世界都市照明調査

京都 KYOTO

京都は風水に基づく都市計画のなされた古都だ。碁盤の目状に通りが配置される一方で、町家空間から派生した路地などユニークな空間的条件を兼ね備えた都市でもある。 都市の空間的特長に寄り添う京都ならではの光の数々をみつけた。

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夜景スポットとして有名な将軍塚。三方を山に囲まれた京都を街の東側から見下ろすことができる。通りやそれぞれの地上に近いレベルからの光が建物のボリュームをなめ上げ、影の群れとして都市を浮かび上がらせる。

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伝統建築のファサードが保たれている祇園エリアは、光環境やその演出に心を割いている様子がうかがえる。照らす光があるのではなく、何かを透過する光、隙間やすだれから漏れる光が空間を優しく満たす。

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京都は豊かな水景も持ち合わせている。先斗町から漏れる光は鴨川に映りこみ、品のある華やかさで京都の夜を彩る。

        

秋の京都・色彩探訪

京都の秋は見事な紅葉で彩られ、お寺では期間限定の夜間参拝が開催される。苔や露などの繊細な色が自然光によって浮き立つ昼の清楚さ、暗闇に照らし出された紅葉・竹林や映像などが演出する夜の妖艶さ、秋の京都は昼と夜で全く異なる表情をみせた。

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高台寺では毎年アーティストによるライトアップが行われる。方丈庭園では白砂上の映像、光の色、BGMが次々と移り変わっていくのに対し、紅葉が映りこんだ臥龍池の水鏡は波ひとつなく静止していた。照らす対象も絞りこみ、全体的にメリハリのある構成となっていた。

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叡山鉄道には250mにわたって単線の両脇をもみじが囲む「もみじのトンネル」がある。通過時には徐行運転に代わり、夜間はさらに車内が消灯されてオレンジ色に照らされた紅葉が浮かび上がる。通り過ぎるだけの場所であるからこそ、華やかながらも儚く感じられた。

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祇王寺は「虹窓」で有名である。竹格子によって光が分光され、障子上に淡く赤や緑に映る。日の射し方によって刻々と表情を変えていた。庵の外には苔庭が広がり、紅葉の赤と苔の緑、木漏れ日がはんなりと美しかった。

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