発行日:2019年3月19日
・照明探偵団倶楽部活動1/Belgrade of Light 2019 (2019/02/04-02/09)
・照明探偵団倶楽部活動2/World Lighting Journey 2018 年総括、団長インタビュー(2019/02/18)
Belgrade of Light 2019
2019/02/04-02/09 | Aleksandra Stratimirovic

ベルグラード照明探偵団が主催するイベント「ベルグラード・オブ・ライト」は、KC GRAD(セルビア、ベルグラード)で開催されたイベント「イマジン・ライト(Imagine Light)」を皮切りとして、2月4日から9日にかけて開催されました。さらに、このイベントはベルグラード照明探偵団の新たな10年をスタートさせる、節目のイベントでもありました。
■照明探偵団 ベオグラード支部
KC GRAD(ベオグラード文化センター)で6日間に渡って開催されたベオグラード・オブ・ライト 2019 では、アーティストやアートグループ等の5団体が、動き、光、そして音を駆使したダイナミックなパフォーマンス、インスタレーション、および展示を披露しました。イベント期間中のKC GRADのギャラリーは毎晩、全く異なる体験へと変貌していきました。

THE BOX | Q / TI / JA by Radio.Nica
■Day 1:THE BOX | Q/TI/JA
Radio.Nica による壮大なパフォーマンス [THE BOX | Q / TI / JA] が、ベオグラード・オブ・ライト 2019 の幕を開けました。
Radio.Nica は、異なる背景を持つアーティスト達(演出家、デザイナー、ドラマトゥルク、パフォーマー、サーカス芸人など)が集まり照明デザインの実験を行う柔軟かつ絶えず変化し続けるグループです。そんな彼らは今回のイベントではペータル2世・ペトロヴィッチ・ニェゴシュの詩『ミクロコスモスの光線(The Ray of the Microcosm)』からインスピレーションを得た、グラフスコープ錬金術、レーザー、クリスタル、その他のアナログな光源を活かして、舞台上で魔法を創り出すパフォーマンスを披露しました。

LUMINESCENCE by Incredible Bob
■Day 2: LUMINESCENCE(ルミネセンス)
密度が濃く、質の高いベオグラードの闇とその中にあるルミネセンス(微かな光)――Incredible Bob はそれを活かし、光のインスタレーションを実施。
様々な光源からの光によって分断された闇は音を伴い、ベオグラード・オブ・ライトの観客のために、一種の入眠時幻覚のような雰囲気を作り出しました。
Incredible Bob は、ベオグラードのアート界の「ならず者」です。彼はグリッチアートとショービジネスの細い境界線上を綱渡りしつつ、何があろうとニューメディアの最先端を追い続けるでしょう。

Natasa Todorovic, Leonel Kaplan, Aleksandra Stratimirovic
■Day 3:WAVES
科学と芸術が融合したパフォーマンスで3日目の観客を惹きつけたWAVES。ビジュアルアーティストのアレクサンドラ・ストラティミロヴィッチとアルゼンチン出身のトランペット奏者レオネル・カプランによる実験的な光と音のインスタレーションは、天文学者ナターシャ・トドロヴィッチによる科学講義「太陽系を織る(WEAVING THROUGH THE SOLAR SYSTEM)」のプロローグも兼ねており、トドロヴィッチ氏による宇宙における天体の異常な構造と動きについての講義へ観客を誘いました。

ISKRA.KOZMA by Lansiranje
■Day 4:ISKRA.KOZMA
4日目には若手アート・コレクティブである Lansiranje による、宇宙をモチーフとしたパフォーマンスISKRA.KOZMAが初演を迎えました。このパフォーマンスはコスチューム、舞台美術、光、そして音楽を巧みに用いて、観客を誰もが自由で、それぞれの個性や創造力を好きに追求できる幻想の世界へ引き込みました。 Lansiranjeが作り出す風変わりな世界が産声を上げると共に、パフォーマンスはパーティーへと姿を変えました。
Lansiranje の基本メンバーは、4人の女性エイリアン(femaliens)ですが、実際の活動は、クルーは創造プロセスに関わるすべての人々、特に光、音、そして未知との接触実験好きによって成り立っています。

POLITICS OF RENDERING by Mark Brogan
■Day 5:POLITICS OF RENDERING(レンダリングの政治学)
アーティスト、マーク・ブローガンによる展覧会Politics of Renderingは、KC Grad ギャラリーの16メートルの長い壁に展示された写真を使用した壁紙です。壁紙に使われている画像はデジタル3D建築ツールによってモデル化された仮想空間を提示しており、実際のギャラリー空間と連続しているかのように見えます。 ブローガンは、この壁紙の画像の中に「光学的な人物像」を作り出しました。それらの像は、人々を取り巻いている、もしくは人々の目の前に広がる仮想空間を、変形させ、屈折させ、色彩を漉しています。 彼らの写真壁紙はデジタル構成を主軸とする中で、絵画的な要素も含んでいると言えるでしょう。

Workshop SHIMMERING
■Day 6:SHIMMERING(きらめき)
子ども向けのワークショップ”Shimmering”は、間違いなくベオグラード・オブ・ライトの中で最も賑やかかつ可愛らしいイベントとなりました。
今回も、私たちはオーバーヘッドプロジェクターとスライドプロジェクターを使って、クリエイティブかつ想像力の豊かな子供達と一緒に色、光、影で一緒に遊びました。その盛りあがり具合には、思わずただの付き添い役だったはずの保護者達も釣られて参加し、子ども達と一緒になって創作活動に夢中になるほどでした。

Workshop SHIMMERING
■Day 7:LIGHTSCAPES

LIGHT WALK
ベオグラード・オブ・ライト 2019 は、照明探偵団ベオグラード支部が主催した公開討論会「LIGHTSCAPES(光の景観)」で幕を閉じました。
イベントの最初の活動として、ベオグラード照明探偵団はベオグラード市内のLIGHTWALKと銘打って街歩きを実施、討論会では街歩きでの発見を共有しました。ゲストとして科学振興センターの代表者も参加し、新しいプロジェクト「ヨーロッパ人工知能研究所(European Artificial Intelligence Laboratory – AI Lab)」についての発表を行いました。

ISKRA.KOZMA by Lansiranje
ベルグラード・オブ・ライト(Belgrade of Light)について
ベルグラード・オブ・ライトは、光の文化の発展と普及を目的とした非営利イベントです。2008年の発足以来、このイベントはベルグラードおよびセルビア国内に、国内外の著名な個人やグループを誘致することを目標としてきました。芸術的表現やデザイン、省エネ、あるいは都市のアイデンティティや明るい未来へのビジョンなど、方法や信念を問わず、「光」へのアプローチにおける刺激的な新しい章を切り開くことを目指しています。
ベルグラード・オブ・ライトは、都市空間での展示や都市と芸術の融合、ワークショップや講演会、子供や若者向けのプログラム等様々な活動を通して光の技術を駆使しつつ、独自の創造的かつ実験的な実践を展開し、着実に照明や光そのものに関するオープンな議論の場を築き上げています。

BELGRADE LIGHTING DETECTIVES
これまでにベルグラード・オブ・ライトは、建築照明デザイン、科学、芸術の分野における数多くの専門家を招致してきました。その顔ぶれは、ベルグラードやセルビア国内のみならず、日本、シンガポール、アメリカ、ドイツ、スウェーデン、フランス、デンマーク、スロベニア、スペイン、イタリア、スイスといった多くの都市や国々に及んでいます。
また、教育機関を通した国際的なネットワークも構築されており、ワークショップには日本、中国、チリ、ギリシャ、チュニジア、インド、ブラジル、ルーマニアからの学生が参加しました。さらに、プレゼンテーションや情報交換等を通じて、ヨーロッパで有名な照明フェスティバルの主催者とも密接な関係を築いています。特にリュブリャナの「ライティング・ゲリラ・フェスティバル(Lighting Guerrilla Festival)」や、リヨン、タリン、アイントホーフェンの光のフェスティバルとは深い繋がりを持っています。

THE BOX | Q / TI / JA by Radio.Nica
Find more at www.belgradeoflight.com
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Instagram: @belgradeoflight
Photo: Vojislav Gelevski
World Lighting Journey
2018年総括、団長インタビュー
2019/02/18 安齋雄一
週末に照明探偵団フェイスブックにアップさせていただいているWorld Lighting Journey。
2018年の総括として、団長の面出さんにインタビューを行いました。

明治神宮前のカフェRÉFECTOIREにて
―2017年は俯瞰夜景の投稿が多かったのですが、2018年の投稿はバラエティーに富んでいました。その中で最も多くの方に見ていただいたのが、ローマのパンテオン神殿のトップライト。次にボローニャの街に溢れる明かりの風景、そしてブルーモーメントのストックホルムと続きました。面出さんはこの結果をどう思われますか?

ブルーモーメントの俯瞰夜景、ストックホルム
面出:この投稿を見てくれているのは日本の方が多いのかな? ドキッとするようなもの、普段見慣れないもの、自分たちとは違った文化のものに我々はいつも心惹かれるから、パルテノン神殿を見て「すごいな!」っとなるんだろうね。World Lighting Journeyの投稿には海外で撮られた綺麗な写真が多いのかな?

パンテオンのトップライト、ローマ
―そういう訳ではないですが、週末なので楽しんでもらえるよう素敵な写真を選んでいます。
面出:良い光の写真をたくさん共有したい気持ちはわかるけど、私たちの周りには嫌な光や景色もある。探偵団のページには、ここはこうしたらもっといいよねって思えるものをあげても良いんじゃないかな。 例えばエッフェル塔は夜8時くらいなるとキラキラピカッと光り始める。観光客のためのものだろうけど、エッフェル塔が上海の夜景の真似をしなくてもいいんじゃないかな。
―エッフェル塔のシャンパンフラッシュですね。綺麗な夜景写真はソーシャルメディア上どこにでもありますが、議論の余地がある光景を載せたものは少ないかもしれないですね。
面出:LPAは色々本を出版していて、そこに掲載されているフォトジェニックな竣工写真を揶揄しているわけではないだろうけど、「いや~面出さん、LPAの仕事って本当に綺麗ですね‼︎」っと言われる。そこで私なんかは褒め言葉と受けとって良いものどうか迷う。あるレベルまでは不快なものを作らないのが僕らの仕事でそこでは失敗してはいけないのが鉄則だから、綺麗なのはいいことなんだけど、それでは十分じゃないんだよ。いい仕事はそこから先の話。綺麗と言われてそこで終わってしまうと照明デザインもつまらないものになる。
綺麗なのはいいことなんだけど、それでは十分じゃない
― いいね!で終わらない投稿ということですね。
面出:デザインの仕事をやっていると何も話さなくていい場面でも、コンセプトが〇〇で!とか最初から能書きを一生懸命説明する人がいる。でも実際は黙っていても素晴らしいと言ってもらえるのがデザインの仕事。ここではデザインの結果ではなく話題を提供するのが目的だから、写真を撮った時自分はこう感じたとか、その人の表情が見える言葉があった方がいい。そこでその人と自分との差異が楽しめるのもいいと思う。
― 読み物としても楽しんでもらいたいですよね。
面出:俯瞰や建物全体の写真ばかりではなく、もっとミクロでヒューマンスケールのものもいい。
このイタリアの写真も人が写っているけど、まだ被写体から遠いよね。写っているワンちゃんとか人にグッと寄ってみると背景にあるショーウインドの漏れ光がもっと強調されて効果的に見えてくる。スタジオジブリなんかでも、背景に描写された光がそこに流れる空気や音や匂いを表現している。だから綺麗な夜景とか建築に落ちる幻想的な光っていうのは悪くはないんだが、そればかりになっちゃうとつまらないよね。むしろこんな光が自分の周りに転がっていたっていう発見があると、「うぉー!!よくそんなことに気がついたね!」、「そうだよね。こういうことってたくさんあるんだよね。」、ともっと投稿から話題が生まれる。

ボローニャのストリートビュー
― 確かに、雑誌から出てきたみたいな綺麗な写真が多かったように思います。
面出:こういう写真って、ファインダーの中に人が入らないように頑張って綺麗に撮ってるんだろうね。その気持ちはわかるけど、もっとミクロに寄ってみると、小さなアリが2、3匹いて喧嘩していることを発見したりして、ストーリーもわかってもっと楽しんでもらえるんじゃないかな。今、目の前にあるパンが美味しそうに見えないのは、光のせいじゃないか?とか、そうするとどうしたら美味しく見えるのかコメントが返ってきたり。そうやってお互いに触発された方が面白いよ。私もできるだけ週末に勝手なコメントをするように心がけましょう。
目の前にあるパンが美味しそうに見えないのは、光のせいじゃないか?とか、そうするとどうしたら美味しく見えるのかコメントが返ってきたり。そうやってお互いに触発された方が面白い
― 団員の方から様々な意見をいただけるよう、また綺麗な写真アーカイブだけにならないようにしたいと思います。
照明探偵団のFacebookページは団員の方々、見てもらっている方々のページでもあるので、皆さんも是非気軽にコメントしてくださいね。













