2004年9月2日 @ Freie Akademie der Kunste
Transnational Tanteidan Forum 2004 in Hamburg
昨年のストックホルムフォーラムから早一年。2002年の東京から始まったTransnational Tanteidan Forum も今回で3回目となりました。“国境を超えた”という意味のTransnational。Internationalというほど堅苦しいニュアンスは無いけれども、もはや私たち照明探偵団の活動範囲に国境や垣根は無い、といったところでしょうか。
今回は既に初秋の雰囲気漂う美しい港町、ハンブルグにて。会場はFreie Akademie der Kunsteというハンブルグの中央駅にほど近く、とても便利なところ。ドーム型のホール内も柔らかい光で照明されてとても居心地の良い会場でした。ハンブルグはドイツでも北に位置するため、北欧からも電車や車でのアクセスが可能。そのためか、今回はドイツ国内からだけでなくコペンハーゲンなど北欧からの参加者も多く見受けられました。昨年に引き続き盛況で参加者は150名程度。今年はピアニストの演奏がプレゼンテーションの合間に入るなど、いつもとは少し趣の違うフォーラムになりました。
交通施設の照明がテーマ
今回のテーマは”Daily Transportation Facilities”。つまり、毎日の通勤、通学など人々が足として使っている交通機関は何なのか、その照明環境はどうなっているのだろう?ということについて、6ヶ国から集まったコアメンバーからのレポートが行われました。
面出団長による東京のプレゼンテーションでは、どれだけ過酷な通勤・通学ラッシュを私たちが毎日体験しているのか、ということをラッシュ時の風景も交えて報告。やはりすし詰めになった電車に人が押し込まれている様には会場からもどよめきが。東京、新宿などいわゆる主要駅は周辺も含めて随所にお店や看板などが建ち並び、いかに日本の駅が商業と結びついているかということが改めてよくわかります。そして白く均一な空間、110Wの長ーい蛍光灯が天井を埋め尽くす様は、やはり日本独特のものでしょう。ただ、最近開通したみなとみらい線など新しくなった地下鉄の各駅には一部建築家やデザイナーが入り、間接照明や光壁が取り入れられるなど、照明にも変革が起こっています。
他のメンバーのプレゼンテーションでは、ニューヨーク・グランドセントラルステーションのメインコンコースの贅沢な空間や白夜を背景にしたストックホルム中央駅などが紹介されていました。日本ではただ通過する場所に過ぎない駅が、他の国では愛される公共空間として位置づけられていることを実感。やはり毎日通る場所だからこそ駅は心地よく、時にドラマを感じられる空間であって欲しいものです。
(田沼彩子)