探偵ノート

第64号-最近はまっていること

Update:

Interviewer:笹本 明美

笹本:今日のテーマは「最近はまっていること」そして「何故それにはまったか」です。

面出:趣味は色々あるけど、今、はまっているのは料理だね。去年からパンデミックで家に奥さんと一緒にいる時間が長くなり、食べることに対して「美味しいね」って褒めてあげるだけじゃなく、自分でも何か美味しくつくれたらいいかなって思うようになった。

笹本:それは素敵ですね。面出さんがディナーを作る日もあるんですか。

面出:まだ許されないね。1品だけ作るとかはできるけど、奥さんから見たら危なくてそんなことさせられないんじゃないかな。もともと、僕はずーっと40年以上洗い物が専門だった。洗い物のほかに手伝わせてもらえたのは、大根おろしとか失敗しないものだけだった。

ところが最近は味付けをみなさいと言われることもある。きっと奥さんの方も「もしかしたらこの人元気だから、私より長生きするかもしれない。自分の療養中は、美味しいものを作ってもらわなきゃいけない」と悪知恵が働いたのかもしれないね。うちの奥さんは料理がとても上手。今は本格的に料理の基礎を教えてもらっているよ。

僕ももともと器用だから、刻んだりなんかはすぐ慣れちゃう。包丁持たせたら上手いんだよ。笹本さんはどうなの、色々なことにハマっていそうだけど。

笹本:私も趣味はたくさんあります。長く続けているのは、デッサン、ミュージカル、バレーボールなどです。子供が小さかったときは子育てで忙しく全部いったんお休みしていましたが、最近になってミュージカルを復活させそれにはまりつつあります。

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面出:それは教える方でかな。

笹本:教わる方です。元々、高校では演劇部に入り、大人になってからは市民ミュージカル、脱サラしてミュージカルの学校にも通っていました。

面出:歌も好きなんだね。

笹本:はい、好きです。私は声が大きくて結構パワーが余っているので、セリフや歌は好きです。ダンスはラジオ体操と言われたことがありますが。それでもミュージカルでは大事な要素なので以前はダンススタジオにも通っていました。

面出:演劇レッスンはセリフを読んで、それに対しての指導があるのかな。

笹本:はい、先生がプロの俳優さんで、神様みたいな存在です。1やると10ぐらいダメだしが出て、それをどう昇華しようかなっと思っています。

面出:演出家の蜷川幸雄が、さいたまゴールド・シアターっていう60歳以上の人を集めた劇団を作った。そこに僕の友達の建築家が参加して、聞くと声を届かせる発声練習なんかもやってるそうだね。

笹本:もちろん、発声練習もやっています。今の先生に会って、発声も含めて今まで何にも出来ていなかったなと日々痛感しています。

面出:僕はね、中学の時までは音楽の人だったんだよ。ドランペット吹いたり、バイオリン弾いたり、楽器の方が好きだったんだ。きっと僕を中学まで知らない人なら、芸大の音楽の方に行ったんだと思うよ。

だけど高校の時にたまたま綺麗な石膏像の明るい光を見て、こういう真っ白なものをデッサンするのは面白そうだなって思った。それで美術部を受けようかってことになったんだ。僕の選択肢は芸大1本だったんだけど、当時、芸大の倍率が35倍くらいあったから、もし芸大がダメだったらと覚悟したときに僕は役者も出来るかなって思ったんだ。きちんと体をはってやれば人を感動させるようなことが自分にはできるんじゃないかってね。役柄というよりは体を使って表現をすることにとっても興味をもってたね。

武蔵美で教鞭をとっていたときはプレゼンテーションを重視していた。自分をどうやって伝えるかの方がデザイナーの資質としては大切なんだ。3分間与えるからあなたをきちんと表現しなさい、とプレゼンテーションをさせる。何かを読むのではなくて、自分がきちんとその役柄になって周りを感動させるように振る舞いなさいと。

デザイナーというのはあるところでは役を演じて人を感動させる、そういう仕事でもあると思う。かなり役者にも近いかもしれないね。自分は何者であるか、自分たちはどうやって光を作っているかとか、どういうところに感激してやっているんだとか、相手を説得しなくちゃいけないんだ。

笹本:役を演じて人を感動させるというところは、役者に近いですね。デザインのみならず、プレゼンテーションで自分を表現することもデザイナーの重要な仕事というところは、とても興味深いです。

面出:笹本さんは、今後、何か出演する予定はあるのかな。

笹本:まだまだ、先になりそうですが、その時はぜひご案内申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

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