探偵ノート

第068号 – 道端で大切な友人に会う

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2年に一度フランクフルトで開催される「Light &Building」という照明関係の世界最大の見本市には毎回参加している。今年は4回目になるそうだがLPAの仲間5人と共に3日間フランクフルトに滞在した。

8年前から始まった見本市だが、その前身は毎年行われていたハノーバー見本市だ。そこにも毎年参加したいたが、何が楽しくて行くのだろうか。見本市会場はどこも同じように混雑していてダラダラ歩きも疲労するだけだが、どういう訳かドイツで行われる見本市には、ヨーロッパの春を感じる白アスパラガス料理に誘わる感じもあって欠かさず行っている。

3日間といっても中2日なのでたいしたことはできない。広い見本市会場をくまなく視察するのは若いスタッフたちに任せている。私はもっぱら照明器具を見るより人に出会う時間の方が多い。同業の旧友に会うのは嬉しいものだ。照明の展示のあるホールをうろついていると、ぽんと肩をたたかれたり、急に抱きつかれたり、大声で名前を呼ばれたり。騒々しいこと限りない。中にはあまりこちらから進んで会いたくない御仁に捕まってしまうこともあるが、それも仕方ない。旧知の友には短い立ち話でも心許して元気を確かめ合うことができる。メールや雑誌などで元気であることは知っていても、手を握り合い、肩を抱き合い、冗談を言い合うことで依然として熱い心が通い合うことを知る。今回も2日間で沢山の旧友に会うことができた。

右の写真はインゴ・マウラーとのツーショット。毎年彼と彼の率いるスタジオの仕事を楽しみにしているが、インゴの会社の社員も120名にもなっているらしい。現在も地下鉄駅の照明計画をいくつも手がけているそうで、詩情の利いた照明器具の開発だけでなく現場の仕事も精力的にこなしている。彼を尊敬するのは、彼自身が楽しく生きるだけでなく、若い仲間と一緒に作っていく姿勢だ。彼のスタジオからはきっと第2のインゴがどんどん輩出されるに違いない。

もうひとつのツーショットはニューヨークの大御所ポール・マランツとのもの。大手メーカーの新光源の展示の前で、彼の会社の若い社員たちに大演説をしていたところを私が発見した。傍に立って黙って彼の解説を聞いていたが、しばらくして目があって大笑い。いい出会いだ。私はLPAという会社を設立するときにポール・マランツを見習おうとした。こんな人のようになれたらいいと思った。厳しい視線と優しい眼差しを同居させている。

照明デザイナーの世界にも、まだまだ沢山、魅力的な人たちが世界中で活躍しているのですよ。

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