探偵団は近未来の住まいのあかりを大胆に予測した。
2009年1月16日
探偵団レポート「未来の光と生活」
探偵団の大胆予測に面出団長から辛口のコメントが入る。
橋本氏から光が大きなコンセプトとなった作品をご紹介頂いた。
トークセッションでは未来の住まいのあり方にまで話が及ぶ。
会場にいらしていた照明デザイナー武石さんにもコメントを頂いた。
昼間の光を吸収するスポンジ。夜は家族で切り分けて使う
未来の光と生活のショートフィルムを作成した。
私たちは、LEDなどの「光源」、器となる「住まい」、そして住まい手である「ヒト」の3つの切り口から近未来における住まいのあかりを探ることにしました。
「光源」では、LED、有機ELが主流となることで、光る家具やプロダクト、光の色によって生活空間を演出するなど光の選択肢が多様化することが予測されます。「住まい」では自然光利用技術の発達や、生体センサーによる照明制御など照明を含めたあらゆる設備がシステム化される可能性があります。そして、「ヒト」は山のようにある選択肢の中から好みの光を見つけ生活するようになるのでは、と予測しました。
近い将来、あかりの個性がより顕著に生活空間の中に現れ、ひょっとすると、現在の白色や電球色の窓あかりが、それぞれ違ったカラフルな窓あかりに変身するかもしれません。また、未来の光を実際に体験するべく、新たな光と生活シーンの実寸モデルをコイズミ照明さんにご協力頂き作成しました。
レポートではその生活の様子をショートフィルムにまとめて上映しました。光るペットが出迎えてくれたり、光るランチョンマットで食事をしたり…空想上のあかりと実際に生活をしてみると、なかなか新鮮で心地の良い感覚でした。探偵団からのレポートでは大胆な未来予測をしましたが、光ということを軸に未来を考えてみると、このようなことも夢ではないように思います。
橋本夕紀夫さん 「自作を通して明日をみる」
今回はゲストスピーカーに、インテリアデザイナーの橋本夕紀夫さんをお迎えしました。
光に対して啓蒙的な作品を数多く作られ、商業空間だけにとどまらず住宅もデザインされている橋本さんから、近作の紹介や住まいのあかりについてお話をして頂きました。光のみを変化させることでリノベーションをしたバーや京都の町屋のお話では、光だけでがらっと空間の雰囲気を変える橋本さんのデザインに、会場の皆さんや私たちも驚かされました。
話は住まいのあかりへと移り「住宅では自然と光がただずんでいるようなナチュラルで住まい手を邪魔しない照明を求めたい」と話されました。そのようなあかりは、住まい手がフレキシブルに照明を付け替え、あかりを楽しむことが出来るようになることで実現されるかもしれないとのことでした。未来の住まいのあかりを考える上で大切なキーワードが満載のお話を伺うことができました。
対談 橋本夕紀夫×面出薫 「住まいのあかりが私を変える?」
フィナーレであるお二人のトークセッションは大変盛り上がり、予定時間をオーバーしてしまうほどでした。
ミースやコルビュジエからはじまり現代の若手建築家の住宅作品を眺め、自分ならばこういう照明をするなどいろいろなアイデアを出し合いながら、住宅照明の未来像を探っていきます。面出団長の北欧住宅照明の話や、橋本さんが手がけられたホテルの話から、これからの住まいに求められるのは、「リラクゼーションだけではなくエンターテイメント性である」と住宅照明の未来像がだんだんと輪郭を持ち始めました。
未来では住まいをリラックスする場所としてだけではなく、気軽に友人を誘いパーティーをするなど自己表現の場として使用するのかもしれません。そんな時私たちは、住まいをあかりでどんどん変化させ演出することを楽しんでいるのではないでしょうか。お二人の対談を通じ、未来には家族や友人とのコミュニケーションに住まいのあかりが重要な要素となってくるだろうという確信を得ることが出来ました。
3回にわたるサロンを振り返って
サロンの最後には、3度のサロンを振り返って改めて未来の住まいのあかりを展望しました。
今までのサロンを振り返ると、1回目では、日本の伝統家屋に残る心地の良い光を忘れてはならないということに気付かされ、2回目では、白熱灯を調光するなど工夫して使うことで蛍光灯に負けず少ないエネルギーで豊かに暮らすことができることがわかりました。
そして最後には面出団長が次のような未来の生活シーンにおける4つの予測をたてました。
①新光源(LEDや有機EL)が革新する生活情景
②コンピューターがつくる便利と多様な場面の転換
③自然光(太陽と火)をめでる生活態度
④わずかな光を楽しむ生活様式
私たちは未来に、多様で、個性的で、快適なあかりを手に入れるのではないか、と展望し、3回シリーズのサロンを締めくくりました。
(藤井美沙)