探偵ノート

第45号 – 働き方改革

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テーマ『働き方改革』

Interviewer: 向平 知弘

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向平:今日は照明デザイナーとしてだけでなく、経営者の立場でもある面出さんと、デザインと働き方についてお話してみたいと思います。最近では、労働人口の減少、育児・介護負担、長時間労働などの問題を解決すべく、日本では「働き方改革」が叫ばれていますね。

面出:向平くんや同年代の人達は働き過ぎだと思う?みんな何時間くらい働くのが理想なのかな?

向平:日本人は残業で疲弊している人が多いですね。朝9時から夜6時の定時上がりが理想でしょうか。

面出:そうか、やはり8時間労働。しかし、そもそも定時って何だろう?農作物を作る人たちは、朝早起きして畑仕事した後、夜は道具を作ったりしなくちゃいけなかったわけだよね。定時なんてないんだ。

向平:お金を稼ぐための労働と、自己実現のための労働の2つの考え方があると思います。前者なら短い程良いでしょうし、後者なら長時間働くことも厭わない人もいるのではないでしょうか。面出さんが20代・30代の頃は、どのような働き方をされていたのですか?

面出:僕は働きオタクだから参考にならないよ。働くのが大好き。デザインの仕事をする前も、アルバイトで出前持ちをやったり、いろんな仕事をしたね。家でも、皿洗いや掃除も好きで家事は自ら進んでやる。働くことは、価値を生み出す尊いものだと思っているよ。「労働疎外」という言葉があるけれど、どんな仕事もつまらないと思わずに一生懸命やる。僕は28歳から39歳まで会社員をしていたんだけど、あの頃はおびただしい残業時間だった。

向平:私はシンガポールオフィスで働いて2年目になりますが、初めの数ヶ月で驚いたのは、20時前には事務所に誰もいないということ。みんな定時を過ぎたら、どんどん帰っていく。仕事よりも家族との時間を大切にする。もちろん、プレゼンや締切前には深夜近いこともありますが、18時過ぎには、僕のデスク以外誰もいないなんていうこともよくあります。

面出:時間というのは、密度や精度が大事。だらだらと仕事するのはNGだね。クリエイティブな仕事では「瞬発力」がモノを言うと思っているよ。デザインという仕事でクリエイティブな時間は全体の1割くらい。そこでいかに成果を出せるか。残りの9割は、いわゆるルーティンな仕事だけど、この仕事の精度が非常に重要になってくる。今後、AIに置き換わっていく仕事も増えるかもしれないが、人間にしか出来ないことの精度を高めていく必要があるね。

向平:長時間労働の原因のひとつに、クライアントからの厳しい要求もあると思います。シンガポールでは、出来ない要求に対してNOと言うのが当たり前。みんな言いたい放題なので、むしろNOと言えなければ潰されてしまいます。しかし、日本ではそれが難しい空気感がある。

面出:クライアントの要求に丁寧に応えたいというのは日本人の美徳。幸い、心の通うクライアントは我々の仕事をリスペクトして、必要な時間も理解してくれるけれど、強引なクライアントには仕事を断ることもある。責任の持てない働き方はしてはいけないよね。

向平:LPAで働き始めて感じたのは、密度の高い仕事を追求して、常に効率を求められること。過度なプレゼンや無駄な作業は厳しく注意される。デザインもビジネスであり、時間はコストであるという意識がなければ、利益を出していくことは難しいですよね。

面出:私たちは1日10時間を上限として稼働計画を作っていて、それ以上は働かなくても良いようにマネジメントしている。最近は東京オフィスでも22時過ぎには誰も居なくてびっくりなんてこともある。非常に良い傾向だと思うよ。

向平:副業についてはどうでしょうか?例えば、週3-4日照明デザインをやりながら、他の日はグラフィックデザインをやりたいという人もいるかもしれない。コラボレーションによる新しい発想を生み出す上でも大切なのではないでしょうか。

面出:働き方については柔軟に対応しているが、副業はダメだね。私たちは光のスペシャリスト。片手間に出来るほど照明デザインは甘い仕事ではない。東京オフィスでも、ママさんデザイナーが増えてきたけど、限られた時間内でどうチームに貢献出来るのか、社員自身が考えて欲しいと思っている。

向平:働き方改革というのは労働時間を短くするという単純な話ではなく、効率性や柔軟性を追求していくことに加えて、働くことが楽しいと思える、生きがいを持てる環境をつくることが大切ということですね。私も働き方の意識改革として、自分の仕事が社会に対してどういう価値を生み出しているのか、自分にしか出来ない価値をどう作り出すべきなのか、常に心がけて仕事に臨むようにしたいと思います。

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