探偵ノート

第83号 – 緑色のオフィス

Update:

パンデミックのお陰で去年の2月より15か月も他国の地を踏むことがない。それまでは毎月2度も3度も自由な海外出張を繰り返していたことを思い出すと、何か投獄されたような気持ちにさえなってくる。私は精神的に図太いので、大したストレスを自覚したことがない。だからパンデミック下での不自由ささえ、新しい自分を見つけるチャンスと言い聞かせてきた。生活のリズムが激変しても変わることへの好奇心は満たされている。しかし今回だけは、本音を言えば、「早くどうにかしてくださいよ」というような神頼みに似たことをつぶやいている。ああ、どうしたことか、そんな自分が情けない。

そんな私をしっかり慰め奮い立たせてくれるのが、緑に囲まれたLPAの仕事場であることに最近気づいた。「新事務所に独りぼっち」という寂しげなタイトルを付けた第80号の探偵ノートを書いたのが一年前の5月4日。読み直してみると面白い。中央区佃1丁目という緑に囲まれた新事務所に移転して1年が経過した。オフィスの大きな窓からは、たっぷりの緑色が風に揺られ、時の流れに従って表情を変えて飛び込んでくる。これは面白いし気持ちが洗われる。木陰を映す西陽の時間帯さえ愛おしい。

仕事中にいつも窓の外を見ているわけではないが、日常の視野に頻繁に緑が入ってくるのは目が休まるだけでなく心も治癒してくれているに違いない。紹介する写真は全て私が撮ったもの。今年の桜満開時の窓辺。先週末の新緑の風景。最後の一枚は一昨日の夕暮れに訪れた一瞬の夕焼け。忙しく仕事をする仲間に声をかけ、皆で銀座方向に沈む夕日のドラマを楽しんだ。

非常事態宣言を受けてLPAも自宅勤務体制を継続している。事務職は週一日、デザイン職は週2日の出社体制なのだが、このテレワークを楽しむ風情や困った心情が混在する様子だ。こればかりはスタッフの個性や生活信条にも左右されるらしい。私だけは例外で、徒歩圏内の通勤なので毎日出社し緑色のオフィスを楽しんでいる。一刻も早く「観月会」や「夜桜会」に皆さんをお招きして、また楽しく飲み交わしたいものだね。

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