探偵ノート

第050号 – 太陽に近づいた感じ・・・ラサの街に立つ

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今ラサという街に来ています。初めて来た街なので相当興奮しています。ラサとはチベット語で神の地を意味するそうです。標高1650mという高地に作られた街なので光が限りなく透明です。光が透明というのは空気が乾燥していて塵埃も少ないので太陽の光を遮るものがなく、目にするもの全てが鮮明に見えてきます。突然視力が良くなってしまい、遠くのものが近くに見えるような現象。だから寺院や建築全てに施された極彩色が、紫外線を受けてビンビンに輝き立っている様に感動するのです。この肌を刺す紫外線は害になるとは思えないくらい爽快です。ラサの街で確実に太陽に近づいた喜びを感じます。光が静かに輝き立っています。

ところがやはり急に高地に飛び込んできたので高山病の症状に見舞われます。深く呼吸がしにくくなり息苦しい。ハーハーと音を出すようにして深呼吸を繰り返すが、頭がボオーとしてそのうち軽い頭痛がしてくる。私は以前やはりネパールで4000mの高地に突然飛んだことがあるから既にこれは経験済み。全くあわてずにチベットの洗礼に従うことにする。睡眠を12時間以上とるが、細かい夢をたくさん見るので深くは眠っていないのだろう。部屋に設備された酸素吸入器も活用して、今日は全く頭痛を感じないようになりました。街を歩く人達と同様になれたようで嬉しくなる。

街を歩く人達を見ているだけで学習になる。殆ど英語も通じないが笑顔のアイコンタクト。マニ車を手に回しながら歩くチベットに人に習って、私も懸命におもちゃのマニ車を買って回してみる。不謹慎なつもりはなく、同じ行為を真似することで何か彼らの気持ちの一部に触れる感覚が与えられないか、と期待しているのです。しかしそんな安易なものではないのですね。この敬虔な群衆の中にあって孤独感を味わうばかりです。

あと2日滞在します。観光できたのではなく、ここにある世界遺産の照明計画を依頼され調査に来ているのですが、この仕事の詳細はうまく行けば6ヵ月後にでもまたお話しすることになるでしょう。お楽しみに。

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