2024.9.9 柯 永林 + 蒋 坤志 + 陳 林夕
街の光を構成する要素として、看板照明の明るさ(輝度)は非常に重要だ。今回の東京での調査は、看板の街並みが世界的に有名な秋葉原電気街(中央通り)を対象に、19年前の調査と比較しながら、街の光の構成における変遷を調査してきた。
■秋葉原電気街について
秋葉原は東京の電化製品の中心であり、世界的に有名なオタク文化の聖地である。
毎日、多くの観光客でにぎわう秋葉原だが、銀座などの高級商業エリアや他の繁華街と比べて、アニメやゲーム文化があふれる看板の色は多様多彩だった。
千代田区では令和2年に屋外広告物景観まちづくりのガイドラインが発表され、秋葉原の街並みも変わってきている。19年前に行った調査と比較しながら、現在の秋葉原電気街の夜景を調査してきた。(蒋 坤志)
■街の光源の構成
秋葉原の主要な街区の照明要素は、街灯や看板の照明、建物のファサード照明、そして店舗入口の照明と漏れ光である。
19年前の資料と比較すると、エディオンが休業のため、一番目立った緑色と赤色の照明が点灯されていなかった。オノデンの看板はLEDスクリーンで、その周りの照明は控えめな印象。以前はアップライトされた橋の裏が真っ暗だったが、昼光のように明るいドラックストアのインテリアと看板の照明で橋のアップライトがなくても明るい印象だった。ゲームセンターのファサードは真っ赤に改装されてしっかりとアップライトされていた。他は部分的に新しいオフィスビルに建て替えられ、ファサード照明は控えめだ。カラー照明だったところは控えめになり周囲と馴染んでいた。
全体的な印象として、高層部分はネオン照明がなくなる、もしくはLED化され、看板広告の情報が整理され、LEDスクリーンにまとめられていた。低層部は高密度の照明が並べられ、昼のように明るかった。(柯 永林)
■輝度(明るさ)
この調査では、輝度計とカメラを使ってデータを記録した。秋葉原の主要な通りである電気街では、明るい広告と暗い広告とのコントラストが強く感じられた。
LAOXのLEDスクリーンの輝度は3000cd/m²に達することがあり、隣のオノデンのものよりもはるかに眩しかったように思っている。
下向きに設置された照明は街路に大きな影響を与えている。光源が歩行者に対して丸見えになっており、かなり眩しい存在である。店舗の外観に照射される光も高い輝度を示していたが、広告看板と比べると、輝度の差が少なく、全体的に眩しさは感じなかった。
また、動きのある広告スクリーンは、表示されるコンテンツにより明るさが変わり、一時的に非常に眩しく見えることがある。一方、街灯の明るさは約100から300cd/m²で、歩道や車道を比較的穏やかな光で照らしており、歩行者に過剰な干渉を与えないよう配慮されている。(蒋 坤志)
■秋葉原の屋外広告の現状
屋外広告は広告業界において非常に重要な役割を果たしている。情報を伝えるだけでなく、装飾やアクセントの役割も担っている。しかし適切に運用されないと、街の景観を損ない、反感を買ってしまうこともある。
秋葉原電気街という象徴的な交差点を例に挙げると、さまざまなアウトドア広告が使用されている。具体的には以下のようなものが含まれる:
・屋上看板
・広告幕
・袖看板
・デジタルサイネージ
「アウトドア広告の激戦区」と表現しても過言ではない。それらは利益を目的とした広告が大多数を占めている。写真の中で最も明るい看板は約400cd/m²、暗い看板は約13cd/m²あり、ほとんどの看板は100-200 cd/m²の範囲で照らされている。広告の色合いは明るい色調が多く、このエリアの活気ある雰囲気を反映している。これが秋葉原の独特な雰囲気を生み出し、訪れる人々に強い印象を与えているのだろう。(陳 林夕)
■秋葉原の道路照明
主要道路の照明は主に街路灯に依存し、周囲の店舗からの漏れ光や屋外広告の光がそれを補完している。
1本の道路灯には2灯のランプがあり、一灯は車道に向けて(高さ約10m)、もう一灯は歩道に向けて(高さ約6m)設置されている。道路灯は約17m間隔で設置されている。
JIS(日本工業規格)では、通行量の多い屋外の歩道では、照度を約20lxに保つことが推奨されている。私たちの調査によると、秋葉原電気街は明らかにこの基準を満たしている。しかし、多くの人が感じるように、秋葉原電気街で最も賑わった通りを出ると、すぐに世界が暗くなったと感じる。道路照明は同じということから、明るい屋外広告の光が与える影響の大きさがよく分かる。
これらは、光と広告がこの地域のイメージを形成する上で重要な役割を担っていることを示している。効果的な照明と目を引く広告を通じて、秋葉原は観光客を惹きつけるだけでなく、オタク文化と電化製品の中心地として独自の魅力を強化している。このような環境の創出は、消費者の体験を向上させるだけでなく、商業にとっても良いビジネスチャンスを生み出し、地域全体の経済の発展を促進しているのではないか。(陳 林夕)
■まとめ
今回の調査を通じて、秋葉原の夜間における輝度分布の特性を全面的かつ体系的に把握することができた。秋葉原の看板やLEDスクリーンは視覚的に強いインパクトを持っているが、全体として輝度は比較的均一であり、光害はうまく抑制されている。電化製品とアニメ文化の中心地として、秋葉原の照明デザインは個性と多様性を重視しており、豊かな色彩のレイヤーと視覚効果が街区を生き生きと見せている。
今後、秋葉原の光環境を最適化する際には、看板の輝度調整や商業施設の外壁のデザイン調整に焦点を当てることが重要だと思う。輝度を適切に管理することで、視覚的な疲労を軽減するだけでなく、街区全体の美観をさらに向上させることができる。このようなデザイン戦略は、秋葉原の独特な文化的雰囲気を保ちながら、市民や観光客の夜間の体験をより良いものにするだろう。(蒋 坤志)