シンガポール・デザイン・ウィーク
- 3. 8 -10 Sherri Goh + Niken Wulandari Sutanto + Quratuaini Bte Jamil + Tang Chia Xing

ブキ・パソ・ロードに繋がる路地裏
シンガポール・デザイン・ウィークは3月4日から17日まで開催され、「ブレインストーム・デザイン・フォーラム」や「国際家具見本市」、デザインと歴史を辿るヘリテージ・トレイル、地区活性化プロジェクト、クラフトマーケットなどが主な見どころとなりました。
ブキ・パソ・ロードで展開された「ストリート・オブ・クランズ(一族の通り)」は、人々、歴史、そして文化を繋ぐ「Empower my Community(コミュニティに力を)」というイニシアチブの一環です。クランと呼ばれるシンガポールの民族の多くは、かつて海峡植民地の一部であったこの通り沿いを定住地と定め、シンガポールにやってきたばかりの移民たちを家族のように支えてきました。
今回のイベントの照明のコンセプトは、深い海を渡り、未知の土地へと旅をしたクランの人々の道のりと経験から着想を得ています。「Sea the Light」は、静寂に包まれた深い紺色の海を漂う感覚を表現した照明インスタレーションです。夜の冷涼な空気の中に灯る温かなランタンが、人間と自然の関係を橋渡ししています。

ガン・クランの紹介
照明探偵団は、ブキ・パソ・ロードの小さな一角をその場所を人々が夜に思わず足を運びたくなるような、インタラクティブで心躍る空間へと変貌させました。
路地は、波の動きのようにかすかに揺らめく海のような青い光に包み込まれ、同時に開催されたワークショップでは、参加者が自分だけのオリジナルランタンを制作し、イベント期間中に他の作品と一緒に展示するという形で、参加者も照明インスタレーションの一部へと。会場を彩った数々のランタンは、訪れる人々を温かく迎え入れるような、どこか懐かしく心地よい雰囲気を作り出しました。

Martin社の機材を用いた照明プログラミング

自分たちの作品を自ら展示する参加者の皆さん
このコンセプトを実現するために、照明探偵団はシンガポールの照明メーカー各社と協力し、準備から設置までの全工程において多大なサポートをいただきました。イベントの数週間前から、Martin Lighting by Harman社および遠藤照明社との調整を開始し、本番に向けてすべての照明器具が確実に使用できる状態を整えました。限られた準備期間や会場における様々な制約はありましたが、イベントに対する我々の情熱と高揚感に後押しされて、無事にインスタレーションを完成させることができました。

海に浮かぶランタン
光と影によって浮かび上がってくる水
イベントに先立ち、会社内でセッションを行い、会場のベースとなる雰囲気作りとインスタレーションのプレビューを兼ねて、50個のランタンを制作しました。
また、照明器具を固定するためのディテールにも工夫を凝らしました。オフィスで不要になったスツールを固定台として再利用し、これらすべてを自社内で製作しています。これは、デザイン・フェスティバル全体のテーマでもある「アップサイクル」を支持し、体現するための取り組みでもありました。

ワークショップに参加する子供達
イベント当日にはこどもワークショップも開催し、地元の皆さんにランタン作りを体験していただきました。テーブルには、色とりどりのトレーシングペーパー、黒の画用紙、マーカー、色鉛筆、ハサミなどの工作道具、また今回のフェスティバルのためにデザインされた特製テンプレートも用意し、それらを自由に使って描いてもらえるようにしました。実際に始めてみると、参加した子供たちがテンプレートに縛られることなく、自分の好きなテーマや対象を自由に、そして想像力豊かに描くことを好むことに気がつきました。それは私たちの当初の想定や意図とは少し異なるものでしたが、ワークショップは大盛況で、非常に喜んでいただけました。子供たちは自分たちの作品の出来栄えにとても満足気で、多くの子が「家に持ち帰って飾りたい」と言い出すほど。しかし、そこをなんとかお願いして、海のような青い背景の中に黄金色に輝く路地の階段へと、彼らのランタンを展示させてもらいました。我々にとって、この光景はまさに地元の若い芸術家たちの「想像力の海(SEA OF IMAGINATION)」を象徴するものであり、イベントの成功を実感することができました。
イベント当日は、当社のスタッフのみならず、協賛会社の方々までボランティアとして駆けつけ、運営をサポートしてくださいました。ワークショップの設営が整うやいなや、人々が次々と集まり始め、1日を通して子どもから大人まで幅広い層に好評を博し、一時は用意していた座席が足りなくなるほどの盛況ぶりでした。参加者の方々が落ち着いて、そして我々スタッフからの十分なサポートのもとで制作に取り組めるよう、途中で新規の参加者の数を制限する場面もしばしば。事前にオンライン予約を受け付けていたものの、当日の参加者の多くは、照明のセットアップやワークショップの賑わいに惹かれて立ち寄った方々でした。参加者の皆さんは、ワークショップで自分だけのランタンをデザインし、今回のテーマ「Sea the Light」に合わせて、路地の好きな場所に自分の作品を飾るという形でインスタレーションに参加しました。
最後になりますが、機材提供をいただいたHarman社、Martin社、遠藤照明社、ワークショップ会場を提供してくださったKadampa Meditation Centre、そしてこの参加の機会をくださったOuterEditおよびシンガポール・デザイン評議会に心より感謝申し上げます。(Sherri Goh)









