テーマ『本にまつわること』
Interviewer: 畢 雲
畢:今日は本の話をしようと思っています。先ず本を通して自己紹介をしようと思って色々持ってきました。
面出:なるほど、畢さんはそういう種類の本が好きなんだ。
畢:私は教育学部出身なので、最初は教育学関係、そして修士論文のための本、そしてグラフィック関連の本が増え始めました。ちなみに私の修士論文のテーマは「無言語コミュニケーション」で、要するにピクトグラムのことです。最近は建築関係の本をよく読んでいます。
面出:色々なことをやってたんだね。
畢:そうですね。多分、それは私にあっているんだと思います。デザイナーとして有名になるのが目標ではなく、いずれ面出さんのように先生になるのが目標です。
先生というのが、ここでは適切ではないかもしれません。大学の先生や、若しくは研究者みたいな人になるのが目標というか、将来はそうなりたいです。評論家ですかね。
最近、私は英日中三ヶ国語の照明専門用語の辞書的な本を出そうと思っています。持論を展開し本を出して、それを通じて情報を伝えたり、人々を教育することに興味があるんです。
面出:ええっ、それは大変なことだね。畢さんは言語の専門家でもないし、どうやってそんな難しい本をまとめるの?
畢:そんなに難しいものでなくてもいいと思っています。そういう本がなかなかない。ありそうだけど、探したらない。普段仕事をしていて、調べた内容や得た知識を整理して本を出したら、絶対他の人にとって便利だろうと思ったりします。
面出:そんな本を買ってくれる人はいるのかな。ところで最初に書くのは日本語と中国語のどちらですか。ラフに何かを書くのはやはり中国語なの?
畢:もちろん、日本語で書くのは中国語での速さと比べられないですが、私は両方で書きますね。ところで面出さんは今までいろいろな本を出されていますが、最初のきっかけはなんですか。
面出:一番最初、僕が普通に本屋さんに並ぶ単行本を書いたのは『あかり楽しんでますか』という東京書籍から出版した本。もう27年前なんだけど。あれは僕が書いている色んな小さな文章を見て、出版社があかりの本を書きませんかと言ってきたから、自分の仕事のことを書いたり、光・あかり・照明のことをエッセイ風に書いたりした。印税が一度に100万円も入った時はびっくりしたな。
畢:やはり文章を書くのが好きなのですね。じゃないとなかなか書き始めないと思います。
面出:考えていることを言葉にしたり文字にしたりすることは大切だ、というふうにどこかで思っている。だけど文章を書くのは大変なことで、文章を書く、本を出版するというのは恥をかくということだったりもする。
畢:そうですか。色んな本を出していくと最終的にそうなりますか。
面出:デザイナーや建築家は色んな本を書いているけど、照明デザインの本は多くない。僕が本を書くのは、照明デザインには批評が必要だと思っているから。照明デザインには本当に大した批評がない。あの照明デザインは綺麗だったね…、という人はいるかもしれないけど、批評というのは綺麗だったね、カッコいいねという話だけじゃなく、そのデザインが持っている役割や、革新性、社会性などの価値について語られるということだと思うね。
畢:そうですね、あえて批判を招くということですか。それは考えたことがなかった。
面出:照明デザインもいろいろな人に批評されないと、文化として育たないんだ。そのために言葉があり、文字があり、書籍がある。
畢:なるほど、「照明批評」ということですね。自ら発信源になって、批評の文化を盛り上げようということですね。照明デザインも文化として育っていって欲しいものですね。