探偵ノート

第016号 – 中国はなぜ色彩を好むのか

Update:

コーヒーブレーク: 面出さんと私
Interviewer: Simen Huang

テーマ:『中国の人が華やかな色彩を好む理由』

黄 今日は中国の人が華やかな色彩を好む理由について話して見ようと思います。最近LPAでも多数手がけている中国プロジェクトですが、クライアントから色を使ってくれとよく言われませんか?

面出 確かにそうですね。

黄 私自身もそうですが、多分みんな中国人の色彩に対する情熱というものを感じていると思うんです。それはただ派手好きなだけとか、単色の品位ある光というものを理解していないと思われているようですが、私は違うと思います。この現象の裏には文化の背景があるのではないかというのが私の解釈です。

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過激なカラーライティングを使った中国の夜景過激なカラーライティングを使った中国の夜景

紫禁城-色彩を愛する中国文化
紫禁城-色彩を愛する中国文化

面出 それは中国のクライアントがカラフルな光を好むのは、トレンディーな話だけではなく、本質的に異なる深いものがあるかもしれないということ?

黄 そうです。私は物心が付いた時から計算すると日本と中国の生活期間っていうのはほぼ同じくらいの長さですが、そこで感じたのは、日本人は周りに合わせる、溶け込む習性があるのに対して、中国人は個性を主張します。周りと同じは嫌、私は誰とも違うっていう意識が強いのです。

面出 確かに日本には「出るくいは打たれる」という言葉があるように周囲にあわせて生きていく文化だよね。

黄 だから中国のクライアントは自分の建物を周りから目立たせることに執着しているのです。色を使って華やかなライトアップによって建物の個性を強調したいという考えだと思います。ようはお国柄って言いますか、同じ現象に対して国によって解釈が違うということですよ。日本では周りと協調性が取れた穏やかな夜景が、中国では個性の無いつまらないものと捉えられてしまうのでしょうね。

面出 なるほどね。だから中国のクライアントはみんな周囲の建物より派手に目立つようにしてくれ!と言ってくるのですね。確かに色をたくさん使ってピカピカさせていれば目立つけど、どう見ても下品なものが多いと思うね。LPAの仕事としてはクライアントの合理的な要望であれば色を使った照明デザインも行うけど、どこもかしこもピカピカ、ギラギラさせることは先ずないね。その意味では、中国のクライアントは、LPAに「もう少し派手にやってくれ」と常に思っている様子です。

黄 私は大学院の修士論文で中国の古代建築について研究しましたけど、やっぱり唐の時代でも明の時代でも建物に色彩がたくさん使われているのです。基本的に中国、韓国、日本は古建の形式はすごく似ているのですが、韓国や日本は木の素材をそのまま見せているのに対して、中国はあざやかなペイントがしてあるのです。その色使いにも厳しい決まりごとがあって、黄色と赤色は皇帝しか使ってはいけないとか、他にも皇族しか使ってはいけない色等が定められていて庶民は灰色や黒の建物にしか住めなかったのです。色で階級を分けていたのです。だから色彩は中国の長い歴史の中でも重要な役割を果たしていたというわけです。昔から中国の人は色には敏感だったのかもしれませんね。

面出 色好みの中国人。そういう文化背景はおもしろいね。

黄 私はそれが中国の伝統だと思っています。もう少し時が経って中国のクライアントが単色の美しさを受け入れるようになったとしても、色に対する考えは変わらないと思うのです。今はただ華やかさを求めているだけなのかも知れませんが、徐々にその考えが洗練されて、色彩の美を感じ取れるようになってくれたらと思います。色彩の美しさに対する感性っていうのは中国人独特の個性であり、伝統文化の継承でもあるので、その素晴らしい感性をもっと磨いてほしいものですね。

面出 今日の話は「色彩」がテーマだったけど、光の色と物体色とは同一でない。私は中国的感覚の色彩はとても興味あるけど、中国でLEDが作り出す安易な色光を見るとがっかりすることが多いね。絵の具の世界ではいいけど光の最新技術は中国の文化を破壊しつつあるのでは?

黄 大丈夫だと思いますよ。今は時代と技術発展のトレンドに乗っていろいろやってますけど、そのうち古代建築の色彩と同じような中国文化ともいえる光の色彩文化を創っていくことになると信じてます。

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