スペイン、日本、アメリカによる統治により多様な文化を受容したフィリピン。建築、料理に同じく、独自にアレンジされた文化は光環境にも見られた。そして、私たちは光の明暗の裏に、生活水準の格差を目の当たりにした。
人々の生活の拠点となっている教会の内壁には、明るさを取るための蛍光灯や暑さをしのぐための扇風機が無造作に取り付けられていて、アジアならではといった教会の光景。ファサードは、フラッドライトによって、光のファンデーションがのっぺりと塗られていた。
スペイン統治時代の建築が保存されている街並みは、夜になるとナトリウムランプのオレンジが壁、床をまんべんなく染めていた。昼間に見られる植栽の濃緑が失われてしまうのは残念だが、情緒漂う歴史的な街並みは、古い映画のワンカットのようだった。
PB Com/Sony Life Insuranceより
貧困者が多く住むエリアでは、いたるところで不点灯の街路灯を見た。一方で高層マンションやビルの建ち並ぶ富裕層のエリアでは、どこの国にもあるような没個性的な大都市の夜景が見られた。隣接する街の光のコントラストは、経済格差を顕著に表していた。