その他の活動

面出薫/ 照明デザイン塾2023

Update:

3-day Student Workshop
2023.09.16-09.18  本多由実+東悟子

多様なレクチャーを開開催

今回で第二回となる面出薫/ 照明デザイン塾。この企画は9 月の3 連休を使い照明デザインのプロフェッショナルから直接照明デザインについて学ぶ集中講座です。全国から集まった24 名の学生とレクチャー、街歩き、ディスカッション、プロポーザル作成など、濃厚な3 日間を過ごしました。

昨年から始めた面出薫/ 照明デザイン塾を、今年も全国から大学生を募集し、佃にあるLPA オフィスで9 月の3 連休に開催しました。昨年の反省点を活かし、グレードアップした内容となるよう、事前にスタッフ間で複数回ミーティングを行い、レクチャー内容を強化。またプログラム構成も集中力が途切れないよう再構築して臨みました。


実際の器具を紹介するレクチャーも

■ Day1 レクチャー&街歩き
前回は1 日目に集中させた座学を、今回は1 日目と3 日目に分けました。1 日目には照明デザインの思想とコンセプト、照明基礎知識- ボキャブラリーと光の効果実演、照明デザインのプロセス、都市環境照明等のレクチャーに加え、外部講師による光害のレクチャーや観光地域づくりにおける照明デザインのレクチャーと8 つのレクチャーで構成し、途中休憩をはさんではいるものの、4 時間半の長時間で行いました。それぞれに違う角度から照明デザインを解説しているレクチャーで、照明の多面的な部分を垣間見る事が出来たのではないかと思います。


街歩きの様子 スマホで写真を撮ったり、照度を測ったり

照明の基礎を学習した後は、4 つの班に分かれ、それぞれ指定されたエリアへ街歩きに出かけました。今回選んだエリアは門前仲町、有楽町&日比谷、麻布十番&六本木、新橋&汐留の4つ。LPA スタッフの引率の元、それぞれのエリアの光の英雄と犯罪者を探し、自由に意見を交わしました。街歩き後の懇親会は、食事をしながら語り合うことでアイスブレイクとなり、互いの親密度を増すのにいいきっかけとなったようでした。

2日目グループディスカッションの様子


■ Day2 グループディスカッション&パネル作成&グループ発表
2 日目は街歩きでの発見を、グループ毎に話し合い、それぞれの光の英雄と犯罪者を決定していき、最終的には英雄ベスト3、犯罪者ワースト3を決め、パネルにまとめていきます。ディスカッションの方法は班毎に様々で、とことん意見がすり合わず、いつまでも議論を続けている班もあれば、英雄と犯罪者はすぐ決まったものの、説明する言葉に窮する班もあり、どの班も制限時間内ぎりぎりでのパネル完成となりました。出来上がったパネルは各班の特徴がでているユニークなものとなりました。プレゼンテーションでは、発表者は緊張が見られたものの、決められた時間を使って、それぞれの主張をきちんと発表していました。プロポーザルもすぐてきそうな現実的なものから、実現
させるのは難しそうなもの、夢のつまったものまで、多種多様。プロポーザルを作成することで、実際にある問題を分析し、改善点を考え、その頭で考えた照明デザインを形に落とし込み、言葉で説明することを学びます。照明デザインの知識や体験をインプットし、パネル制作とプレゼンテーションでアウトプットまで行うことをたった2 日間でやり遂げるので、参加した学生たちも、2 日目にして疲労困憊の様子。2 日目夜の懇親会では、大分打ち解けてきた参加者同士、班を超えて話し込んでいる姿が見られ、横のつながりも出来ているようでした。

グループでのプレゼンテーションの様子


■ Day3 レクチャー&個人課題発表 
3 日目午前中はレクチャーの第二部。未来の照明環境の照明概論のレクチャーから始まり、実務編レクチャーのホテル照明、ランドスケープ照明、そして今年から始まった実物の器具を紹介しながら、実際に触ってもらうレクチャーと様々なトピックで行いました。内容が様々なので、飽きずに最後まで聞いてもらえたのではないかと思います。とくに器具を点灯しながらのレクチャーでは、参加スタッフに、学生数名づつがはりつき、質問を次から次へと浴びせていました。日頃、間近でまじまじと見ることがない照明器具は興味深がったようです。午後は個人課題のプレゼンテーション。個人課題は、①桂離宮の照明デザイン、②コルビジェ設計のサヴォア邸の照明デザイン、③浅草の照明計画、④ 2050 年の「住宅」 or 「地下空間」or「コンビニ」の光環境、⑤光の茶室、という5 種類の中から1 つを選択し、自由な提案内容A3 用紙1 枚にまとめて、事前に提出。最終日に1 人3 分間でプレゼンテーションします。自分の意思や提案を、説得力を持って説明するというプレゼンテーション能力を鍛えるコンテンツです。最後はスタッフだけでなく、参加学生が自ら優秀作品を投票によって選びます。今回は事前課題でしたが、ワークショップでの経験をもとにブラッシュアップさせるべく、当日までプレゼンボードの修正や発表内容の組み直しを試みているようでした。光の現象を丁寧に表現した提案、緻密な事前調査と提案の密度が光った提案、どちらからも今回の課題に対して光・照明という観点を自分なりに突き詰める熱量が伝わってきました。それぞれの着眼点、それぞれが好ましく思う光の様相を、学年も学科も異なる集まりの中で共有できたことは、参加者もスタッフにもとても刺激になりました。

3分間で自分のプロポ―ザルを説明

参加者全員の投票で得票数が多かった学生には本を贈呈


投票によって選ばれた3 名にはLPA の書籍を贈呈。参加学生の感想では、「どこまで作りこめばよかったのかわからなかった」、「光の表現方法をもっと教えてもらって、それを反映させたかった」などの声が聞かれました。他の学生のプレゼンテーションの方法や成果物の作り方からも学びが多くあったようです。3 日間、根を詰めて参加してくれた学生の皆さんは、本当に疲れたことと思います。またLPAスタッフも疲労困憊でした。事後アンケートでは、参加者が充実した時間を過ごしてくれたことが見て取れました。無事3 日間終了してスタッフ一同安堵と共に来年もよりよいワークショップが開催できるよう、運営方法やプログラムをブラッシュアップしていきたいと思いました。(本多由実+東悟子)

ワークショップ最後の記念撮影 3 日間やり遂げた満足顔の参加メンバー

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