第53回研究会サロン@ 照明探偵団事務局
2016.11.30 荒木友里
羽田空港の街歩きから約1か月、再び集まり班ごとに発表を行いました。
羽田空港の3つのターミナルビルをそれぞれの班で駆け足で回ったのですが、同じ所でも照明に対する評価がだいぶ分かれている印象をもちました。各班の発表内容をご紹介します。
■1班
第一ターミナルのトイレの意匠が男女でまったく異なっていて、女性用トイレは色温度の低い暖かい空間、男性用トイレは色温度の高いシャープな空間となっていました。知らなかった他の班のメンバーからは驚きの声が。第一ターミナルと第二ターミナルのバス発着場の比較では、照度はどちらも同じ150luxくらいなのに、色温度が違うことで雰囲気がまったく変わってしまうのがよくわかりました。
■2班
第一ターミナルの展望デッキについては景色を楽しむため最小限の照明が施されていて評価されているポイントが多くありました。全体としては、色温度が適当でないことやバラつきが多く見られたことについて犯罪者だという指摘が多く、色温度の重要さを改めて実感しました。国際線ターミナルには不可思議な光が多く、国内線の方が英雄は多かったようです。
■3班
展望デッキからみた滑走路の誘導灯がイルミネーションのように素敵な景色をつくっていて印象的だと評価が高かったです。また、京急線の駅構内と羽田空港とで照明がくっきり異なってしまっていたことが指摘されました。違和感があるという意見が多く、大規模施設においては管理区分による問題というのも多く発生してしまいがちのようです。
■4班
第一ターミナルの展望デッキは高評価で英雄だとされるポイントが多くありました。対して国際線ターミナルの展望デッキは店舗からの漏れ光が強すぎてもったいないという意見が。フォトスポットとして意図されているであろう日本橋を摸して作られた羽田日本橋の金屏風飾りについては照明器具のグレアがきつくもうすこし工夫があれば良かった、という意見がありました。また、国内線ターミナル内の各所で計測したduvがプラス側に偏り、国際線ではduvがマイナス側にふれている、というのはとても興味深い発見でした。
発表資料。羽田日本橋が一番の犯罪者に
細かな資料まで作成
■まとめ
2011年にリニューアルされた第一ターミナルの展望デッキの照明についてはどの班でも評価が高かったです。国際線ターミナルの連絡通路における青緑の照明については意図がわからず犯罪者だという評価が多かったですが、中には格好良かったという意見も。江戸小路については、おもてなしという意味では英雄だ、あまりにも偽物すぎて犯罪者だ、と見る人によってとらえ方が二分されていました。
どちらのターミナルにおいても、到着ロビーは色温度が低く照度が高い、出発ロビーは色温度が高く照度が低いという環境についても、旅の目的によって捉え方が違うようですね。
普段は一所に留まる時間が長い空港ですが、今回は短い時間で空港の多くのエリアを歩きまわることで、これまでと違う表情がたくさん発見できました。
次回の街歩きはすみだ水族館です。皆さんのご参加をお待ちしております。
各班ごとに意見を持ち寄って発表
軽食を取りながらの和やかな雰囲気のサロン