探偵ノート

第016号 – 探偵日記991124

Update:

おやおや、しまいにはヘリコプターまでやってきたみたいだ。ただ今、ヴァイマールからフランクフルトに向かうドイツの高速道路に立ち往生するバスの中。100m先には炎上、死亡を伴う大事故の現場が見える。完璧な道路封鎖に巻き込まれ、既に6時間もこのバスの中に閉じ込められているのです。こんな経験は、もちろん初めてです。

このバスに乗っている全員が予定の飛行機の出発時間に間に合わない。諦めているが皆が旧東ドイツの警察や消防ののろまな処理に飽き飽きしている。後ろの席では五月蠅い香港のおじさんがやり場のないイライラを隠さない。横の席ではイスタンブールに帰るトルコ人。そのほかにフィンランド人と、デンマーク人、スペイン人…などなど。来年の3月にフランクフルトで開催される照明の見本市[Light+Building 2000]のプレビュー・コンファレンスに参加した人たちだ。フランクフルトからの帰国便をことごとく再調整して、4~5時間も後の便を取り直したのだけれど、それでもなお、いつ道路が再開してくれるのかも解らない。私たちの世話をやいてくれているドイツのご婦人が可哀相。客に迷惑をかけているのは彼女ではないのに…。

おお、やっと開通の見込みを知らせるサインが送られてきた。辺りから大歓声が聞こえる。この分で行けば変更した夕方の便には間に合うはずだ。それにしてもこの辺の旧東ドイツの高速道路は舗装の質もよくないな。東西の格差は完璧になくなってはいないことが解る。フランクフルトで行われる[Light+Building 2000]の会議とプレスミーティングに出席した後に、ヴァイマール近くの Bad Sulza という田舎街に出現した Liquid Sound というリラクゼーション施設を訪れた。30度に温められた3%濃度の海水の中に身を浮かべながら音と光の演出によるリラクゼーションに浸るというもの。なかなかの考えられた施設で、挑戦的な課題に取り組んでいる。その真価については次回の探偵日記に報告予定。何しろ3泊4日の多忙な日程の最終日に、予定外の6時間ものバスの中での監禁状態。何事も経験、とは言うものの、帰国後の詳細打合せ日程がガタガタだ。潔く諦めることの大切さをきっちり学んだ1日でした。

991124 pm.2:30 somewhere in Germany

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