探偵ノート

第42号 – 照明デザイン賞

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照明デザイン賞

Interviewer: Li Jinmu

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Jinmu:面出さん、今日はデザイン賞についてお話ししたいと思います。私が大学生の頃、たくさんの学生デザインコンペに参加していました。学生最後の年は都市デザインのコンペにも参加する機会がありました。

面出:どうしてデザインコンペに興味があるの?

Jinmu:私はランドスケープ設計出身です。コンペを通して他の建築や都市デザインの学生とも協同することができました。それはいままでに経験したことがありませんでした。コンペのプロセス中ずっと他の人の考えを知りたいと感じていました。

面出: 本当に? コンペに参加する目的は何かを知るため、ということ?賞を取りたい、ということではなかったわけだ。 普通、人は賞を取りたいものだけど。

Jinmu:その時はそれほど期待していませんでした。私の学校は東京大学、ペンシルベニア大学など世界トップの大学を何校かコンペに招待していたので、他の学校への憧れの気持ちが強かったです。SANNAの妹島和代さんが審査員だったこともさらに受賞の難易度を上げていました。私たちは、妹島さんにシンガポールに来てもらい、他の審査員と一緒のところで、プレゼンテーションをしました。それはとても楽しい体験でした。しかも3位に入賞することができました。

面出: なるほど。デザイン賞の一つの役割は、若い人が自分にチャレンジするのを奨励するということでもある。

Jinmu:私のデザインキャリアのためのモチベーションを高めることにもなりました。

面出:僕も若いころいくつかの建築コンペに参加したよ。

Jinmu:そうなんですか?照明ですか、それとも建築?結果はどうでしたか?

面出: 建築コンペだったんだけど、結果は全くでなかった。(笑) コンペ参加の一つの目的は自分の考えにチャレンジすることだったんだけど、プロとしては、デザイン賞おそらく名誉ある記録ではないかな。

Jinmu:そうですね。LPAも設立当初からたくさんの賞を受賞していますよね。

面出:LPAは最近ではたくさんの賞を取る必要がなくなっている。私は頻繁に照明デザイン賞の審査員に指名されている。今年はLAMPアワードの審査員長として選ばれた。僕にとって賞とは、人々に照明デザインの価値を示すステートメントだと思っている。それは会話や討論の出発点になる。

Jinmu:同感です。 同じ野心、違う視点を持つ人たちが集まるいい機会ですよね。

面出:今回の審査員長を引き受けた理由は、こんな会話を楽しむためだった。

Jinmu:審査員がプロジェクトをどのように審査しているのか、いつも気になっています。審査員が一堂に集まりプレゼンテーションを見るのですか。

面出: う~ん。賞によるね。審査プロセスをオープンにするときもあるよ。今年の秋に妹島さん、西沢さんと日本のあかりコンペの審査員をやったのがその例。このコンペの参加者は、おそらく日本の若い建築家だけが参加したんだと思うけど、100%公開された。適切に協議し評価できることが審査員の中でとても重要だった。

Jinmu:評価プロセスの中で面出さんがとくに重要視していたものは何ですか。

面出: 僕たちは審査基準として8項目を設定していた。1項目につき5または10ポイント加点する。

Jinmu: それはとても複雑ですね。

面出: 時々はそうだね。

Jinmu:そのようなポイント制でプロジェクトを採点していく場合、審査員のバックグラウンドや出身地がバラバラなので、だいぶ違いが出るのではないでしょうか。というのは、例えば日本人の感覚がヨーロッパの視点と対立してしまった場合、意見の相違をどのように解決していくのでしょう。

面出e: それはよくあることだよ。審査員のバックグランド、人種、年齢、出身国によって結果はだいぶ変わってくる。しかし違いがあるのが面白い。ときどきぼくの意見とは全く正反対の審査員がいる。僕は彼らの感覚の背景にある理由を理解しようと努めている。これが会話のスタートとなる。覚えておいてほしいのは、さまざまな見解を否定しないでほしいということ。

Jinmu: それが多様性の美しさですね。 今年のIALD賞の受賞プロジェクトのリストを見て、照明デザインのアプローチはより多様になっているように感じました。LPAの“アマネム”はアジアの美的価値である謙虚さと控えめさを表しており、今日非常に貴重なもので、受賞したプロジェクトの中でもとてもユニークだと思いました。

面出: 一般的にデザイン賞は現代社会の事象や動きを反映させなければいけない。”アマネム“を少し暗すぎると感じた審査員がいるかもしれないけど、僕たちの図書館プロジェクトの”みんなの森“はみんなから高く評価された。全体的なデザインが新しくて新鮮で、しかも技術と美しさが良いバランスになっている。

Jinmu:この2つのプロジェクトの建築家は、この業界でとてもよく知られている方々です。スター建築家のプロジェクトは照明賞を受賞する確率が高くなると思われますか。

面出: 普通だとイエスだね。照明デザインは建築家のいい品質のデザインによるところが大きい。我々はいつも建築照明デザインに高く期待している野心的で有能は建築家と共同したいと思っている。

Jinmu:それでインスピレーションがひらめくわけですね。

面出: そうだね。でなければ賞を取るような結果は難しいと思うよ。

Jinmu:最近では自分たちがデザインしたものではないような、色を勝手に変えられるメディアファサードや派手なプロジェクションを使った受賞プロジェクトを見ました。このようなプロジェクトが受賞することについてどうお考えですか。

面出:照明賞の判断基準は現代の社会、最新の技術的デザインのトレンドが反映されている。これは、技術に傾いている傾向にあり、建築的文脈をある程度無視していることを示している。このようなプロジェクトがより多くの議論を呼び起こすが、これが賞の目的の1つでもある。受賞したすべてのプロジェクトが、100%の人を満足させることはできないと思っている。 80%くらいの人が審査の結果を許容してくれればいいと思っているよ。

Jinmu:照明デザインには形がなく、感情についてのものです。しかし、結果は通常、参加者が提出する写真に基づいて評価されます。プロジェクト写真はすべて写真映えするものがばかりのように見えますが、審査員は物理的に現場にいかずに空間の質をどのように感じていますか?

面出: そうなんだよ。照明デザインは明らかに2次元ではなく4次元。照明デザインの質は写真では表現できないので、これは照明賞を審査するときのジレンマだね。でも日本の照明学会の照明デザイン賞では、最終審査に残った10プロジェクトは現地でインタビューやいくつかの審査を行うよ。 現地審査の後、写真と現実の違いがはっきり分かる。審査員の判断もより正確なものになる。

Jinmu: 国際的な賞は、プロジェクトが世界中から提出されるため、審査の難しさが増します。

面出:審査員は予算と時間を確保し、近い将来5ファイナリストを現地で徹底的に審査する時間を取れるようになるといいね。しかし、現代の技術では、カメラとコンピュータグラフィック技術が大幅に改善され、判断が妨げられている。

Jinmu:よりよいプレゼンテーションを行うには次の方法はどうでしょう。 賞に提出するプロジェクトは、VRテクノロジーを使用して内部空間、ドローンにより外部空間をよりよく表現することを検討。LPAのデザイン提案をドローンで撮影したビデオを提出することもできます。

面出:それは面白いかもしれないね。でも僕はVR技術は全く楽しめないけど。

Jinmu: LPAの照明賞に対する姿勢はどうでしょう。より大きな賞を目指しますか。それとも僕たちのデザインの原則を堅持し、絶え間なく変化するデザイントレンドに流されないようにしますか。

面出: 僕たちはいい賞を狙ったりはしない。 でも設計プロセスでは、コラボレーションの際に、新しいもの、進歩的で価値のあるものについて考える必要がある。その結果として受賞するかもしれない。僕はLPAはすでに確立された照明デザイン会社だと思っているけど、過去の経験に従うだけでなく、昨日と違ったことを考えるよう、日ごと姿勢を変えるべきであるとも思っている。これは我々のチャレンジではあるけど、流行になってはいけない。しかしクライアントから招待されている限られた数の中でのコンペであれば、トップになることは基本的な姿勢だね。我々はゲームに勝つための非常に明確で強力な戦略を持つべきだよ。

Jinmu:よくわかりました。今日はありがとうございました。

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