探偵ノート

第36号 – 照明デザインの個性

Update:

テーマ『照明デザインの個性』

Interviewer: 葉 玉

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中国では個性的なことを求めてやり過ぎてしまう照明が多い
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自然とにじみ出る個性的な光

葉:今日は照明デザインの個性についてお話したいと思います。私は照明デザインに個性は必要ないと考えていますが、中国では自分の作品に個性を求める照明デザイナーが多いです。もちろん彼らが生き残るには個性が必要になることがありますし、中国人はやはり個性的なことに価値を見出す傾向があります。
面出さんは個性的であることが好きですか?

面出:個性はもちろんあった方がいいけど、個性の見せ方はなかなか難しいよね。取り違ってしまうと奇異になったり下品になってしまう。

葉:面出さんから見ると、LPAの作品には個性があると思いますか?

面出:LPAが担当したプロジェクトを訪れて「これLPAの仕事じゃない?」と解るひとがいると、それはLPAの個性といえるかもしれないね。

葉:「LPAらしい」という評価をよく聞くので、私はLPAの作品には個性があると思います。いったい、LPAの個性とはなんでしょうか?

面出:僕はLPAの仲間に「個性的なことをやろう」とか、「斬新なことをやれ」とは言わないよ。もちろん新しいアイデアや表現は否定しないけど。

葉:LPAに入社して「人に優しい光を作ろう」という言葉はよく聞きました。LPAはデザインする時に、本当に「光」だけを考えていると思います。「特別なやり方をしよう」とか、「他のプロジェクトと違うことをしよう」という話はほとんど聞きません。

面出:そうだね。私たちが大事にしているのは基本的なルール。例えば、灯具が少ない、色が少ない、グレアが少ない、とかは必ず厳しく守っているでしょう。
そうやって基本的なルールを積み上げていくと、全体としてLPAらしいデザインになる。それが基本だ。
時に、「ここはLPAが担当したのですか?」と言われると、確かに嬉しいよね。

葉:それが大人の個性とでも言うんですかね。どうしたらこれからもLPAの個性を保つことができると思いますか?

面出:建築家が考えていることを、光でどうやってより良くするかが私たちの中心的な課題。だからクライアントや建築家から「何か個性的なことをやって」といわれることはほとんどないよね。個性を保つには得意な技や考え方を進化し続けるんだろうね。

葉:純粋に「光」をデザインしていることは素晴らしいと思います。
中国人の照明デザイナーは、「光」のことたけじゃなくて、余計なことも考えてデザインしてしまうことが多いように思います。何か変わったことをやって目立たなければダメと思っている。

面出:「斬新なことをやろう」ということは、まったく難しいことではないよ。今までのやってきたこと、すなわち常識と言われることをしなければいい。
ただ問題はそれが本当に皆に受け入れてもらって快適な光なのかどうかということだと思うよ。デザイナーは個性を主張するべきアーティストではない。自己満足だけじゃなくて、皆が良いと言ってくれるかどうかはまた別の話だ。

葉:日本のクライアントから「個性的なことをやろう」と言われることはありませんか?

面出:個性的なことだけを求めるクライアントがほとんどいないね。
しかしLEDやコンピューター制御などの技術は加速度的に発展しているので、照明デザインの手法は益々斬新になって行くと思うよ。それは個性とは別物だね。

葉:経験や技術や思想が少しずつ積み重なって個性になるということですね。にじみ出る個性が素敵ですね。「個性的になろう」と焦る必要はありませんね。

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