探偵ノート

第000号 – 新企画「照明探偵団員の独り言」

Update:

Written by 面出薫

照明探偵団を1990年8月に始めてから現在まで既に31年になろうとしている。そして世界照明探偵団(Transnational Lighting Detectives)と名乗って、世界の仲間たちと繋がってからは21年目だ。あっという間のようでもあり、長い月日のようにも思えてくる。仲間を増やすことが目的ではないが、既に発行した探偵団の会員証は1400枚にもなるらしい。その中の海外のメンバーは250名ほど。これほどの数になるとお互いに顔を思い出せない仲間なので、連帯感を持つための何かの工夫が必要になる。

照明探偵団のWeb Siteを開くと私の担当しているコラムが2つある。「面出の探偵ノート」と「コーヒーブレーク」だ。探偵ノートは私が視て味わった色々な光と影を題材にしたショートエッセイ。読み返してみると出来の良いものと悪いものの差がはっきりしていて面白い。その時々の包み隠さずの感じ方と放言に私らしさが読み取れる。一方コーヒーブレークの方は原則的にLPAという照明デザイン事務所の代表(私)と社員とのランチタイムの軽口問答だ。Tokyo、Singapore、Hong Kongという3か所のLPA事務所の社員は、現在60名ほどにもなるが、それぞれ個性的で自己主張も強く強情な人が多いので、私自身がこの対談を楽しんでいる。このコラムは照明に限らない身の回りの話題や信条などをテーマにしているので、いささか「対話内容のレベルが低い…」と批評されたこともあるが、社員と社長の距離を縮める道具としては大いに役立っている。

さて今回は少し閉塞感が出てきたこの2つのコラムを補おうという役割をもって「探偵団員の独り言」という3つ目のコラムを新設した。これは世界中に散っている照明探偵団員の自由な声や叫びを有り体に伝えようという趣旨で、特にテーマやタイトルに縛られず、個性的な発言を期待したものである。とは言いながら、初回から幾つかは何か言いたくてうずうずしている世界照明探偵団のメンバーに、既に短い原稿を依頼しているらしい。そしてその時に発したテーマが「Pandemicと私の日常」ということなので、何か重たい気分の文章が送られてくるのではないかと少し心配している。

照明探偵団活動は常に頭の内側で考えるのではなく、体の外側の世界を感じとりながら実証的に語ることが大切だと私は主張する。だからPandemicに苛まれている今も、暗く内にこもってしまうのではなく、変わりゆく街や人々の様子をつぶさに観察して欲しいと思っている。時に冷静に時に興奮して光の事件を探していただきたい。新企画「照明探偵団員の独り言」に皆さんの積極的な参加を期待しています。

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