3-day Workshop
2024.09.21-23 東悟子
第三回になる面出薫/照明デザイン塾が9月の三連休に開催されました。今年も各地の大学から個性豊かな20名が集まり、照明デザインの基礎を学びました。
2022年から開始した照明デザイン塾も3回目。照明デザインのプロフェッショナルが学生に照明デザインを集中的に伝授する3日間。LPAスタッフによる8つの照明デザインレクチャー、2つの外部講師レクチャー、器具演習に街歩き、グループ課題演習にプレゼンテーションと朝10:00から夜まで盛りだくさんの内容。照明デザインの知識をインプットするだけではなく、実際に体感しそれをアウトプットするところまで行うプログラムとなっています。LPAスタッフ総勢19名、時間をかけて練ったコンテンツで臨みました。
■Day 1レクチャー&街歩き
照明デザインの考え方からプロセス、専門用語の解説に具体的な事例の紹介など、幅広いトピックのレクチャーを行いました。また外部からも講師を迎え、照明デザインがどのように街づくりに寄与しているのか、またきちんと意図して設計をしないと光害になってしまう、という内容のレクチャーも行いました。
夕方からの街歩きは学生を3班に分け、有楽町、麻布十番&六本木、汐留&新橋と、異なる特徴を持つエリアを歩いてもらいました。約2時間の街歩きの中で、レクチャーで学んだ照度と明るさ感、グレアや色温度、気持ちのいいまたは悪い光環境などを実際に体感。人によって感じ方が異なるので、所々で立ち止まり自分にとっての光の英雄と犯罪者とは何かを意見交換する姿も見られました。初日最後には班毎に食事を囲みながら懇親会。打ち解けた雰囲気の中で親睦を深めました。
■Day 2 グループディスカッション&グループ課題
2日目午前中は、前日の街歩きのレビューからスタート。街歩きで撮影した写真を見ながらディスカッションを行い、歩いたエリアの光の英雄と犯罪者を決定していきます。どの班も話し合いは活発で、違う意見がでてもどちらかに寄せることなく、比較的自由に発言していたように見受けられました。
また悪い個所には改善案も作成。それらをボード1枚にまとめ上げました。
午後は『2050年の夜景=新しい光と私たち』と題したグループ課題。今年は街歩き後のまとめ作業を例年の半分に減らし、かわりにグループで課題に取り組む時間を設けました。3時間で課題に取り組みグループで結論を出すという短時間での即興課題。近未来の2050年の夜景はどうなっているのか、パネルにこだわらない自由な発表形式としたことで、身体表現とLEDを使ったパフォーマンスや、前日の街歩きで得た感想を軸にした提案、光源を入れた模型やスケッチによるプレゼンなど、3班それぞれの個性が出ていました。
2050年という、遠すぎず近くもない少し先の未来を想像するのは難しかったと思いますが、短い時間の中で、「こんな夜景になったらいいな」を自らの中で掴めた学生も何人かいたように感じられました。
■Day 3 レクチャー、器具演習&個人課題
最終日の午前中はレクチャーを3コマ行いました。特に実際の器具を見せながら紹介し、学生にも触ってもらうレクチャーでは、たくさんの質問が飛び交い、初めて目にする照明器具に興味津々でした。座ったままだと質問しづらいことでも、スタッフの横に立つと質問や意見を言うことが比較的容易だったようで、とても盛り上がったコンテンツとなりました。
午後は個人課題発表。事前に出題された5つのテーマ『① 桂離宮をあなたの生活空間として照明デザインせよ ② コルビジェ設計・サヴォア邸の照明をデザインせよ ③ 浅草(雷門・仲見世・伝通院通り)を光で再生せよ ④ 光の茶室をデザインせよ ⑤ 2050年の住宅or地下空間orコンビニの光環境を提案せよ』から1つ選び、A3用紙3枚までで回答します。この個人課題は全員が良かった提案に投票するというもの。最優秀賞や面出薫賞が選ばれます。
浅草の光環境の緻密な観察、サヴォア邸の空間の丁寧な読み解き、心理的・空間的な素材として光を扱った茶室、これからのコンビニの新しい可能性、光と住居の有り方、都市や地下空間の光での進化への考察…どの課題に対しても、各自の事前分析や光の考察が丁寧でした。
自分とは異なる視点に対して質疑応答も盛り上がり、上位投票が悩ましいほどでした。学年も学科も異なる集まりのなか、光について様々な着眼点や表現方法を共有でき、有意義な発表会となりました。
塾の最後は反省会。一人一人から感想や反省を聞いていきました。3日のワークショップを終えた学生は、最後の懇親会でまだ話せていない学生を捕まえて話したり、自分の個人課題の講評をLPAのスタッフに聞きに行ったり、今後の就活の悩みを相談したりと、最後の最後まで場を活用していたように思います。
3年目を迎えた面出薫塾ですが、毎回少しづつ改善を加え、内容を変えたりプログラムの順番を替えたり、よりよいものになるようブラッシュアップしています。
来年の開催については未定ではありますが、スタッフ反省会では新しいアイディアが多く出ており、まだ終わったばかりですが、次回の面出薫塾もなかなか楽しそうなものが出来そうな予感がしています。もっと多くの学生さんが参加できるような工夫もしていきたいと考えております。是非今後の面出薫塾にもご期待ください。 (東悟子)