探偵ノート

第065号 – 岩室温泉の街おこし

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武蔵美の空間演出デザイン学科で光のデザインを教えるようになって早いものでもう7年目になる。もちろん照明デザインだけを教えているわけではないが、3年次から私のゼミを選択する学生はすべからく「光」というフィルターを通して社会を見たり課題をこなしたりすることになる。偏向教育の走りかもしれないが、まあどんな生活の場面でも光は不可欠だし、まして空間演出デザインにとって光なしの世界は考えられないので、光の偏向教育もユニークな人材育成に繋がれば幸いだ。その3年ゼミ生を従えて今年度は既に新潟市岩室温泉に数回出向いている。街おこしの光プロジェクトである。

現代GPプロジェクトという武蔵美挙げての温泉街おこしと考えればよい。道の計画からグラフィックの計画、土産物の計画、ストリートファニチャーや音環境の計画まで、幅広く連携してプロジェクトを進めている。私たちのチームも「光の環境デザイン計画」と銘打って広範な光のデザインを提案する。既に現地には3度出向いて、そのうちの2回は調査や光の実験を行った。岩室温泉の将来のために光でどんな提案ができるかは定かでないが、学生の乗りも悪くない。まず現地での光の環境調査を行い、その後に地元の方たちとの意見交換、そして勝手な仮説に基づいた照明の効果実験。それが終わるやいなや「岩室の目指すあかり五か条」なるものの制定…。わがチームの手際とフットワークのよさに周りは目を見張るばかりだ。

このような短期間のプロジェクトで大切なことは、何といっても辛い仕事を楽しんでしまうこと。光の芸術的インスタレーションから、お土産の岩室提灯のデザイン、街のあかりのインフラストラクチャー計画まで多種多様な提案をしているが、遊ぶことも忘れていない。夜遅くまで勝手に宿のカラオケ装置を操って騒いでいて、他のお客の大苦情。運の悪いことに大目玉を食らった時には私が「津軽海峡冬景色」を絶叫していた、というのだから最悪だ。岩室温泉の前途に明るい兆しが見えるといいのだが。

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