探偵ノート

第053号 – ソウルに蘇った水と光の川

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ソウルの街をこよなく好んでいます。体力回復、心のストレッチと美味しい食べ物を求めてかなり頻繁に奥様連れでぷらっと出かけます。特に極寒の年末年始が多いですね。韓国料理がこよなく好きで…と言っても、私たちは韓国料理の定番とされる焼肉などをあまり食べません。もっぱら滋養満点の各種スープ料理(湯)と自然味豊かな野菜料理、各種キムチや醤油漬け蟹、塩辛の類の珍味に明け暮れます。中でも牛スープのソルロンタンやトガニタンに、卓上の特大のステンレス容器に入った刻みネギをたっぷり入れて塩コショウで仕上げて食べる。これまた卓上に所狭しと置かれた特大のカクテキと白菜キムチはまさかと思うほど大量に消化する。これは里村という古くからの大衆食堂での出来事です。

さて、今回は韓国料理の話ではなく、ソウル市長肝いりのプロジェクト「チョンゲチョン(清渓川)」の光環境についてのノートです。ソウルの旧市街ミョンドンの少し北に清渓川路がありますが、ここは昔川が流れていたところ。それを「ソウルの街に川を取り戻そう」という市長の号令の下、様々な反論をよそに見事に親水公園を作ってしまったのです。その決断とプロジェクト完成までのスピードの速さには敬服します。日本の都市も少しはこの強引な市長のやり方に習って水を取り戻すプロジェクトに真剣に取り組んではいかがですか?

このソウルの再生川には、照明デザインも積極的に生かされていて、昼間にはない夜の景観を楽しむ人で一杯でした。川が流れるというより光が流れるかのような印象です。

印象的なのは水辺に配置された間接照明的な青い光。水位の変化を利用した滝口や、主要部分の川辺には、青い光が水の輪郭を強調しています。年末年始だけなのかどうかはわかりませんが、周囲の街路樹や光のゲートなどにも無数の点光源がセットされ賑わいを見せています。人々は寒風に震えながらも新年の光の賑わいを楽しんでいました。少し残念なのは、川面が路面より低いために、どうしても川を上から眺めるような場所が多くなり、そのために水辺に映る光の要素が少なくなっていることです。いっそうのこと川の水を利用しながらも、もっと水位を立体的に仕上げることができれば、光のデザイン手法も多様に提案できたはずです。水と光…。どきどきするような出会いが演出できるはずなのです。チョンゲチョンに励まされ、東京や大阪の街にも早く水と光が再生されることを期待したいと思います。格好いい「水の照明デザイン」、やりたいなあ。

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