探偵ノート

第50号 – 環境にやさしい照明デザイン

Update:

環境にやさしい照明デザイン

Interviewer: Sherri Goh

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面出:さて、今日は環境にやさしい照明デザイン、もしくは照明デザインにおける環境への配慮について話すんだっけ?

Sherri:トピックの対象が広いため、トピックについてきちんとご説明したかわかりませんが、面出さんも私もプロダクトデザインの経験があり、照明デザインもおこなっています。面出さんは環境にやさしい照明デザインをどのように、または考え始めたきっかけを教えてください。

面出:ぼくは環境デザインの修士号を持っている。4年間工業デザインを学んだあと気が変わり、短い期間で消費される製品をデザインするのはごみを作っているようなものだと感じるようになった。

Sherri:照明デザインは意味があることで、照明をどのように配置するかで環境を考えるようになったのですね。しかし私は特定のメーカーが作る各商品や製造工程を考えることによってさらに環境を考慮することができると思っています。

私はLED器具が本当に従来の照明器具よりも環境にいいかどうかの確証がありません。今回はこのことを話そうと思います。

面出:照明デザインには多くの洗練された照明器具が道具として必要。でも物理的に間接光を作るときには照明器具は必要なかったり、結局自然光を使ったりする。それが建築照明デザインのゴールだと思っている。

Sherri:将来は誰と協同するか、また器具の製造方法を考慮しなくてはならないと思いますか。照明の最初と最後をデザインする必要があるので興味深いです。LEDに関しては、現在使用されている照明器具が故障したときには、クライアントがそれを把握して交換するようにしています。でも交換された後の器具については考えていません。

面出:ぼく自身は照明デザインでは複雑なこともできるだけシンプルなものを使って、単純化しようと思っている。ぼくらはエネルギーを削減したりたくさんの器具を製造したりするリスクを下げるべき。LPAは照明器具の数や消費エネルギー量を下げるべきだと思っている。

Sherri:特定の照明効果を出すための複雑な納まりがあると、たくさんの付属品を使いますが、そういうのは気が引けます。

面出:安藤忠雄さんと最初に水の教会で一緒に仕事したときに照明器具のない特別な詳細をデザインした。僕はただコンクリートにシリンダーの円筒形の穴を開けるように頼み、その中に白熱電球を取り付けた。何の材料も使わないダウンライトのオリジナルな形。その後は多くの建築家がコンクリートに挿入するコーンを作るようになった。

Sherri:今は通常のダウンライトに交換されているのでしょうか。

面出:いや、まだそこにそのままあるよ。金属やプラスチック、ダウンライトも使わず、建築にシンプルな電球を使えばいい。これはとても難しい方法で、普通は特定の効果を出すためにもっと照明器具を使う。

多くの人や動物、植物の為に環境に配慮した照明効果を考慮しなくてはいけない。環境にやさしい照明の効果はただシンプルに昼光や火をまねることだよね。これを達成するためにはある程度の夜の暗さも受け入れなくてはならない。

Sherri:今回のトピックは“より環境にやさしい設計”でしょうか。または“照明デザインにおける環境への配慮”とするべきでしょうか。

面出:ぼくにとって環境デザインとは、音、光、風など、もっと感情的なもので、特定の雰囲気や快適な空気をデザインすることです。何かを感じたり、快適な環境を作ることに興味があった。日本語でそれは“気配”と呼ぶんだけど、それは単に感覚ではなくて、気配の意味を持つすべてのことを意味している。

Sherri:昼間の照明を設計するプロジェクトに取り組むことを考えたことがありますか?

面出:博物館や図書館、ショッピングセンターなど、夜だけでなく、昼間もどのように空間に自然光を取りこむかを提案するプロジェクトをたくさんやっているよ。多くの建築家はぼくたちに夜間だけでない照明環境の設計も求める。建築家は昼間の設計を誤解しているかもしれないね。常に美しい日光がアトリウムに差し込むことを期待している…昼光は美しいというだけではなく、人工光と合わさったとき問題になることがある。ぼくたちは昼間の不快な環境を避ける方法を提示する必要がある。それにはシェーディングシステムや上からの照明が必要となってくる。
ぼくは室内に昼光を取り入れるためのファイバーやパイプだけでなく、リフレクターにも非常に興味がある。 すべての家は、パラボラアンテナのように、バルコニー側に反射板を設置できるよね。 Norman Fostersによって設計されたHSBC本社は、Sun Scooperと呼ばれる巨大な反射板を使った。 すばらしいアイデアだったんだけど、人工光でバックアップする必要があったため、結局はうまくいかなかった。

Sherri:業界として、真の持続可能性と「環境にやさしい」ために取り組むべきことがもっとあると思います。 私たちが前進していることを証明するには、製品のライフサイクル全体を考慮する必要があるため、省エネ部分だけを宣伝するだけでは不十分です。 現在は情報が手元にある時代なので透明性が求められており、このような詳細が簡単に見つけられないのが問題ですね。

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