街歩き・サロン

第79回街歩き: 高輪ゲートウェイシティ

100年後を見据えた街の照明計画を探る
2026.05.21 金山聡美 + 小谷弥 + 東悟子

2026年3月に全面開業した高輪ゲートウェイシティで街歩きを開催。34名という多人数を3班に分け、90分間で見どころ満載の広い施設を駆け足で巡りました。

高輪ゲートウェイシティ全体図 (JR 東日本提供)
いつもは25 名の枠に34 名の参加希望が 3 つの班に分かれて街歩きしました

2026年度初回の街歩きは3月に全面開業した高輪ゲートウェイシティ。100年後を見据えた街づくりを謳っている街の照明には何か発展的なものが見られるのか、期待たっぷりでのスタートとなりました。今回はエリアを分けて街歩きする通常のものとは違い、同じ高輪ゲートウェイシティ内を、3つの班のリーダーが紹介したいスポットに引率するという形をとったので、重複したエリアも多くありました。

■1班

1班は、駅前を含む商業施設の周りからスタートし、その後THE LINKPILLAR1、THE LINKPILLAR2、MoN Takanawaの順番で回りました。参加メンバーには、高輪ゲートウェイ駅周辺のまちづくりに携わったかたもいらっしゃり、お話しを伺いつつ観察できました。

進行方向をみると天井からまぶしい照明が目を刺す

まず、THE LINKPILLAR1 SOUTH周辺では、下りエスカレーター横のウォーターウォールのアッパー照明や、施設1階の庇のライン照明など、進行方向に向いている人たちの目へ眩しさを感じさせる照明が犯罪者となりました。

その後、NORTHへ。1Fロビーは、木質の天井とタイル壁を中心とした無機質さが混在しながらも、それぞれ照明の色温度を変え、落ち着きと上質感を与えるとともに、視認性と機能性を確保することで、店舗棟であるNORTHとオフィス棟であるSOUTHをつなぐ共用ロビーとしての役割を果たしていました。

28F-29Fのレストランフロアは全体的に暗い印象でしたが、「来訪者にとって魅力的と感じる空間になっている」、「この暗さを事業主に納得させたことはすごい」と、メンバーには高評価でした。

MoN Takanawaは、他の低層部と調和するように外部の照明が暖色なのに対し、内部が白色なため、全体としての統一感を阻害しているという意見も。外部のテナントが入っているわけではないので、もう少し統一できたのではないかと思うとのことでした。

今回は学生の参加者も多く、これから設計に携わる学生、現在設計に携わっているかた、この街の開発者のかたが同じ班となりました。設計の実務者や開発者にとっては若者の新鮮な感性に触れる機会となり、学生にとってはプロの専門的な知見や開発の意図を直接学ぶ場となりました。
高輪の各街区の高層部の照明デザインは、海の上につくられた街として、海に停泊していたであろう帆船に見立てられているそう。これからできる2棟を含め、6棟の高層部が統一感を持っており、他にはない事例として英雄となりました。(金山聡美)

■2班
2班は、LINKPILLAR 1 NORTHから街歩き開始。エントランスの「暗さ」に感動を覚えながら中に入ると、壁面上部に設けられた間接照明によって空間全体がやわらかく包み込まれるように照らされており、最初から心をつかまれるような印象を受けました。

壁面上部の間接照明で間全体をやわらかく包み込む照明
暗さが導線を作っている

28階に上がると屋上庭園があり、道しるべの役割を果たす照明や石を美しく照らし上げる照明が配置されていました。多様な草木が点在する中で、照明は草木を照らすだけでなく、さまざまな照明手法によって視線の移ろいを生み出し、空間そのものを楽しませる大きな役割を果たしていました。しかし、下をのぞいてみると、投光器によってまぶしく看板が照らされており、とても残念に感じました。
屋上庭園を出てレストランエリアに入ると、「暗さが導線をつくる」ことで店舗との境界線を生み出していることに驚かされました。
29階では、行きは壁面照明のみで照度が確保されており、意匠性が高く素晴らしいと感じましたが、振り返ると、先ほどまで美しく見えていた照明が目に刺さり、行きと帰りで表情が変わる照明を発見しました。

MoN Takanawaに向かって歩き出すと、左側は半分だけ、右側は360度照らされている、照明によってバランスが取れていない2つの植栽柱がありました。これは満場一致で犯罪者となりました。 MoN Takanawaでは、壁面にスカラップが出ていたり、屋上庭園の色温度が統一されていなかったりと、照明計画の大切さを身に染みて感じながら建物を出ました。少し引いた位置から外観を見ると、演出照明によって建物全体にリズムが生まれており、まるで建物が呼吸して生きているように見えました。

今回の街歩きには学生も多く参加しており、面出団長といつも以上にさまざまな意見が飛び交う、楽しい街歩きとなりました。(小谷弥)

■3班
街歩きのルートは3つの班でほぼ同じなので、3班が発見した光の英雄と犯罪者で意見が二分したものを3つ紹介します。

暗さに挑戦しているが、足元が真っ暗で怖いという意見も

まず一番の議論になったのは、屋上庭園の暗さ。照明は植栽を照らすアップライトのみで足元は暗い。お籠り感がありいい雰囲気ではあるものの、階段の段差が見えづらかったり、奥に進むのが怖かったりと意見が分かれました。

2つめは、食品を販売しているエリアの天井照明。販売しているオリーブオイルや野菜などの商品の状態がよくわかる白い光なので英雄だという意見がある反面、黒子に徹するべき照明器具の存在が大きく、設置位置も低いので圧迫感がありすぎるという意見も聞かれました。

3つ目はMoN Takanawaの外観照明。煌々と建築を照らすのではなく、控え目な光が美しいという高評価もありましたが、中からの漏れ光と色温度に差があり、違和感があるという意見も聞かれました。
見るところが盛りだくさんの高輪ゲートウェイシティを90分で見るというタイトスケジュールだったため、駆け足の街歩きとなりましたが、発見が多い街歩きでした。

全体的に空間に余裕がある街で、ところどころに座って休むスペースが設けられ、照明もリラックスできるよう配慮されているように感じました。木を照らしすぎていたり、器具の配光がうまくいかずまぶしすぎたり、暗さに挑戦しすぎて足元が真っ暗だったりと、犯罪者だとする意見も聞かれましたが、たくさんの挑戦が詰まっているプロジェクトのように思いました。またじっくり見に来ようと思います。(東悟子)

街歩き後の反省会の様子 写真を見ながらレビュー

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