2007年2月16日
集合住宅の開発が進む中で、大規模商業施設や大学のキャンパスのオープンも相次ぎ、近年注目を浴びている豊洲地区。最新の都市計画のモデルケースともいわれる現在の豊洲で、2月の寒風吹きすさぶ中街歩きが行われました。
道路照明の観察
海上公園デッキよりガスの科学館とゆりかもめ
晴海通りララポート前にて
2006年オープンの芝浦工業大学豊洲キャンパス
空地と一階部分の見える建物群
ララポート裏で記念撮影
豊洲駅のららぽーとに一番近い出口に集合した探偵団は、まず手始めに、日頃はなかなか光の主役として意識しない道路照明に着目しながら街区を歩きました。 ポール灯の高さや形状、設置間隔、消費電力などを実測、またはポール灯に表記されている情報を集めていくと、それぞれの道幅に合わせてポール灯設置の計画がされていることが見えてきます。面出団長が各ポイントにてグレアカットの問題などをコメントされ、団員の皆さんがそれを熱心にノートにとっていたのが印象的でした。第3街区を歩いている頃の5時15分に周辺の道路照明が点灯すると、車道と歩道の照明の色温度が異なっており、通常の計画でなされるものではないため、皆でこれは何でだろうと首をかしげるシーンもありました。
集合住宅、オフィス、芝浦工業大学豊洲キャンパス
開発の真っ只中の豊洲では空地が多いために、高層のオフィスや集合住宅の全景がさほど離れたところからでなくとも見ることが出来ます。建築中のビル群も夜間は必要最小限の機能照明のみの点灯となるため、空がとても広く感じました。
2006年にオープンした芝浦工業大学の豊洲キャンパスも、大勢で押しかけたにもかかわらず、見学させて頂くことが出来ました。最上階からは豊洲の中心地を一望することができます。
様々な機能、要素が同時期に立ち上がっている渦中の新しい街は、一見殺風景で、まだ人々や暮らしの香りの不在を常に感じさせます。しかし、都市計画が綿密に施され、コンパクトなエリアに多種の様々な施設が配置された街は大きな可能性に満ち、数年後に街が一旦完成を向かえた時には、光の景色としても最新の都市の姿を我々に見せてくれるのではないかと予感させるものがありました。
ベイエリアから見る風景
ララポート裏にある海上公園は晴海側が一望できる空間が広がっています。水辺に向かって左手にはガスの科学館、その奥にはゆりかもめの高架があります。夕暮れ以降、ガスの科学館は内包する光のボリュームと鉛直面の光を纏って、静かながらに強い存在感で水辺に現れます。まだ周辺が開発中ということもあり、ゆりかもめの走っている様子は海上公園からよく見ることが出来ます。夜空や高層ビルを背景に発光体がすうっと走っていく様子は、新鮮な風景でした。 水辺正面には、晴海大橋とその奥にレインボーブリッジが見えます。晴海大橋は照明がとくに施されておらず、晴海ふ頭側にもアイキャッチとなるような光がないため、現状では華やかさに乏しい水辺の風景です。海上公園には晴海側に大きな光のオブジェがありますが、公園全体に施されている光の量やその他設置されているもののボリュームと釣り合いが取れておらず、未完成の風景という印象を持ちました。 もしかすると隅田川の花火大会がよく見えるロケーションかもしれませんが、これだけ水辺の空間がしっかりと確保されているベイエリアで、華のある景色が一年に一度しか見ることが出来ないというのも寂しい気がします。これからどんどんと増えていく豊洲に住む人々に愛される水辺の風景の計画が待ち望まれます。 (村岡 桃子)