやステッカーをたくさん使って書いていました。面出さんはいかがですか?
面出:私はもう40年以上、LPAを設立する前からずっと同じタイプの手帳を使い続けています。1990年にLPAを立ち上げてから現在まで、出張や視察に行く機会が本当に多かったので、忘れないように記録を残すようにしたんだよ。字を小さくしないと入らないけど、時々自分でも小さすぎて読めないこともある。
Josephine:ジャーナリングを続けることは、面出さんにとってどんな意味があるのですか?
面出:私はとても忘れっぽいから、忘れないように記録しておくんですよ。想い出のためではない、未来のためです。あなたは毎晩書いているの?
Josephine:私もすぐ忘れるんです。日記は夜に書くことが多いですが、旅先では昼間に書くこともあります。朝食を食べながらカフェでゆっくり座って、ちょうど今みたいにスケッチを描いたり。
面出:時々友人とやりとりをすることもあるのですが、あなたはどう?
Josephine:私もします!特にオンラインで知り合った友人とは、よくポストカードや手紙を送り合っています。そういう文通相手のことを「ペンパル」と呼んでいて、手紙でやり取りすることを「スネイルメール」と呼んでいます。
面出:私は電話があまり好きではないんですよ。電話やメッセージだけでやり取りするのではなく、できるだけ手紙を書くようにしています。安藤忠雄さんも、よくポストカードを書かれますよ。私の友人にも手紙を書くのが好きな人がいて、いただいた手紙は今でも大切に取ってある。かなりの量になりますよ。
Josephine:外出先でスケッチをすることはありますか?
面出:もちろん、ノートはいつも持ち歩いていますよ。世界中を旅するなかで、たくさんのスケッチを描いてきたけれど、デザインのアイデアを考えるときは、ノートではなく一枚一枚の紙に描くことが多いかな。トランプのカードのように、一枚ずつ独立しているので、必要なときにスキャンしたり、人に渡したりしやすいんですよ。
とても美しいジャーナルをつけている友人もいるけど、私はそこまできれいに整理はできないな。 あなたのジャーナルには、これまで歩んできた歴史や、大切な思い出がすべて詰まっているね。色は使ったりするの? 水彩とか油絵の具とか。
Josephine:今はあまり使わないですね。時間がかかってしまうので。でも、ランドスケープを学んでいた頃は、水彩用のスケッチブックを持ち歩いて、よく風景を描いていました。
面出:照明デザイナーにとって、新しいアイデアを考えるときにハンドスケッチをすることはとても大切だよね。スケッチを描いて、思いついたことを少し書き留める。頭の中だけにとどめておくのは私はあまり好きではないね。
あなたのスケッチを見て気づいたのですが、あまり影を描かないんだね。どれも輪郭線がはっきりした表現。現実の世界には、必ず影があるよね。私は10Bという柔らかい鉛筆をねかせて影を描きます。
Josephine:たしかにそうですね。今まで私は影をあまり意識して描いてこなかったのですが、最近はもっと表現の幅を広げたいと思っています。
今は何でもiPadに描く時代ですが、自分が見たものを画面の上で表現するのは、紙やノートに描くのとはまた違った難しさがあります。面出さんはいかがですか?
面出:iPadでスケッチするのは苦手ですね。やってみたことはあるけど、やはり紙に描くほうがしっくりくる。それから、あなたの絵は線がとてもシャープなんだね。書道やレタリングのような練習をしたことはあるの?
Josephine:学校の授業が退屈なときに、よく練習をしていました。書くことそのものが好きで、手書きの文字のスタイルがいくつかあるのですが、私の家族でも読めないことがありますよ。
面出:中国や日本では、子どもの頃に書道を習う人が多いよね。私の父も書道を教えていて、いつも「練習しなさい」と言われていましたよ。
面出さんは1989年と1990年の手帳をめくり始める
面出:若い頃から、頭の中だけに物事を留めておくのが苦手だったんですよ。だから何でも記録するようにしていました。
創業した頃は、頻繁に海外を飛び回っていて、ヨーロッパやアメリカを何度も往復し、建築家との打ち合わせのために飛行機に乗る毎日だったね。イランへ行ったかと思えば、その次はフランクフルトへ向かう、そんな生活。
LPAを設立したのが1990年8月8日で、そのわずか1週間後には、国際フォーラムの打ち合わせのためにニューヨークへ飛んで、そのすぐ後にまた別のプロジェクトで再度ニューヨークに行ったんだね。
Josephine:LPAという社名は、設立当初からの名前ですか?
面出:そう。「面出ライト」のような名前にはしたくなかったんだよ。親しい友人Paul Marantzが「Mende Light」という社名を提案して、ロゴのスケッチまで描いてくれたのだけど、自分の名前を会社名に入れるつもりはなかったんですよ。
私個人を表す名前ではなくもっと大きな存在で、人と人との対話を生み出せるような会社にしたくて。
ところであなたは、いつか本を作ることを目標に書いているんですか?
Josephine:それは、これから考えてみたいと思います。
面出さんとの対話を通して、私は自分が日記やスクラップブックという形で、大切な思い出を心に留め、記録し続けてきた人間なのだと改めて気づきました。この時間は、自分にとって「記録すること」の意味を見つめ直す、とても意義深い機会となりました。











