探偵ノート

第002号 – シンガポールのコンドミニアム

Update:

8月の19日から23日までシンガポールに出張に出た。さてシンガポールに来るのは何回目になるのだろうか? 多分ヤマギワの研究所に勤めていた頃に数回、そしてここのところ年に1~2度来ているので、既に10回ほどは訪れているはずだ。

私はシンガポールをけっこう気に入っていて、この国から学ぶことや楽しめることがずいぶんある。先ず何と言っても色々な食べ物が美味い。屋台が集合している楽しそうなところが至るところにある。中国料理は各地のものが食べられるし、マレー料理やインド料理、そして最近気に入っているのが中国料理とマレー料理を掛け合わせた[プラナカン料理]と言う独特のもの。新鮮な食材に恵まれて絶妙のスパイスを使った味付けが格別だ。あーああー、思い出して、ヨダレが垂れてきた。

まっ、料理のことを話すといくら時間があってもきりがないが、シンガポールは料理だけでなく、街全体が清潔で綺麗なことには定評がある。路上にゴミを投げ捨てるだけで罰金をとられることもあるというほど、街の美観に気を配っている。お陰でリラックスのために噛むお口の恋人(ガム)などもシンガポールでは一切売られていない。本当に街が無菌状態のように見える。一年中色々な花が咲き乱れていて、発育の早い大樹の作るダイナミックな木陰が、南方の強い日差しを快適なものにしている。ここには四季がないことと、芸術的イベントに乏しいことを我慢すれば、ほぼ快適な都市生活が保証されているような気がする。

さて本業の照明探偵の話だ。シンガポール政府の十分な住宅政策に従って、いささかデザイン過多なところはあるが、私達日本人には羨ましいほどのコンドミニアムが林立する。10階建て近辺のものが多い。街中は、それこそ植民地文化の影響で、欧米なみの建築デザインがひしめき合っていて、殆どアジア風の影が薄く、アジアの都市が求めていた理想の近代都市の典型とも言える。

しかし、やはり赤道に近い南方の街、コンドミニアムに点る住宅の照明は色温度が高い。「けっこう真っ白だね、住まいの光は…」と友人のアンドレに尋ねると、「それはガバメントの建てたコンドミニアムだから」と応えた。よく観察すると、エグゼクティブな民間のコンドミニアムには暖かい白熱灯の色温度が多いことに気づく。「なあんだ、日本の状況と同じだな」と思う。

どうしてだろう、高級マンションに暖かい色味の光(色温度の低い照明)が多く、低所得者には白っぽい光が多いのは…。この辺は「あなたも照明探偵団」日経BP出版に書いたばかりだったっけ…。

しかし、このアジアのセオリーは欧米の都市にはなり立たない。欧米では低所得者でも住宅で白熱灯を使っている(白熱灯でなく蛍光灯の場合ににも、電球色蛍光灯だ)。この「住宅に見られる白とオレンジ色の法則」はアジアだけの特権だ。アジアらしさと認めてしまうと、何とも祖国がいとおしい。

シンガポールでのもう少しディテールの話。実はシンガポールの住宅の蛍光灯は白色のものより更に色温度の高い昼光色を使っている。白というより青白さを感じる。さすが常夏の国になると常に清涼間を求めるのか。日本より青白い光を放つコンドミニアムに、照明デザイナーの面出薫としては、シンガポールの清潔感と宇宙人の家庭生活さえイメージするのですが…。

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