東京調査 渋谷
2022.03.10 木村光+ 柯永林+ 朴雪穎
若者の街で知られている渋谷は、2012 年から再開発が始まり、新たにオフィスビルや商業施設が連立し、若者の街からビジネスの街へ生まれ変わっている。新たに生まれる多くの飲食店がある一方、昔からの飲み屋街も残っている。そんな渋谷の新旧を対比しそれぞれの夜景を調査した。
■渋谷の俯瞰夜景
渋谷スクランブルスクエアから俯瞰すると中央に見える線路の東側には、宮下パークの屋上が目立っている。そのポディウム沿いの暖かい光が渋谷横丁。真っ暗に沈む線路の横に潜み、赤い点線に見えるところはのんべい横丁である。高所から見下ろしたのんべい横丁はロウソクのような光がほのやかに揺れていたのとは対照的に、渋谷横丁は賑やかで、全く違うような雰囲気だった。夜景全体が山手線線路を境に、西側が高いビルが林立し、密集している広告塔や看板で賑やかに見え、昔からの繁華街らしい印象だった。東側は、広告塔が少なく、看板も抑えられ、統一感があり落ち着いた印象に感じた。これから渋谷は東側のようにどこにでもあるような統一された街になっていくのだろうか。西側の昔の賑やかさがのこっているのが、渋谷らしくて良いと思った。 ( 柯永林)
■渋谷横丁
渋谷の新たなランドマークとなる商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」。南街区の1 階に全長約100m の多彩な飲食店が並ぶ渋谷横丁が特徴的な通りとなっており、レトロSHIBUYA SKY から見た夜景 線路右手に続くのが宮下パーク
赤坂の俯瞰写真色とりどりだが、色温度は統一されている看板な意匠が魅力的だった。
色温度3000K の街路灯と、2400 ∼ 2700K程度の看板照明が混在し、暖かく活発な雰囲気が演出されていた。看板は同じ色温度で統一されているが、各店舗の特徴を盛り込んだ色とりどりの看板により、にぎやかな印象を与えている。照明が統一された渋谷横丁は、明るく見せることで、あまり人がいないのに賑やかな雰囲気に感じた。
北側出入口の屋上に、4100K の明るい看板照明が設置されていて、その光で通りの地面も照されていた。偶然ではあるが、白く明るい光が通りの入口をハイライトしていることで、人を招き入れる効果が生まれていたのが面白かった。 ( 朴雪穎)
■のんべい横丁
のんべい横丁は、終戦後の闇市に始まる。東急本店通りや道玄坂付近には屋台がたくさん出ていたという。国の規制でそれら屋台が移転し、昭和25 年に作られた飲食店街がのんべい横丁である。店が2 ~ 3 坪の屋台サイズなのはその頃の名残りなのだろう。小さな店がたくさん詰まってるせいか、看板同士が互いに重らないように、形や高さを工夫しいるように感じた。それらの看板はのんべい横丁の特徴的な照明ファサードになるはずだが、コロナ禍の時短要請期間ということもあり、看板を灯す光景が見られず残念だった。
薄暗い道は高圧ナトリウムランプの街路灯でオレンジ色に染まっていた。提灯がつられているが、店の窓が小さく、漏れ光が少なかったため、全体的に少し暗い印象だったが飲みにはいい雰囲気だった。 ( 柯永林)
■まとめ
渋谷横丁はその明るさや訪れている多くの人のにぎわいにより、幸せで華やかに見えた。それとは対照的にのんべい横丁は、コロナ禍で飲みに来る人が少ないためか、暗く寂しく見えてしまった。今後コロナ共存時代になるのかも知れないが、それぞれユニークな特徴を持っているので、徐々に賑やかな状態に戻るだろう。そうなったらまた訪れて飲みに行きたいと思った。 ( 朴雪穎)