探偵ノート

第007号 – 長い一時休止

Update:

UNO LAI
照明デザイナー
台湾

この20年間を振り返ってみると、現在の状況は長い一時休止のように思える。ここ48か月各14日間の10回の隔離を強いられ、それは合計すると140日にも及ぶ。なんと4か月も私の人生から消えてしまったことになる。おそらくそれは消えてしまったというよりは、ポジティブにとらえると人生の一時休止と思うこともできる。

私の今までの人生はとても忙しかった。忙しすぎて、たった今何をしていたか、あるいは何をしているのかさえ思い出せないときがあるほどだ。今回の一時休止は強制的にそのペースをスローダウンさせ、自分が何をしているのか、また次のステップをより鮮明に見せてくれる。

24時間は慌ただしく消えていき、瞬きのように一瞬に感じられることがよくあるが、長い隔離中の24時間は拡張されたように感じられ、ただただ流れていく時間をながめているような終わりのない日のようだ。このような日々を重ねるうちに、長い静寂の時間が訪れ、自分がいた場所に感謝し、起こったことを振り返り、その体験の一部となった人々について考えるためのゆとりが生まれる。

コロナ前は、日の出から夕暮れまで、一日中同じベランダや窓際に座って、日の光の変化を観察することは不可能に近かった。自然光のささやかな変化は、瞬間が次の瞬間に運ばれていくように時間の経過を直感的に感じさせる。我々はスローダウンしたときだけ、時を“見る”ことができる。時間は我々と平行に走っており、急いでいる時には見えなくなってしまっている。この2年間、何週間も足止めを食らったことで、私の時間感覚と光の観察がより密接に結びついたように思う。

長い旅路の中で、一旦立ち止まることは、リセットし、視野を再調整することであり、心の風景を振り返り、その先にあるものを見つめるための深呼吸でもある。このように、光による穏やかな時間軸の中で内省することで、私はより深く、じっくりと前を見つめることができるようになったように思う。光は時間の動きを表すものであり、それをはっきりと見るためには一時休止が必要な時もある。

世界が再び加速し始めた今、私は今回のこの長い一時休止に感謝し、時間そのものにもっと感謝するようになった。


Uno Lai
照明デザイナー
台湾

台北101、チャイナエアラインのグローバル本社、上海新天地など、Unoの作品は多岐にわたる。台北ライティングフェスティバル2015など、国際的な照明フェスティバルにもたびたび招聘されている。

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