街歩き・サロン

リモートサロン Vol.01

照明探偵団リモートサロン/自宅から100 M範囲の照明

2020.05.19 東悟子

コロナの影響で街歩きを延期せざるをえない状況下、オンラインでのサロンを開催。
25名の参加者と自宅から100M圏内の照明について報告しあいました。


探偵団初のZOOMサロン 25名の方々に参加いただき2時間のディスカッションをおこないました

コロナ感染拡大の影響で4月に緊急事態宣言が出され、外出自粛が長期で継続する中、探偵団でも5月中旬に予定されていた街歩きが中止になりました。外出できない期間、巷では様々に趣向を凝らしたオンラインイベントが開催され、今までとは全く違う活動を考えなくてはならない状況に置かれました。
活動の主体をフィールドワークとしている探偵団にとって、外に出かけずオンラインで活動するというのは、目的に反しているのではないかという意見もありましたが、先行きが見えない中、何もせず活動を停滞させてしまうのも不本意とのことで、街歩き企画メンバー(SQUAD)とも話し合い、オンラインサロンを開催することとなりました。

光の家宅侵入罪!

テーマは家からあまり出なくても観察できる“家から100M内の光環境”としました。どれくらいの方が話題を提供してくれるか心配でしたが、まずは試しにやってみることに。
私達の心配をよそに、サロン参加者25名、全員が何かしら話すネタを持って参加され、会終了後に「自分ももっとネタがあった」とつぶやかれている方もいるほどでした。

サロンには東京、京都、滋賀、名古屋、横浜、千葉、仙台、遠くはオランダから参加があり、オンラインの恩恵を受け、ボーダレスな回となりました。

まずはコロナ禍で直面している状況説明などを交えながらの自己紹介からスタート。外出自粛中に会社が親会社に統合され、自分は自宅で動かないのに、環境だけがガラッと変わってしまった方がいたり、ほとんどコロナの影響なく、通常通り出勤している方もいたり、100%リモートワークで運動不足になっている方がいたりと状況は様々のようでしたが、久しぶりに顔を見ながら話ができる機会が貴重でした。

サロンテーマの「自宅から100Mの光環境」の発表でよく上がったキーワードは、まぶしさ(グレア)、色温度、カラーライティング。

一番よく聞かれたのはLED防犯灯や水銀灯が放つ眩しく白っぽい光が嫌だという声。この意見は街を問わず多く聞かれました。球切れや、暗いという苦情が出ると、LEDの防犯灯が取り付けられとても眩しくなってしまう、賃貸マンションを建てる時に、周辺環境に配慮せず、共用部などに白くて眩しい照明を使用し、残念という意見、あまりにまぶしくクレームを入れたら、カバーで対応し、まぶしさが軽減したという報告もありました。マンションの照明と街灯のちぐはぐさが気になるので、周りとの調和が大切といわれる方もいました。面出団長は家の前の公園の街灯を「光の家宅侵入罪だ!」と糾弾していました。


マンション通路の光が対面マンションの壁面を眩しく照らす

球切れするとLEDへと交換され、さらにまぶしくなる傾向に

色温度の話題では、街路灯は温かみのある電球色にするだけで、落ち着くと言われる方がいる一方で、高い色温度でも場所によっては英雄になりうるという意見を挙げたメンバーも。西荻窪を例に出し、日中に太陽が障子を通して部屋に入ってくる白い拡散光がとても好きで、色温度の高い光を放つ街灯が街によってはとても素敵だと発表されていました。街がすで持っているまたはアピールしたいイメージに合わせた光環境づくりが大事なのだと思いました。


木を照らす照明がマンションの壁面も照らしてしまっている

周りの環境を壊している照明として街灯以外に上げられたのが、木などのアップライトや往来を照らす為に、住宅に取り付けられたスポットライトの過剰な照明。木をちょっと照らすはずが必要以上の照度のため、マンション10階のベランダの庇まで照らされており、無駄な光が空まであがり光害になってしまっている状況が報告されました。

カラーライティングの話題では、目立つ建物がなかった駅前に突然チェーンのホテルが建ち、そのサインの青で、駅前が青一色になってしまったという事例が紹介されました。
また街のアイコンをライトアップするのはありかなしかという議論も。東京タワーのようにひとつであればいいが、紹介された仙台の住宅街に何本も建つ鉄塔は、一つおきに青くライトアップされていて、うるさくなってしまっているのが残念とのことでした。
医療従事者への感謝の意を表す青いライトアップが各地で行われており、サロンでも京都タワーやレインボーブリッジが紹介されましたが、比較的好印象を持つ人が多かったように思います。


高い色温度の街路灯が映える通り

駅前に立ったホテルのサインが当たり一帯を青に染めている

青くライトアップされた鉄塔が住宅街に連なる


19:30頃の関西の某住宅街 ほとんどのマンションにあかりがともっている 色温度も暖かな家が多い

暗いが心地の良い高層マンション

コロナで在宅時間や散歩をする時間が長くなり、改めて気づくことがあったという声もありました。その中で、バブル時代に建った高層マンションのランドスケープの照明はとても暗く、足元もよく見えないけれども、その暗さが心地よく、今建てるマンションでは実現できないこの暗い環境が好き、という意見もありました。
また以前に比べて住宅から漏れてくるあかりの色温度が低くなってきた印象があるという声も。
その他、時間により自宅の窓からの光の入り方が違うのが面白く、建築を見るのに時間の変化で見るというのも面白いという気づきがあったという学生も。
コロナ禍で在宅者が多いため、夜早い時間帯から住宅のあかりがたくさんつくようになったという発見もありました。紹介された写真では大きなマンションのあかりがほとんどついており驚きでした。

現状の報告だけでなく、在宅時間が長くなって改めて気づかされたこと、コロナになってからの変化など、様々なトピックが交わされ、また自宅からの参加ということでリラックスした環境だったためか、あっという間の2時間でした。何らかの結論がでるような会ではありませんでしたが、各地の住宅街の光環境を知ることができて、有意義な会になったのではないかと思います。

今年で創設30年を迎えた照明探偵団ですが、この状況下で歩みを止めることなく活動を続けていきたいと思います。またテーマを変えてのサロン開催を予定しておりますので、是非お気軽にご参加ください。
(東悟子)


在宅時間が増え、自宅に差し込んでくる昼光がきになるように

部屋の印象が刻々と変わる

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