探偵ノート

第017号 – ファッションと光、果ては女性と光

Update:

コーヒーブレーク: 面出さんと私
Interviewer: 蕎原 愛

蕎原:今日は外へ飛び出してラフォーレ原宿を見てきた訳ですが、どうでしたか?

面出:あなたは子供の頃からラフォーレ原宿に来てたの?

蕎原:そうですね。私は東京生まれなので中学生ぐらいの時はよく行ってました。 女性がどんどん社会進出している中で、おしゃれをしたり着飾ったりするのはすごく大事だと思うんですけど、そういったものを選ぶ時にも照明はすごく大事だと思います。

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ラフォーレ原宿

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女の人は曲線が美しいので柔らかい光が似合います

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面出:その店に入って照明がいいから買っちゃった。みたいな事ってあるの?

蕎原:女性の買い物ってウインドウショッピングが基本なので、今日みたいに歩きながら色々な店を見て気になったら入ります。だから通路を歩いている時の第一印象がすごく大事ですね。

面出:まずは店内に入ってみようと思わせる必要があるからね。ラフォーレ原宿を見ていて店舗の作り方のバリエーションが随分たくさんあるんだなと思ったよ。ペンダントを吊っている所もあるし、スタジオみたいな所もあるし、一部グレアレスの照明器具をストイックに使っている所もあったね。店の特徴を光に置き換えて、いかにまわりのお店と差別化するかを考えて作っている。

蕎原:若い女の子達は気づいていないけど照明の効果によってショッピングの高揚感が上がったりしていると思います。私がショップで一番大事だと思っているのはフィッティングの為の光で、手にとってすぐレジに行く人は少なく自分の顔と合わせてみて決めると思うのですが、その一番大事なフィッティングルームにあるのは、鏡と照明だけなんです。最後に買う事を決断させるのは照明だと思います。だからすごく大事なのです!

面出:なるほどね。照明はうまくいってない例は結構あるよね。僕なんかは鏡の前でそんなに見たりしないけど。

蕎原:女の人は見ますよ!女性にとって光は大事だと思います。

面出:一般的に光とか照明っていうのは男性より女性の方が好きだよね。その感じが細かいと思う。照明のショールームに夫婦で照明器具を見に来ても、圧倒的に気にしてるのは奥さんで旦那はたいした事言わないよ。面白いなと思ったのは、男も本当はこだわればいいんだろうけど、昔から男はみんな黒やグレーのスーツを着たりして、色もののスーツを着る人はあまりいない。男のファッションって女性ほど自由じゃないんだよね。男はチャラチャラしないんだっていう文化があって女の人は美しく着飾るとか魅せるという文化がある。

蕎原:そうですね。面出さんは女性が美しく見える光ってどんな感じだと思いますか。

面出:女性は基本的に美しいと思っているけど、男でも女でも美しく見せる光はあるよね。

蕎原:ファッションショーなどを見ていると、フォルムからいうと男の人は筋肉の凹凸があるのでメリハリのある光が似合って、女の人は曲線が美しいので柔らかい光が似合いますよね。

面出:女性はふっくらとした光が似合うね。よく僕達がやる間違いは化粧室でのダウンライトだよね。鏡の前の顔を見て女性は随分困っている人が多いと思うよ。鼻の下に黒い髭が生えている。

蕎原:間接照明が一番です!楽屋でよく見るハリウッドライトなんかもいいですね。

面出:よくこんな眩しい所でと思うけどね。すごい鉛直面照度でしょ。

蕎原:それが気分を高めるんですよ!やっぱり鏡に映っている自分が綺麗な方が気分が上がるんです。私は女性はとても感覚的な生き物だと思います。あの鏡の前に座ると瞳の中にランプが写ったり、目が漫画みたいにキラキラしたり、ただのダウンライトだけよりだいぶ綺麗に写ったりするんです。あるとないとでは表情の明るさ感も変わるので、舞台に上がるまでに「私は綺麗」とテンションを上げる為のもののような気がします。女の人は気持ちに左右されやすい生き物なので、ファッションとかメイクとかが仕事をする上でも大事なのです。誰にみせるとかじゃなくて自分の気持ちを上げる為にする。なおかつ褒めてもらったらもっと上がるとは思いますが。

面出:女の人は健気だね。自分を綺麗にみせたいし、綺麗になる為に色んな努力をするだろうし。

蕎原:日本人の女性と海外の女性でも合う光は違うのかなと思います。顔のつくりとか髪の毛の色とか瞳の色とかも違うし。

面出:それはそうだよ。女優のブロマイドをみても東洋系のノッペリ顔の人は柔らかいグラデーションの効いた光の方がいいし、西洋系の鼻がガーンと高い人にはメリハリのある光が似合っている。

蕎原:それって建築と同じじゃないですか!日本の建築はグラデーションがよくて、西洋の建築へはコントラストがあった方がいいのと一緒じゃないですか。女性と。

面出:うん。似てるかもしれないね。

蕎原:日本の女性は綺麗なグラデーションになっていた方が美しそうですね。そのまま闇に黒髪が消えていく感じとか綺麗ですよね。

面出:ロウソクの裸火がちらちらして陰影の強いインテリアが西洋の絵によくあるけど、日本の女性はそこに和紙を一枚かけた方が艶かしくなるんだろうね。

蕎原:こんな形で面出さんと女性と光の話が出来て良かったです。普段は建築照明などを中心として計画していますが、私は女性としての感覚を忘れないで照明のプランをしていきたいと思います。女性には光を!

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