探偵ノート

第041号 – 目の前の隅田川

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私は早起きが得意で、毎朝6時に起きるようにしていることは以前の探偵ノートでも書いたような気がします。どんなに寝るのが遅くなってしまっても起きる時間は6時です。

朝6時は大変面白い時間帯で、四季折々に異なる自然のドラマが味わえます。夏至に近づいている今日この頃はもちろん、既に元気な太陽に急かされるように飛び起きますが、冬至に近くなると未だ世界は真っ暗で、どこに朝が隠れているのだろう・・・というような凍りついた時間帯です。しかしそこから徐々に闇が解けて希望の光がすっとやって来る。突然訪れる朝の陽光に隅田川に棲むたくさんの鳥たちの羽音が聞こえます。

6時に起きて先ず紅茶と野菜ジュースを用意し、食パンかマフィンかライ麦パンのようなものを焼いて、お腹が空いている時にはポーチドエッグなども作ります。そうそう、ウォッシュタイプかブルー、またはゴートなどの中からチーズも選び、癖のある蜂蜜も添えます。そして朝食の準備が整うころに連合いが未だ覚めやらぬ顔で起きてくる・・・という日常を楽しんでいます。

いやいや今日の探偵ノートは朝食の話ではありません。私が朝食をとる小さなベランダから見える水辺の表情について書こうと思ったのです。水はあらゆる種類の光を映しこみ、透過し、反射して、朝6時の風流を演出してくれます。私のベランダは永代橋と中央大橋と相生橋に挟まれた、隅田川の三叉路のような個所を望んでいるので、早朝からいろいろな種類の船が行き来し、カモやユリカモメ、オナガやツバメやスズメ、もちろん美形のカラス夫婦も我が物顔に飛び交っています。キラキラする水面のテクスチャーに見とれていると、カモの一家が潜水しながら獲物の小魚を探しているのを発見。けっこう長い間息を溜めていられるものです。キラキラは時に対岸のビルのガラスカーテンウォールに反射して、ギラギラに近いグリッターリング効果に変化します。しかし水面を反射するギラギラを私は嫌いではありません。何故でしょう。グレアには違いないけれど嫌いになれないでいる・・・。水を恋人のように想っているからかしら。

隅田川の水は年々きれいになっているように思えます。魚も戻って来ています。空の青さをそっくり反射する時間帯もありますが、どんよりと不透明で油のような表情をしていることもあります。わずかな太陽の色を拾って部分的にほんのり色づくこともあるし、船がその色づいた光のキャンバスを礼儀よくかき乱すこともあります。水のゆらぎを凝視して得るものは、木の葉のゆらぎや空を行く雲の流れの単純明快な気持ちよさとは異なります。複雑な周囲の環境を映し出すからでしょうか、多彩な水と光の表情に癒され、慰められ、叱咤激励されることしばしばです。朝6時の水面に満足しています。

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