探偵ノート

第001号 -暗闇の恩恵

Update:

Written by Ignacio Valero
Lighting Designer
Madrid

無限調光・調色可能なRGBW光源のバックライトパネル、極めて複雑で不規則なアルゴリズムでコントロールされた、真に迫る体験…莫大なエネルギーを使い、リアルタイムに滑らかに変化していく。これに近いものすら存在しない。どれほど手を尽くしても不可能なのだ。これは紛れもなく史上最高のダイナミックな照明だろう。

夕陽を眺めながら、皆がその美しい色彩をただ楽しんでいる中、照明デザイナーはついそんなことを考えてしまうのではないか。正直、私自身がそうなのだ。実際はそれよりも悪い。他の多くの人と同様に私と夕陽にも深いつながりがあるのだ。そのひとつひとつと、そのすべてと、そして今眺めている夕陽ともである。

すべては幼少のころから始まった。その頃からすでに、夕暮れを目の前にするとそこから動かない子どもだった、と母は話していた。そこら中を常に走り回っているような年頃でも、夕陽にだけは心を奪われてしばし立ち止まった。青年になると初めてのカメラと三脚を担いで自転車を飛ばし、これぞという写真を撮るためだけに毎夕長い時間を費やしたのを覚えている。50代後半になった今でも毎日それは続いている。夕陽はいつのまにか心の奥を開放してくれ、私はしばし薄暗くなっていく陽の光に身を任せる。

自分が何を体験しているのか、はっきりとはわからない。深くつながっている感じ、と表現できるかもしれない。例えば、日没の一瞬一瞬に地球の回転を感じるような、大きな力とのつながり。私が地球を旅しているのか、地球が私を旅しているのか、真の時間認識の感覚。それが、私の見てきたすべての夕陽が重なり合い、内に秘めた部分を呼び覚ます。そして優しく光りながら、消えていくのだ。

突然、私に取り憑いていた照明デザイナーがコントロールを取り戻す。「さて、結局のところ、このライティングコンセプトはなんだったっけ?」照明計画は、どのプロジェクトも必要な4つの要素:光・素材・視点・ストーリーで作られている。この場合の光とは原始的な意味での光そのもの、素材とは無限の明るさを持つ星屑、視点はこの壮大な宇宙の光景を個人的に捉えながら見る人の数と同じだけあり、そしてストーリーとは時間を意味する。光以上に時間というストーリーを語ってくれるものがあるだろうか?私はとてもリラックスし、完璧な考えに満足しながら・・・

「パパ、もう夜だよ!こんなまっ暗な部屋で。どうしていつも電気をつけないの?」

「おい、やめてくれ!」

「照明デザイナーなんじゃなかった?まったく…」

「頼むからそのくそったれの照明を消してくれ!」

「あぁ、なんてこった…」

おすすめの投稿