探偵ノート

第058号 – 参道に出現したあかり/akariumに注目

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原宿表参道の欅道の夜を歩いてみてください。高さ6メートルもの大型行灯から溢れる優しい和風のあかりに出会うことができるはずです。この欅道は90年代にイルミネーションを草分け的に開始し一大ブームを作ったのですが、仔細あって1998年にこれをやむなく中止しました。今年は8年ぶりの復活です。しかしその間に商店街の名称も「原宿シャンゼリゼ会」から「原宿表参道欅会」に変更し、ついにこの参道は「エコアベニュー宣言」をするに至ったのです。環境に優しい欅道。私たちは1年半ほど前から地元の方々とのワークショップを開き、時代の風を捉えた斬新な光のイベントを懸案してきました。そしてたどり着いたのが「イルミネーション」ではなく「あかり」です。表参道は明治神宮への重要な道。早くから欧米の文化も取り入れる超モダンな街ではありますが、何もクリスマス一色にすることもない。和洋折衷のよさを取り込んで「和風の年末年始」を演出しようと考えたのです。

最初は色々なデザイン・スキームを否定せずに放出しました。欅のアーケードを大きく光でくるんでしまう案や、欅の樹形には無関係な幾何学的な光の造形が宙に浮く案、和風を意識して地面に近いところに光だまりを作る案、垂直な光のラインを空中に浮かせる案など…。そしてたどり着いたのがLEDを多彩に使って和の心を伝える行灯でした。

LEDは二重のスクリーンで囲われた四角柱の中にしまわれています。中の四角柱にはきらめきを演出するLED、そして外の四角柱には限りない種類のカラーを作り出すためのLED。多くの効果実験を積み重ねて施工されました。最後には風速40mもの強風にも耐えるようにとの指導があり構造計算をやり直す場面もありました。

まあ、現場でこのあかりを観て下さい。これまでのイルミネーションと違ってキラキラと派手な印象はありません。そのかわり暖かい色を放つLEDの光がゆらゆらと炎のように揺らめく様に、少し心奪われるかもしれません。そしてこのLEDとコンピュータによる最新技術が多彩な行灯の表情変化を作り出す瞬間を味わってください。午後5時から10時まで、15分おきに行灯の光は変化して街にリフレッシュメントを与えます。また8時から9時の1時間には携帯電話からのアクセスで街行く人と行灯が会話する仕掛けも備わっています。私も一回だけ交信してみましたが、少しわくわくする感覚を味わいました。

先日学生を連れてこのアカリウムを見た後に六本木ヒルズにも行ってきました。比較のために1枚だけ写真を添えてみます。六本木ヒルズの華やいだイルミネーションも良いですね。しかしやはり、何と言ってもこれからは表参道akariumの行灯でしょう。海外からも注目され始めているそうですよ。

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