探偵ノート

第79号-タイムマシン

Update:

Interviewer: Iris Wu

Iris:面出さん、今日は「タイムマシンがあったら行ってみたい時代」についてお話ししたいと思います。「時代」というのは、面出さん個人の人生のうちの時代でもいいですし、一般的な歴史で言う時代でも、未来の時代を想像したものでも良いです。
私の場合は、2010年頃に戻りたいですね。本当に良い中学校に入学できて、勉強のことでそれほど心配する必要がなかった頃です。全寮制で携帯電話もなかったので、クラスメートといつも一緒に遊んでいました。また、当時は両親もまだ若く、元気でした。あの頃に戻って、両親と一緒に楽しい時間を過ごしたいですね。

面出:あなたは幸せな日々を思い出すわけだ。未来についてはどうかな?どんな未来が待っているのか、想像することはある?

Iris:未来についてはあまり… この先には予測できないことがたくさんあると思うので。いつかデザインの道に進むとは思っていなかったように、今やっていることにワクワクしています。

面出:もちろん、将来どうなるかは誰にもわからない。でもね、やっぱり気になるよ。タイムマシンということは、もっと大昔か未来の話になると思っていたから、あなたの「14年前」にはとてもびっくりした。
私としては、日本がとても平和でわくわくするような生活を送っていた200~300年くらい前に戻ってみたい。江戸時代だね。多くの芸術家たちがいて、近代的な暮らしが始まる前の日本独自のスタイルだけを守っていた。シンプルで謙虚で、美しい生活だったと思うよ。当時の日本の絵画や彫刻は独特で、ヨーロッパのものとはまったく違っていた。中国人として、あなたも同じようなことを考えない?

Iris:正直なところ、中国の歴史は好きですが、戻りたくないですね。なぜかというと、昔は女性が自由に生きるのが難しかったから。今でこそ、私たちにもたくさんの可能性とチャンスを手にしているけれど、当時の女性は家にいて家族の面倒を見ることしか許されなかったですから。

面出:そうか。でもタイムマシンの質問をされたら、たいていは遠い過去や未来に行くという答えが返ってくるでしょう。

Iris:以前、中国の同僚と同じようなことを話しましたが、彼らの答えもほとんどが大学生時代に戻りたいというものでしたよ。中国では違う意味になるのかもしれませんね。私たちは個人的な人生の期間を最初に思い浮かべる傾向があるのですよ。ほとんどの人は、単純で幸せで無邪気だった時代、つまり何も心配する必要がなく、責任を負う必要もなかった時代に戻りたいと思うのでしょう。

面出:面白いね。僕が想像していたものとはかなり違うな。私としては、未来にも興味がある。1950年生まれの私が100歳になる2050年には、どんな生活をしているのだろうかとね。まだ生きているかもしれないよ。テクノロジーが発達している今、照明デザインは大きく変わるのだろうかとか、予期せぬ戦争が起きたらと思うと、楽観視もできない。でも、興味は尽きないね。

Iris:先端技術が、いつか私たちのようなデザイナーに取って代わると思いますか?例えば、AIツールやそれに類するものが。

面出:いや、そうは思わないよ。デザイナーは新しい環境やルールに適応していくだろうし、先進技術は私たちがより仕事をしやすくしてくれるんじゃないかな。

Iris:そうですね、私たちの生活が便利になる、というだけですね。もしタイムマシンがあったら、面出さんの一生のうちのどの時代に行ってみたいですか?

面出:私は常に今を楽しく生きようと努めているけれど、すごくわくわくした瞬間も覚えているよ。例えば私がLPAを設立した35年前は、いつもわくわくしていた時期だった。自分なりの照明デザインを始めたばかりだったし、当時の日本には照明デザイナーがあまりいなかった。だから、これからどんな未来が待っているのだろう、という期待でいっぱいだったよ。

Iris:それは本当にわくわくする時代だったでしょうね。子供時代や青春時代でいうといかがですか?

面出:小学生、中学生当時は音楽が好きで、美術に転向する前はバイオリンを弾いたり、トランペットを吹いたりしていたんだ。かなり上手だったんだけど、先生が褒めてくれて、将来もっと上達するのを期待してくれていた矢先にやめてしまったよ。しかし、その時代に戻りたいとは思いません。

Iris:それは興味深いお話ですね。今日はありがとうございました。

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