探偵ノート

第011号 – ルミナリエ ~フェスティバルで繋がるバロック様式とデジタル照明

Update:

Federico Favero
Lighting Designer
Stockholm

始めに探偵団コラムへの寄稿を依頼されたとき、私は人工知能が照明デザインにどういう変化をもたらすかについて私の考えを書くつもりだった。しかしこの夏、 “Notte delle Luci”(光の夜)フェスティバルに行き、そこでの体験と感動を皆に伝えなければという使命感に駆られた。

夕暮れ時、お祭りを見に来た人々はイタリア・サレント半島の先端にある小さな町スコラーノに集まる。何千人もの人々が町外れからメイン会場となる広場まで歩いてくるのだ。公共の照明は消され、店やレストランからは活気が溢れている。
通り沿いの白い骨組みが空を縁取り、さまざまなスケールで複雑な形を作り出している。これは『ルミナリエ』と呼ばれ、無数の点光源でパターンを作り出している。

空が完全に暗くなると、音楽が流れ出し、突然すべての『ルミナリエ』が点灯する。白い骨組みが一転して光り輝き、それが生み出す光のパターンは生き生きとし、人々は昼間のように明るく照らされ、魅惑的で陽気な雰囲気となる。
人々の視線は、色鮮やかな無数の光の点と、強く拡散する白い光の間を行ったり来たりする。大半の光は静止したものだが、広場や周辺の通りでは光と音の壮大なショーも行われる。

とにもかくにも、圧巻である。

私が体験したこのフェスティバルについて、現地サレント在住の照明デザイナー、パオロ・ポルタルーリに詳しく教えてもらった。

「ルミナリエは南イタリアの守護神のお祭りの特徴なんだ。あまりに身近なものなので、今日では屋内用のルミナリエ風の土産物があふれているよ。 彼らは、教会のバラ窓のような古典的な建築要素を取り入れたり、広場を飾ったり、聖人の行列の道筋を示したり、質素なファサードをリッチなバロック様式の宮殿のように変えたりする。構造は基本的には変わらない(モミの木材を金属ワイヤーで支えたもの)けれど、光源は技術的な進化を遂げてきた。当初はひとつひとつロウソクを灯し、その後石油やカーバイド電球が使われるようになり、やがて電気によってより大規模なプロジェクトが可能になった。数年前までは白熱電球しか使われていなかったけれど、今ではほとんどLEDが使われる。またたくさんのメーカーが制御システムや動的システムを採用していて、それ自体がメディア建築となっているね。」

サステイナビリティがデザインに必要なアプローチである今、光と闇のコントラストの美しさを際立たせる一時的なイベントに注目することは、やはり意味があると思う。年中このようなイルミネーションが欲しいというわけではないが、1年のうちのほんの限られた期間であっても、感動的な光を必要としていることは確かだ。

パオロとルミナリエやこのようなイベントとのつながりについても尋ねてみた。
「ルミナリエを設計し始めてから、工房や倉庫に行って実物が作られていくのを見たときは感動的だった。日中、消灯している時のルミナリエも好きだよ。街中の刺繍のように見えるからね」

サレントとその夏祭りを訪ねてみることを全力でお勧めしたい。私個人的に、実際のスケール、匂い、ノイズ、強い光、美しい影をその場で実体験することに勝るものはないと思っている。時に荒々しく最高に美しい体験。
La Notte delle Luciでの体験は、この考えをさらに確かなものにした。

執筆に協力してくれたパオロ・ポルタルーリと、スコラーノ訪問のヒントをくれたマルコ・ラザーリに感謝を申し上げる。


Federico Favero
Lighting Designer
Stockholm

王立工科大学(KTH/スウェーデン)建築照明研究室の講師および研究者。
光と同じくらい美しい陰影も愛する。

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