探偵ノート

第62号-withコロナ時代の働き方・住まい方

Update:

Interviewer: 宮前 有芽佳

宮前:この1年間すごい勢いでテレワークが広がり、私たちの働き方と住まい方は随分変わりました。今日はwithコロナ時代の働き方・住まい方について面出さんとお話したいです。

面出:先ず宮前さんの考え方を聞きたいね。

宮前:これまでは会社から1時間以内の通勤しやすいエリアから住む場所を選ぶのが一般的だったと思います。人が住む場所は職場である程度決められていました。会社に行って仕事をするのが当たり前でしたし、仕事をする時間=会社にいる時間でした。仕事とプライベートの境界線がはっきりしていて、場所・時間・役割がはっきりと分かれていました。しかしこの1年のテレワーク期間で感じたのは、プライベートと仕事の境目が曖昧になり、切り替えがうまくできず悩んだこともありました。

面出:宮前さんのように家庭があり小さな子供がいる人は、オンとオフの切り替えは大変そうだね。昔うちの奥様は大学で教えていたんだけれど、片道2時間かけて通っていた。往復で毎日4時間、これは凄いロスだよね。大学の近くにアパートを借りて疲れた日はそこに泊まることを勧めたが、家に帰らないと気持ちを切り替えることができないからと彼女は借りなかった。昔僕はそれが理解できなかったが、今思うとそういうことだね。

宮前:私はプライベートと仕事で部屋を使い分けるよう工夫していますが、子供が入ってきて仕事が思うように進まなかったことが結構あります。テレワークで通勤時間がなくなり楽になりましたが、大変さも実感しています。このままテレワークが普及して会社に出てくる人が少なくなると、オフィス面積を減らしたり、会社の一部機能を地方に移転させたりという動きも出てきますよね。

面出:そういう会社が増えているよね。IT会社ではその傾向が顕著だと思う。離れてできる仕事は離れてやっていいと思う。けれどデザインという仕事はいろいろな人との触れ合いで進んでいくので、ZOOMのような画面上だけで済まないことがどうしても出てくる。私達の仕事は100%テレワークが難しそうだね。ただ中国プロジェクトなんかは、今出張に行けないからビデオ会議で何とかして現場管理を進めて、いろいろな方法で現場に行かなくてもできることを試行している。僕自身はアナログ人間だし現場主義だから、画像だけ見ながらやるというわけには行かない。世の中の流れは便利さを取りテレワークやバーチャルになってきているけど、バーチャルだけでは本物のクリエイティビティは発揮されないだろうね。

宮前:画面超しで相手の表情がはっきり見えていいと思うこともありますが、やはり会わないと感じ取れないその場の雰囲気もあるので、メリットもデメリットも両方ありますね。

面出:僕はやはりモニター上に出てくる情報だけで判断するのは危ないと思うよ。画面で伝わることは大雑把な音と視覚だけ。リアルな現場で感じられるのは微妙な風や匂い、味覚や触覚。気配が大切なんだと思う。

宮前:では面出さんが考えている今後の理想的な働き方は完全にテレワークではなく週二三回の出勤とテレワークを組み合わせるやり方でしょうか?

面出:そうだね。二日間は自宅で自分のペースで仕事を集中してやる。あと三日は会社に出てきてみんなで顔を合わせながらワイワイやり合う。クライアントとも出勤日の中でコミュニケーションをとる。それがいいんじゃないかな。

宮前:家では自分のペースで仕事に集中でき、出社すると気持ちの切替ができ仕事がうまく進む。どちらもいいことがありますね。テレワークは、日本では数年前から働き方改革の一環で取り組んできましたよね。

面出:そうだね。昔からテレワークでも問題はないと認識し満員電車に乗って出社する不合理さについて理解していた会社はたくさんあったと思う。今回のコロナはそれに気づかせてくれたんだね。今までの常識が覆されても全く問題ないことはまだまだある。

宮前:今回はコロナで一気にテレワークが進んだ気がしますが、緊急事態時の特別措置ではなく、普段でもテレワークや時差出勤などの柔軟な働き方を普通に利用できるよう、社会全体が働き方改革に取り組んで行けたらいいなと思います。

面出:働き方改革はトレンドだからやるのではなく、私たち自身が常識的な働き方を疑いどんどん改良して行かなければならない。与えられた仕事だけでなく、機転を利かせながらどうすれば効率的に良い仕事ができるか、自分で工夫しなければならないのでしょうね。

宮前:そうですね。自分の仕事に付加価値をつけていくことが大事だと思います。私なりにやりやすい働き方をこれから模索しながら仕事を頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。

関連する投稿

おすすめの投稿