2012年11月13日
概要
2012年5月の開業以来、多くの人でにぎわっている東京スカイツリー。そのライトアップも大変な注目を浴びました。東京の新しいシンボル的な存在になり、その周辺も活気づいたのではないかと予想されますが、実態はどうなのか、体感してきました。当日は3班に分かれてそれぞれ違うルート・場所を重点的に調査しました。
1班:スカイツリー・ソラマチ→浅草
スカイツリー駅前
ソラマチ食品売り場: たくさんの照明が至る所に設置されている。
ソラマチ: ダウンライトがこんなにたくさん。
スカイツリー周辺の道路。光源をLEDに変えたばかりの印象。
浅草周辺。
人通りがまったくなく、さみしい雰囲気。
今日の街歩きはたくさん歩きました。お疲れ様でした。
(by:1班代表 鈴木幸男)
1班はスカイツリーの商業施設ソラマチからスタート。まずは2F店舗。全体の内装は白色で統一され、とても清潔感があり、天井も装飾が無いため、高い印象を受けました。しかし肝心の照明が全然良くない!全体的に照度が高過ぎると感じました。光源はLEDでしたが、白熱灯・蛍光灯よりさらに明るくなった印象を受けました。しかも電球色なので、どうしても暑苦しい圧迫感を感じました。また通路の照明が明る過ぎるので、店舗の照明が全然映えていませんでした。新しく注目が高い商業施設だったので、新しい照明の提言をして欲しかったと思います。 物販エリアは食品街より明るさを抑えた印象でしたが、味気無く感じました。
次に36階の飲食店エリアに向かいました。そのフロアには外を望める展望エリアがありますが、その天井には驚くほどの数のダウンライトが配され、夜の景色を眺めるにはきらきらしすぎていると感じました。
ソラマチは洗練された印象を与えるためなのか、多くの照明器具と照明手法が施され、どこもピカピカキラキラした印象でした。光源はLEDを使用しているため、照度は同じでもとてもまぶしく感じました。スカイツリーのライトアップは、光が流れるような動きは爽やかで綺麗でしたが、ぼんやりと浮かび上がるようなライティングはよく分かりませんでした。ツリーの存在感は圧倒的でしたが、街を歩くにつれ次第に目が慣れ風景に溶け込んでいったきがします。
2班:スカイツリー→隅田川沿い→浅草
(by: 2班代表 坂口真一)
スカイツリーが出来ても変わらない下町。照明器具だけは新光源に替わったようですが『あかり』環境はよくない。震災後で明るさの大切さが分かったはずなのですが、床面平均照度へのこだわりが、眩しさという弊害を起こし、もっと良く見えるだろうスカイツリーの夜景を殺しています。
2班はその原因を探すべく、スカイツリー駅から浅草周辺への街歩きを行いました。スカイツリー周辺の通りは、スカイツリーの華やかさとは違い、人通りも少なく、少しさみしい感じがする街並みでした。そんな街並みで、特に整備されることはなく、新旧の設備が点在しており、中には素敵な門構えの家もありましたが、総評すると暗めといった印象でした。ただし、そんな街並みを振り返って後ろをみると圧倒的な存在感のスカイツリーがそびえたっています。そんなギャップがとても印象的でした。
言問橋から、隅田川沿い周辺のLED街路灯は、スカイツリーの開業に合わせてリニューアルをしレトロなデザインを復元したようでしたが、車道側の光りが強すぎたためか歩道側の光りが負け、地面にポールの影を落としてしまい歩道の一部を暗くしてしまっていたの反面、とてもグレアが強く、暗いのに眩しい印象。なんでも簡単にLED化すればいいというわけではないというのがすごく印象的でした。橋だけでなく、隅田川公園の川沿いに並んだLEDの街灯もグレアがつよくて、不快な印象。川の対岸から見てもかなリ強い光がもれていました。空が広く見え景色のいいところなだけに光害と言ってもいい環境でした。
街へ入り小学校周辺では、交差点の街灯を少し色温度を変えて、それとわかる工夫をしていました。色温度を変えることでこんな工夫もあるんだなというのがわかり印象的でした。 平日の夜ということもあり街全体は大人しい印象でしたが、浅草の飲み屋街は客引きの威勢のいい声や仕事帰りの人で賑わっていました。浅草寺周辺では、器具や色温度にもあまり統一性がなくLEDを使用した新しいものや提灯のような古いものが混在していました。こんな提灯の明かり探しの街歩きも面白いかもしれません。洗練された白い光よりも色温度が低く少しバラつきのある光が多くある場所の方が下町・浅草らしいと感じました。
3班:浅草中心
(by: 3班代表 小薗早紀)
3班は東京スカイツリー駅を出た後、本所吾妻橋商店街、駒形橋を通り、浅草エリアに着きました。浅草ではまず、仲見世や浅草寺など浅草の中心エリアを調査した後、馬道振興会や浅草小エリアを調査し、浅草寺の裏側を通って六区付近やすしや通りなど、再開発エリアを調査しました。
今回の街歩きのテーマが、変化しつつある街の今昔を考えるという内容であったので、最初に、江戸時代の地図と比較して浅草エリアの街並みの変化について、道が増えただけで、元々あった道並みは変化していないエリア(オレンジ色)、昔の道の形は残しつつ変化していったエリア(黄色)、完全に昔の道並みは残っていないエリア(紫色)の3つに分けました。地図上だと、面影が残っているように見えるエリアも、実際行ってみると土地の用途が変わっていて昔の面影はほとんど感じられませんでした。光環境に関しても、あまり感じられなかったです。ただ、雷門柳小路で白い光のレトロな街路灯とお店との光が調和して、懐かしい雰囲気を醸し出していたり、六区の裏の飲み屋街では、透明な風よけシートから暖かい光が道全体に漏れ出ていたりと、昭和の匂いを漂わせる場所はありました。
光の英雄と犯罪者について、意見が割れたのは、仲見世通りの照明についてです。シンメトリーでパースペクティブな眺めが、白い光でさらに神聖な気持ちにかわる、と英雄と捕らえる人もいれば、とにかく明るければ良、物が売れるとう発想の典型ではなか、と少派手すぎる浅草界隈照明の諸悪の根源ではないか、と犯罪者と捉える人もいました。ただ、全員の意見として、床面照度が400lxは明るすぎるのではないか、という結論になりました。