『面出の探偵ノート』の新企画 面出の探偵ノートも既に13年間のうちに76回の連載をしてきたそうです。毎月一度は書こうと思っていたのですが、最近は忘れたころに新作をアップする…という体たらくで、スタッフから叱られ続けています。 そこで彼らが考…
久しぶりに夫婦一緒の小旅行を楽しんだ。 Bangkokに仕事でいく機会があったので、その打ち合わせのついでに奥様を誘ってタイ北部の街チェンマイを訪れた。チェンマイには私たちが照明デザインを担当したリゾートホテル、Chedi Chaingma…
今、私はテムズ川沿いテートモダンの脇にある小粋なパブに落ち着いている。Founders Arms / Riverside Pub and Dining という名前の店らしい。 多分1年ぶりのロンドン出張になるのだろう。しかも独りでぶらぶらと…
今、カンダラマの森と湖が深い闇から解放されて、朝を迎えようとしている。私は髭をそり歯ブラシを口に入れて、めまぐるしく変化する気配の一瞬を見落とすまいとベランダの椅子に腰掛ける。カメラでこの気配が切り取れない。変化する雲の厚さや形に日の出の角…
「二度づけ禁止」の張り紙を見たことがありますか? いまどきは徐々に少なくなってきているが、大阪の下町に見られる立ち食い串揚げ屋で見る張り紙だ。ポッピーとかバクダンとか言うような安酒をあおりながら目の前で揚げられる熱々の串揚げを、ホーローの器…
私は最近、色々な場面で蝋燭のあかりを使う。 リゾートホテルや飲食空間などの照明デザインに大切な光源の一つとして起用するのだが、光量が不足したり安全性を問われたりして苦境にたつような時にLEDの競演によって助けられることがある。だからLEDは…
台風の余波を受けて天候が危ぶまれていたが、小雨まじりの谷中に30人ほどの仲間が集まった。 今日は恒例の照明探偵団の街歩き会。今回は下町情緒の残る台東区谷中の街と、 そこに潜む墓地の奥にまで分け進もうという企画だ。各自2個の懐中電灯を持参して…
地下空間に人が住むという必要性がどこにあるのだろうか。海底都市とか地下都市とか聞くと、月面に住む人類の夢ににて、ある種のロマンを感じることもあるが、私は魚や土竜のような生活に何の魅力も感じない。美味しい空気を吸い、太陽と共に24時間を繰り返…
ジャミイ(モスク)を訪ねると既に数人の男たちがメッカの方向を指して、立ったりひざまずいたり、両手を耳に当てたり床に伸ばしたりしている。とても単純な動作の繰り返しで、全く自分勝手な礼拝のリズムだ。しばらく彼らの行為を詳細に観察した後、私は予め…
OR-12と表示された手術室は、ほぼ7×7×3.2メートルほどの冷たい部屋である。中央に設置されたベッドの周りには、執刀医を含む8名が患者を取り囲み、手際よく細かい仕事に熱中している。天井には3種類の無影灯、TVカメラ、TVモニター、そして…
地下2回のダンスフロアの片隅で、淺川さんが三脚を小さく立てながらシャッターをきっている。ここではストロボ撮影が禁止されているそうだ。こんな真っ暗な空間で、レンズを通して一体どんな画像が現れてくるのだろう。写真家の目は天井方向に向いている。出…
クアラルンプールを訪れると「アジアの都市の夢の跡」が感じられる。アジアンマネーの目指してきた都市化の高波は、明らかな失速感と共に奇妙な都市環境を作り出している。黄金の三角形と呼ばれる市の中心再開発部には、世界一の高さを誇る連立超高層ビル、ペ…
銀座付近で夕暮れに仕事が終えてしまうと、このガード下によく来たものだ。銀座のど真ん中で心おきなく飲むこともできないから。「ガード下に行こうか」。誰からともなく、そんな誘いの言葉が気軽に出てくる。そう、ここには筋肉と精神の弛緩を無条件で許す空…
「春の夜の、夢か現か床の内・・・」江戸期に町衆を魅了した新内節、夜桜の一節。吉原の遊女上田屋園春の廓脱け(くるわぬけ)を語ったものだ。遊廓の二階部屋の窓越しに、ほんのりと灯火に照らし出された満開の桜花が眺められたのだろう。闇夜にひっそりと浮…
「すごいぞ」という噂を聞いてやってきた。どんなに凄いのだろうかという期待に胸躍らせながら、明治通りから大久保通りに入り山手線の新大久保駅方面に向かう。エスニックの雰囲気漂うこの界隈にビックリするほど明るい商店街が出現したそうな。一体何が起こ…
このベランダから隅田川を挟んで佃島が見える。リバーシティ21の超高層のマンション群、都営、公団、三井不動産の三社の寄り合いで、合計9棟が林立している。10年ほど前には目の前を遮るものは何もなく、今日のように晴れ渡った冬の日には遠く霊峰富士ま…
せっせと山歩きをして峠の茶屋でひと休み。熱いお茶か冷たいビールを片手に、遠くの山並みや空の雲、近くに流れる川の流れや鳥の声を聞く。ああ、何という心洗われる瞬間。なるほど、これが現代人の休息だ。毎日のように切れかかった気持ちにむち打って、都会…
私はこの大空間に少しの暗さも感じない。確かに従来的な駅舎のように、大量の光を用いて隅から隅まで煌々と照明するようなことはしていないが、ここにはハッキリと「視覚化された明るさ」がある。視覚化された明るさとは、適度な陰影と同居することによって初…
事件は愛知県の渥美半島で、秋の夜長に毎夜のように起きていると聞いていた。ひっそりと夜を迎えた闇夜の農村が、真夜中になると、あっと言う間に電飾に包まれる。野心的な照明デザイナーにとっては必見の環境だと・・・。 愛知県渥美半島赤羽根町は電照菊日…
超高層ビルの外観照明には手を焼くことが多い。建築のデザインもただ単純な墓石のような物でもまずいので、いろいろと表情のアレンジを試みるわけだが、結局ガラスのカーテンウォールは、夜のビル外観を画一的にしてしまう。ガラスのファサードを光で照らしあ…